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第293話 『襲撃! ゴブリン軍団!! その2』




 あれから、4度もゴブリンの襲撃にあった。


 一度に襲ってくるのは、20匹程度。だけど、草場や木、それに岩の陰からいきなり飛び出して不意打ちしてきたり、いきなり高所から弓で矢を射かけてきたりしてきて気がぜんぜん落ち着かなかった。


 それで、ようやくゴブリンに情をかけるというタブーを犯してしまった事と、それについてボーゲンやディストルに怒られた事の意味を深く理解した。


 馬車から顔を出すと、馬に騎乗しているボーゲン、ディストル、メイベルがこちらを振り向いた。



「あのーー、私……誤った事をしてしまって、本当にごめんなさい。やっと、ボーゲンやディストルがあんなに怒っていた理由を理解しました。次は必ず、絶対にゴブリンを逃がさないようにします」


「当たり前だ。そうしてもらわんと困るぜ」


「まあまあ」



 そう言って唾を吐いたボーゲンをメイベルが宥める。



「ボーゲンやディストルは、冒険者でやすからねー。当然に魔物の怖さも知ってやす。全部の魔物が恐ろしい訳ではありやせんが、特にゴブリンは嫌みな性格で醜悪でしつこく、相手を仕留める事と嫌がる事ならなんでもやると言った魔物でやんすからね。ですが冒険者でない一般人には、ゴブリンという魔物の認識は、レベルアップの為の雑魚程度の魔物位に思っているのも事実。だから冒険者でもないメイドのテトラを責めるのは、可哀そうでやんすよ」



 メイベルのその言葉に、ディストルも溜息をついて頷いた。



「確かにその通りだった。カっとなって悪かったな、テトラ」


「メイベル、ディストル……」



 なんとか、反省している事が伝わり、蟠りが解消して良かった。まだこれからこのメルクト共和国を『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』から取り戻さなきゃいけないのに、仲間同士でギスギスしてては話にならない。


 どうしようって思う度に、セシリアやローザの顔が浮かぶけど、いつまでも二人に頼ってもいられない。もっとしっかりしないと。


 ボーゲンが、手を上げて止まった。



「止まれ!! またゴブリンだ!! 5回目の襲撃だ、応戦しろ!!」



 ギャギャーー!!



 丁度、草原地帯に差し掛かった時だった。丘の上から30匹程のゴブリンがこちらに向かってくる。しかも今度は5匹程ホブゴブリンも混ざっていた。ホブゴブリンとは、ゴブリンの上位種で背丈も身体能力も人間に近いゴブリン。武器も人間同様に使いこなす。


 ダルカン、アレアスが馬車から飛び降りると私とミリスもそれに続いた。すると、メイベルが声を上げる。



「反対側からの丘からも、ゴブリンの群れでやんすよ!!」


「あっちも、40匹はいるぞ!」


「どうやら、ここであっしらを挟撃して完全に潰しちまおうってストーリーみたいでやすね!!」



 涯角槍(がいかくそう)を握りしめ構えるが、右から来る群れにかかればいいのか、左の群れにかかればいいのか戸惑ってしまった。すると、ボーゲンが声を上げて指示した。



「メイベル、ディストルは俺様についてこい!! アレアスは他の奴らを率いて、反対側の群れを潰せ!!」


「解った、任せろ!!」



 ミリスと目があったので、目で合図した。そしてアレアス、ダルカンも加え4人で固まってゴブリンの群れにぶつかった。アレアスが叫ぶ。



「ミリス!! 攻撃補助魔法を頼む!! 俺はミリスを守りながら戦うから、テトラとダルカンは突っ込んで暴れろ!」


「おうさ!!」


「はい!!」


「解ったわ。それじゃ、唱えるわよ。魔力よ、私のもとへ集え!! そして、我らに仇なす者を打ち砕く力を与えたまえ!! 《剛力増強魔法(ストレングスフォース)》!!」



 燃えるような魔力の光が、私達に降り注ぎ身体に宿った。身体の中から力が溢れてくる。


 私は涯角槍を強く握りしめ、力任せに横へ薙いだ。すると飛びかかってきた4匹のゴブリンを一度に横殴りに吹き飛ばした。


 補助魔法ってこんなにも戦いを有利にするなんて……再度、そのミリスの得意とする補助魔法の力の凄さを見せつけられた気がした。



「どりゃああああ!!」



 ダルカンにも、持ち前の腕力に加えてミリスの攻撃力アップのバフ魔法が上乗せされていて、次々と襲い来るゴブリンを斧で斬り倒して圧倒している。


 ふいにボーゲン達の方はどうなっているだろうと振り返る。すると、そっちの方はバフ魔法なしでゴブリン達を圧倒していた。


 流石にAランク冒険者が二人もいると安心感が凄い。ゴブリンの群れを相手に戦っている姿を見ても安定した戦い方をしていて、危険な感じが全くしなかった。


 そしてボーゲン達も、ホブゴブリンを含めてゴブリン軍団をほとんど倒していた。


 ゴブリン達は、しつこく5回も私達を攻めてきて、体力的にも精神的にも確実に弱らせて、何処かでとどめを刺そうとして来ていたのかもしれなかったが、その作戦は私達には通じなかった。


 私達は、ゴブリンが群れで襲撃する事にも徐々に慣れ始め、戦いの要領もしっかりと掴んでいた。逆にゴブリンの方は、勢いよく攻めてはくるものの、全部で100匹以上は倒されて仲間を大勢失う結果に陥っていた。


 そして今度は、1匹も討ち漏らす事無く襲ってきたゴブリン全てを殲滅した。


 メイベルが馬に騎乗すると辺りをぐるっと駆けて、見回して安全を確認する。



「全部綺麗に片付いたようでやんすね。それじゃ、また旅を続けやしょうか?」


「メイベル。あと、どの位でトリケット村に到着しますか?」


「そうでやすね……結構、順調に進んでるんで、あと二日後位って所でやすかね。もう少し進めば森が見えてくるんで、そこについたらキャンプをしやしょう」



 私はそう聞くと、ミリス達と再び馬車に乗り込んだ。


 そしてダルカンが馬車を引く馬の名綱を握ると、私達は再びトリケット村へ向けて馬車を走らせた。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇ホブゴブリン 種別:魔物

より人間に近い体格のゴブリン。身体能力も通常のゴブリンよりも高く、知能もある。


剛力増強魔法(ストレングスフォース) 種別:支援系魔法

魔法の力によって、自分自身や対象の力を向上させる。誰でも、力持ちになれるが効果は術者の魔力に比例する。

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