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第404話 『ザーシャ帝国最強の戦士達』



 ギャアアアーース!!


 雌のリザードマン。雄とは違って声が高く、その肌の色も雄より明るくて直ぐに判別できた。その雌のリザードマンが恐ろしい形相で、私目掛けて襲ってきた。なりふり構わずに槍で突いてくる。



「アテナ、コロス!! アテナ、コロス!!」


「ちょっと、っていうかなぜ私の名前を知っているの!? このリザードマン達は!!」



 本当に謎。知らない間に、なぜかリザードマン達の間で私の名が知られている。

 

 それがなぜだか気になって仕方がないけど、兎に角今は、襲ってくるリザードマン達を素早く倒して脱するしかない。周りをとり囲んでくるリザードマン達を倒し続ける。



「アテナー! コロスー!!」


「アテナハ、コノギャオスガ、コロシテクウ!!」


「ちょちょちょ、ちょっとなんなの!!」



 この雌のリザードマンと、ザーシャ帝国最強を名乗る指揮官クラスのリザードマンの戦士、ギャオスを同時に相手するのには骨が折れた。


 ギャオスは、豪快な槍捌きで襲い掛かてくるし反撃しようとすると、他の子分に突撃させて自分は距離をとり、そこから狙いを定めては槍を投げてくる。これは、手ごわい。


 そして、雌のリザードマンも強かった。なりふり構わない攻撃は、油断すると事故がおきそうで怖くてなかなか反撃するのにも、躊躇してしまう。


 そんな事を考えながらも、動き回り次々とリザードマンを打ち倒していく。残りは2匹。ギャオスと、雌のリザードマンだけ。


 彼らの攻撃をかわして反撃するけど、なかなかこちらの攻撃も当てられない。



「ギャハハハ!! アテナハオレガコロス!! イグーナハ、サガッテイロ!!」


「ウルサイ、ギャオス!! アテナハ、アタシノエモノダ!! コイツハ、ユルセナイ!!」



 許せない? え? 今、許せないって言った? なにが? 


 考えてみたけれど、それは何かは解らない。けれど、ギャオスの他にこの雌のリザードマンの名前も解った。イグーナ。なかなか攻撃的な性格で、短気だけど手強く何としても私を倒そうとする。



「なぜ、そんなに私に対して攻撃的なの!? 会った事もないのに!!」


「ギャハハハ!! タシカニアッタコトハ、ナイ!! ダガ、オマエハ、ツヨイトヒョウバンダ!! ソシテ、キットソノニクモ、ウマイトイワレテイル!!」



 ……やっぱり、知られていたってこと。すると、考えられるのは……


 頭を更に巡らせると、私はようやく気づいた。地底湖キャンプでメール達を助けに向かったサヒュアッグの巣。そこで出会ったギー。きっと彼から他のリザードマン達に、私の事が伝わったんだと思った。


 でも、ウマイトイワレテイルって、今知り合ったばかりのはずなのに、そのいにしえの素材的な言われ方、なんか凄く嫌なんだけど。



「ギーハ、オマエニアッテカラ、ナンダカオカシクナッタ!! クチヲヒラケバ、オマエノハナシバッカリ!! ギーハ、アタシノモノダ!! ダカラ、オマエヲコロシテクウ!! アテナヲクッテトリコメバ、ギーハアタシニムチュウニナル!!」



 人間だったら、完全に猟奇的な事を言っている。だけど、リザードマンだもんね。


 ようするに、このリザードマンの女子は、ギーを狙っていたけれど、ギーが私と知り合って私の話ばかりするからそれに腹を立てて私を食べるのだという事なんだと理解した。つまり、嫉妬か――



「二人とも、勝手な事を言わないでもらいたいんだけど!! 私とギーは、戦士として戦った。そして互いの強さを認めあった! ただのそれだけの事よ!」


「ギャハハハ!! オレハ、カンケイナイ!! ギーヲタオシタニンゲンノメスニ、キョウミガアルダケダ!! ニンゲンノメスのニクニナ!! ギャハ!!」



 会話になっているのかどうかは解らないけれど、そんなやり取りをしながらも2匹のリザードマンと戦闘を続ける。


 すると、向こうからまた新たなリザードマンの部隊がこちらに向かって近付いてきていた。


 まずいなー、急いで吊り橋に向かわなくちゃなのに、なかなかこの場所を突破できない!!

 

 とりあえず、この手強い敵を一人減らしておこう!! 決断し、仕留めるつもりで剣を振り下ろした。だがギャオスは、素早く槍を両手で構え、私の一撃を見事に防いだ。



「ま、まずい!!」



 強い強いと思ってはいるけど、このリザードマンは、本当に手強い!! そう言えば、このギャオスはリザードマン達の帝国……ザーシャ帝国最強の戦士って言ってたっけ。



「ギャハハ!! モラッタ!!」



 ギャオスは私の一撃を防いだところから、槍を持ち替えてぐるりと身体を回転させると、別に持っていた槍を至近距離で勢いよく私の胸元目掛けて投げた。


 ――嘘でしょ!! こんな至近距離で槍投げされた事なんて、今までにない。師匠や私の姉、モニカだってこんな攻撃はしてこなかった。


 避けられない。咄嗟に身を屈め、それと同時に重心を深く落とし両手に持つ剣を交差させ十字に構えて前に突き出した。正面からの攻撃を剣で受けるという防御方法においては、これが最も堅固な防御。



 ギャイイイン!!



 ギャオスの投げた槍を受けた瞬間、足が浮いた。鉄球騎士団から手に入れた剣も、衝撃で二本とも見事に折れた。だけど、なんとかギャオスの投げた槍は受け流す事ができた。私の胸元に突き刺さるはずだった槍は、後方の石壁に深く突き刺さる。そして、私もその衝撃で後ろへ弾き飛ばされた。


 ドサリと地面に落下したと同時に、新手のリザードマン達が飛びかかってくる。休む暇もない。転がってかわし、蹴りをいれて投げ飛ばす。しかし、ひるむ事なく襲い掛かってくるリザードマン。槍の攻撃。ギャオスと、イグーナも飛びかかってきた。


 ああ!! もう!! こうなったら、とことんやるしかない。



「こうなったら、もう覚悟を決めるから!! 覚悟をして、かかってきなさい!!」



 腹を決めると、雄叫びをあげた。武装するリザードマン達に素手で向かって行くと、まず正面のリザードマンの顔に掌打を入れ、そのまま懐に入り込んで投げた。――大外刈り(おおそとがり)


 そこから次のリザードマンに向かって行くと、剣が首を掠める。血。剣を握るリザードマンの手を掴むと、逆技で挫いて転がした。しかし、そこでまたしても左右から同時に2匹が飛びかかってきた。


 前転して避けると、即反撃。しかし前転すると、目の前にイグーナがいた。イグーナは、激しい殺意とともに私に剣を振り下ろした。


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