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第312話 『マリン、ロックブレイクに着く』




 ――――ロックブレイク。


 無事に目的地に到着した。サミュエルやレイン、それにヴァスドにお礼を言い別れた。彼らも折角ここまで来たので、暫くはこの場所に留まるそうだ。


 冒険者達の休息拠点とはいうけれど、集まっている人のほとんどが冒険者や行商人、そしてドワーフだった。人も多く、露店も多く並んでいる。


 ボクは、早速ラコライという冒険者ギルドの関係者から話を聞く為に、彼を探した。



「すいません。冒険者ギルドのラコライさんという人を探しているんだけども、何処にいるか知らないかな?」


「おん? ラコライん。それならん、あそこにいるんぞな」



 目の前に座り込んで、ポーションやら武器やらを売っている気の良さそうなドワーフに尋ねてみると、親切に教えてくれた。あの男か。



「ありがとう」



 教えてくれたドワーフにお礼を言うと、早速そのラコライという男のもとへ行く。男は、他の冒険者パーティーと何か依頼内容について話をしていたので、少し待った。


 そして話がようやく終わると、ボクはその男に話しかけた。



「あなたがラコライさんですか?」


「おや、君は? ウィザードようだが、冒険者?」


「ボクの名前はマリン・レイノルズ。Cランク冒険者です」


「そうか、マリン。俺はラコライだ。この場所ロックブレイクで、冒険者ギルドの依頼受注など取り扱っている」



 ラコライに手を差し出されたので、その手を握った。



「それで、マリン……仕事が欲しいのかい?」


「いや。人を探していてね。僅かにでも記憶にあれば是非教えて欲しいのだけれど、ここにルキアという獣人の女の子はこなかったかい? ルキア・オールヴィー。猫の獣人なのだが」


「ルキア……ルキア……ああ! 思い出した! あれか! ウインドファイアや冒険者アテナやルシエルと一緒にパーティーを組んでいた子だね。確かに来たよ、ここに」



 ビンゴだ。やはりリアのお姉さんのルキアと、アテナ王女殿下はこの場所に来ていた。もしくは、今もここにいる? 



「それで、そのルキアや冒険者アテナは何処へいるのだろうか? ここにいると思って遥々とやってきてはみたんだが……」



 そう言うと、ラコライは少し考える素振りを見せた後、腕を組んで言った。



「うん、行き先は知っている」


「本当かい? それじゃあ、早速彼女達のいる場所を教えて欲しい」


「だが、俺も冒険者ギルドの人間だ。マリン、君が冒険者だと言っても理由も聞かずにおいそれと彼女達の行先を教える訳にはいかない。それに彼女達は、恩人でもある」


「恩人? 恩人とは何かしたのかい?」


「彼女達はこのロックブレイクを救った。以前、ここへ大量のアシッドスライムが向かって来てな。そのまま放っておけば、大量のアシッドスライムはこのロックブレイクへ雪崩れ込んできて、ここは壊滅していた。それを彼女達と、ウインドファイアやその他数名の冒険者が協力してアシッドスライムを全て討伐してくれたんだ。だから、大きな借りがあるし恩人だよ」



 なるほど、面白い。アシッドスライムは、ボクがかつていたオズワルト魔導大国にもいた。だけど、そんな大量の群れとなっているアシッドスライムは見たことがない。実に興味深い話だ。



「その中には、キングアシッドスライムもいたんだ」


「え? キングアシッドスライム!? それは凄いな! アシッドスライム自体は見たことがあるし、その他のスライムも見たことはある。しかしキングサイズのものは、見た事がない。実に興味深いよ」



 少し、はしゃいでしまっているボクの様子をみて、ラコライは溜息をついた。



「それで――アテナ達とはどういう関係なんだ?」


「あ。そうだね。ボクは彼女達の身内に伝言を頼まれたんだよ。ルキアが死別したと思っていた妹、リアが生きていてね。今は元気でやっている。それをルキアに知らせたい。アテナの知り合いからも、よろしくと伝えるように言われている」


「なるほど……そういう事か。一応、俺には立場がある。マリン、君の冒険者登録を再度確認させてくれ。そしたら、彼女達の向かった場所を教えよう」



 向かった場所……っという事は、もうこの場所にはいない。ルキア達は既に次なる目的地に向かって出発してしまったのだ。


 ボクが頷くと、ラコライはボクの冒険者としての登録を確認し、そしてそれを終えるとルキア達の向かった場所を教えてくれた。


 ルキアは、このロックブレイクから更に北西にむった場所にある地底世界、ドワーフの王国にいるという。


 ノクタームエルドを旅するのであれば、外せないのがドワーフの王国。薄々というか、まずそうなんじゃないかって思ってはいたけど……そこにいたか。



「それで、どうする? そこへ行くのであれば、距離はそれなりにあるからな。ここで一度、休んでから向かった方がいいよ」


「そうだね。そうさせてもらう。でも、ボクはテントなどキャンピング用品を持っていないんだ」



 ラコライは笑った。そして、少し向こうの拓けた場所にあるテントを指さした。



「あそこにいるドワーフに言えばいい。テントを借りられる。他のキャンプ用品も借りられるぞ」


「そうか、解った」


「代金はラコライが払うと言ってくれ。ルキア達にはついさっき言ったように、大きな借りがあるからな。その借りを少しでも返せるなら、こんな形でも返させてもらおう。だから遠慮しないでくれ」


「……解った。感謝するよ」



 そう言ってボクは、そのテントをレンタルできるという場所に向かった。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇ラコライ 種別:ヒューム

ロックブレイクに常駐する冒険者ギルドの関係者。彼のもとに訪れれば、冒険者ギルドの依頼受注や報酬なども受け取れる。


〇ロックブレイク 種別:ロケーション

ノクタームエルドにある、旅人達の拠点。行商人達も多くここにいて、商売をしていたりする。ノクタームエルドの冒険者ギルドが管理している。

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