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第663話 『グランドリベラル その11』



 グランドリベラル35階、3507号室。


 部屋に戻ると、ドレスを脱いでバスローブ……といか、館内着に着替える。シェルミーとファーレにそうするように言われたから、そうした。そして着替え終わったらエレベーターで20階へ集合との事だった。


 部屋を出ようとした所でドアがノックされたので、出てみる。するとそこには、私と同じく薄い桃色の館内着に着替えたセシリアとローザが立っていた。



「二人とも着替えたんですね。なんて言うか、似合っています。と、とても可愛いです」



 そう言うと、ローザは少し頬を赤くして答えた。



「そ、そうか……似合っているか。あまりこういうは、着慣れてなくてな。でも可笑しくないなら、安心したよ。テトラだって、とても似合っていると思うぞ」


「え? そんな……私、普段はメイド服しか着たことがありませんから。だから、ドレスを着た時と同じくなんとなく自信がない……っていうか、変な感じがして」


「ははは、それは私も同じだ。普段はこれでも王国騎士だからな。こんな桃色のフワフワした服を着ていると、なんだか可笑しくなってきてしまう。だけどテトラ、そしてセシリアはとても似合っていると思う。誰が見ても可愛いって言うんじゃないかな」



 ローザの言葉にまんざらでもないという感じで、自分の長い黒髪を軽く触れるセシリア。そして照れ隠しにこう言った。



「さあ、こんな所で立ち話をしている暇があるんだったら、さっさと20階へ移動しましょう。そこでシェルミーとファーレが待っているわ」


「すまない、その通りだな。それじゃ行こう」


「はい、行きましょう!」



 館内着姿の私達3人。ちょっとなんだか恥ずかしかったけど、通路ですれ違う他の宿泊客は、特に私達を気にしている様子はなかった。っていうか、同じ服を着た人達も途中何人も見かけた。


 移動する小部屋……エレベータのあるフロアに着くと、それに入り一気に20階へと移動した。ボタンを押す時は少し緊張したけど、エレベータはちゃんと目的の階へ私達を運んでくれる。なんて便利な装置だろうと思った。


 これがもし、クラインベルト王国の王宮にあれば、もっと私達メイドの仕事もはかどるかもしれない。そんな事を考えてしまった。


 20階に到着し、エレベーターからフロアに出ると、そこにはフロントがあった。フロントの前には1階ロビーのようにソファーやテーブル、ちょっとしたドリンクなどを楽しめるバーカウンターも設置されていて、寛げたりもするエリアとなっていた。


 私は驚いてその光景をキョロキョロと見ていると、ソファーに座っている可愛らしい赤髪の女の子に気づいた。


 シェルミー、そしてその横には彼女の妹だというファーレ。二人とも私達と同じく、桃色の可愛らしい館内着に着替えている。



「お、お待たせしました!」


「あーー、やっと来た。それじゃフロントでタオルとか鍵とかもらって中へ入りましょう」


「え? 中って……」



 シェルミーに質問をした私の顔を、セシリアとローザが驚いた表情で見る。



「あきれた。もしかして、話を聞いてなかったのかしら? さてはミルト・クオーンとの事で、完全に舞い上がっていたのね」


「ええ!? そ、それは……確かにいきなりダンスの最中にあんな……いきなりあんなに迫られて、気が動転していましたけど……あれ、何か言っていましたっけ?」



 このホテル――超高級ホテルは、各宿泊ルームに設備の整った素敵なお風呂が備え付けられている。だけど、明日の予定の事をお互いに少し話しておきたいし、20階に皆で入れる規模のお風呂があるからとシェルミーが言っていた事を思い出した。

 


「そ、そー言えば皆でお風呂を入りに来たんですよね、このフロアへ」



 シェルミーがにこりと笑って私の腕を引いた。



「さあ、早く中に入ろうよ!! 皆も早く!!」


「え? あっ、ちょっと待ってください!!」



 そのままシェルミーに腕を引っ張られ、フロントへ。係りのお姉さんに鍵とタオル、それにバスタオルもらう。そこから更に奥にある部屋に入った。



「わあ、ここは……」



 ロッカーが、沢山並んでいる部屋に出た。そこには鏡台や洗面台などの設備もある。そしてロッカーにそれぞれ番号が振り分けられている事で、さっきフロントで預かった番号入りの鍵を使って、私達がそれぞれ使用するロッカーを使える事が解った。


 私のロッカーは、シェルミーの3つ隣り。


 セシリアやローザ、ファーレも部屋に入ってきてそれぞれ自分の使用するロッカーを探している。私はとりあえず、自分のロッカーの鍵を開けてみた。すると、シェルミーが私を見て大きな声をあげる。



「あれれ、駄目だよーー、テトラ!」


「え? え? 何がですか?」


「テトラ。今さ、下着をつけているでしょ?」



 一瞬、何を言っているのかと思った。普通は、皆下着をつけている。それは当然の事だから。だけどシェルミーは、人差し指を立ててそれを左右に軽く振ると、私に言った。



「ダメダメ。今すぐ、スッポンポンになって」


「えええ!! な、なぜですか? もしかして、これからお風呂に入るからそう言ったんですか?」


「違う。お風呂も入るけど、それは少しあと。まずは……うーーん。それはこれから行けば解るから。それより、その館内着だけど……それは、下着は着用しないの」


「え? そうなんですか!?」


「そうだよ、だから直ぐに全部脱いで、館内着だけ身に着けて。私もファーレもそうしているし、ここではそういうものなんだよ」


「ええーー、そ、そうなんですか」



 下着を身につけないで服を着るっていうのも何か落ち着かない感じがするけど……セシリアとローザに目をやると、私とシェルミーの会話を聞いてか、二人ともいそいそと下着を脱いで、館内着だけを身に纏っていた。


 それを見て、私も慌ててセシリア達と同じようにした。

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