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第944話 『カミュウとお出かけ』



 玉座の間から自分の部屋に戻ると、いつもの服に着替える。そしてクロエとマリンのいる部屋に移動。


 そーーっとドアを開ける。すると、なんとマリンは未だにベッドの上で、横になり眠っていた。このまま起こさなければ、ずっと眠ってそうな勢い。


 クロエは、椅子に腰かえている。



「ク、クロエ……」


「アテナさん。おはようございます。っというか、もうそれなりの時間ですよね」



 苦笑いのクロエに、今の時間の告げる。



「えっとね……13時です」


「そ、そんなに……昨晩は結構遅くまでお話をしていたから、ちょっと起きられるか心配でした。でもこれは……」


「そうだねー、寝すぎだねー」



 二人して笑う。そして部屋に入ると、玉座の間での事を話した。これからカミュウ王子と二人で、王都に行ってくると――



「そ、それはもしかしてデートなんじゃないですか?」


「うーん、デートだね」


「ア、アテナさんは、カミュウ王子と結婚をするつもりは、ないのですよね」

 


 あるとすれば、私の旅は道半ばここで終わり。そうなるかもしれないと、クロエは不安になっている。



「大丈夫。私は、まだまだ冒険者もキャンパーもやめないよー。それより、朝ごはんも食べてないし、お昼も回っちゃっているから、お腹減っているでしょ?」


「あ、はい」


「後でここにイーリスが来るけど、一緒にお食事をしましょって言ってたよ」


「え? アテナさんは?」


「私は、カミュウ王子と二人で、王都をブラブラとしてこなくちゃならなくなったから。でも勿論戻ってくるし、二人の事はイーリスに頼んであるから。イーリスが来てもマリンがまだ眠っているようなら、クロエが起こすのよ。いーい?」


「は、はい」


「そうそう、それと今日はこの後、イーリスがクロエと色々とお話をしたり遊びたいって」


「え⁉ お、王女様がわたしなんかと⁉」


「あはは、そんな事言って、昨日はずっと一緒にいたじゃない」


「それは……アテナさんもマリンさんもいたからで……」


「私だってこれでも一応、王女だよ。でも友情に、王女とかそういうのは関係ないよね。立場があるから、公の場では多少の気づかいが必要だと思うけれど……それについては、クロエは、ルシエルと違って心配なさそうだしね」



 ルシエルの名を聞いて、クロエは俯いた。



「ルシエルさん……ルキアにグーレス、ノエルさん。皆さん、今頃は何をしているのでしょうか……」


「いるといるで騒がしいけれど、いないといないで寂しいよね。でも大丈夫だよ。別行動なんていうのは、ちょくちょくやっているから。それよりも、イーリスの事を頼んでいいかな」


「それは……でもマリンさんは……」


「マリンはきっと、クロエとイーリスと食事をしたら、また書庫に籠ると思うよ。だから後で、イーリスが来たらマリンを起こすのだけお願いね」


「ええ、解りました」



 目が見えず、全く来たこともない知らない場所。しかも外国。


 クロエの不安は、当然だと思う。だけどイーリスならきっと良くしてくれるだろうし、同じ王宮内にはマリンもいる。


 ルシエル達だって王都にはいるはずだし、何かあれば颯爽と駆けつけてくれる。きっと心配はいらない。



 ガチャッ!


「クロエ、マリン! お部屋にいるかしら!」



 クロエと話しを続けていると、イーリスがやってきてしまった。



「それじゃクロエ。ちょっと行ってきまーす。イーリス、クロエとマリンをお願いね」


「い、いってらっしゃい」


「アテナお姉様、お城の一階へ早く行ってあげた方がよろしくてよ。もう既にカミュウは、そこで待っているみたいだから」


「え⁉ そうなんだ! それじゃ、早く行かなきゃ! そーゆーことで、ちょっと行ってきまーーっす!」



 クロエとイーリスに見送られて、私はお城の一階へと駆け降りる。途中、お城の人達の目に晒されながらもササっと移動する。


 もうお城の人達は皆、私がこれからカミュウと王都に出かける事を知っているんだ。こうなってくると、早くお城から外に出たい。


 1階、エントランスまで辿り着くと、その中央でカミュウが、体格の良いおつきを二人従えて待っていた。



「カミュウ!」


「ア、アテナ!」



 彼のもとへと近寄る。



「お待たせー」


「そ、その格好なんだね」


「だって、王都に出るんでしょ? あんな如何にもなドレス来ていたら、人目を惹きすぎると思うんだけど」


「そ、そうだね。確かにそうだ」


「それはそうと、後ろの護衛の方々も一緒するのね。それなら、クロエとマリンも連れていきたいんだけど……」



 私の言葉を聞いてカミュウは、慌てて後ろを振り向くと護衛の二人に言った。



「こ、ここまででいい!!」


「殿下……!?」


「父上が申されていただろう。王都は、僕一人でアテナを案内をする。だから君達はもういい!」



 互いに顔を見合わせ、明らかに困っている護衛の二人。



「で、ですが我々は、メアリー王妃に……」


「君達は、王と王妃、どちらに従うんだ? 僕は大丈夫だ。それにアテナが一緒だし、君達だって昨日の、アテナとロゴーの勝負を見ただろ! この国にロゴーに勝てる者が何人いる? そのロゴーにアテナは勝利した。つまりアテナが一緒なら大丈夫だ」



 助けを求めるような目で、今度は私の目を見つめる護衛二人。



「大丈夫ですよ。カミュウ王子は、私が必ず責任を持ってお守りしますから」



 そう言うと、護衛二人は渋々引き下がった。私が責任を持つという所で、気持ちに折り合いがついたのだろう。


 だけど、こんなセリフは……王子様がお姫様に言ったりするんじゃ……


 まあでもカミュウは4つも年下だし、見た目は可愛い女の子に見えるし……別に男の人でなくてもルシエルとかノエルとか、強ーい女子もいる訳だし、まあいいかって気にするのをやめた。

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