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第288話 『金が出たという場所へ』




 ゴーディ達が住んでいるドゥエルガルの村から、その金が出たという洞窟に向かった。


 珍しくアテナ達と別行動をしているというのもあるけど、冒険者になってから初めて他の誰かとパーティーを組んで出かけているので、内心はかなり不安になっていた。


 でも、ゴーディが肩を叩いて大丈夫だと言ってくれた。とりあえず、アンデッドをどうにか倒す方法を考えてくれればいいのだと。


 何かあっても、命に代えても守ってくれるとゴーディが言うと、テディやブラワーも続いてそう言ってくれたので、少し気持ちが楽になった。皆、こんなに気遣ってくれているのだから、私もなんとか期待に応えたい。



「それで、アンデッドっていうのは、どういった感じの?」


「ゾンビだよ。斬っても突いても叩いても、延々と起き上がって襲ってくる。それにそいつらに噛まれた仲間のドゥエルガルは次第に弱っていって死んだ。そして暫くすると再び起き上がりそいつらと同じく、ゾンビになった」



 噛まれただけで、ゾンビ!? とんでもなく危険だと思った。


 ブラワーが聞いてきた。



「それで、どう戦えばいい。頭部を破壊すれば殺せるようだが数もいるし、もしも噛まれればこっちがゾンビの仲間入りだ。何かいい手はないか?」



 そう言えば自分の背負っている荷物の中に、聖水がある事を思い出した。キャンプをする時に、魔物避けに振りまく為のもの。切らしていたので丁度、王国で買い足したばかりだった。



「一応、アンデッドに有効な聖水があるけど……恐らくこれだけじゃぜんぜん足りないと思う。せめて王国に戻って冒険者ギルドによれれば、プリーストとかクレリックとか神聖系のスキルを持つ冒険者に力を借りれるんだけど」



 私の意見を聞いて、ゴーディ達はプイっと横を向いた。そんな所に頼むなら、自分達だけでやってやるという意思表示だと思った。


 ようやく、金が出たという場所の入口にまでやってきた。奥の方からは確かに、呻き声のようなものが聞こえる。それも複数。彷徨う死人達がいる。


 私はポンっと手を叩いてみせた。



「こうなったら、試したことはないけど、聖水を地面に撒いてゾンビに対する結界を作って戦うっていうのは、どうかな?」


「むっ。つまり、防壁を作って戦うって事か? 壁がわりになるのはその瓶に入った水なんだろ? 特別な水なのだろうが、そんなの効くのか?」



 怪訝な顔をするブラワーの顔は、聖水と言うアイテムを良く知らないといったものだった。説明を続ける。



「この水は聖水というの。神聖系の効果があって、敵がアンデッドならダメージを与えられる。地面に撒けば、もしかしたらゾンビは嫌がってそこを踏もうとしないかもしれない。踏めば、その……ダメージがあるわけだし……どうかな?」



 ゴーディとテディは顏を見合わせ、頷いた。



「なるほど、流石冒険者。いい策だ。それなら危なくなっても、聖水を撒いた所からこっち側に移動すれば、ゾンビは襲ってこれない。セーフティーゾーンを作ってそれを利用して戦うって寸法だな」


「ルキアは凄いな! 早速、その手でいこう」



 皆、私の作戦に乗り気になった。だけど、なぜかまた不安になる。本当にこんな作戦で上手くいくのだろうか。カルビを見ると、目を細めていた。つまり、カルビにも解らないという事らしい。


 アンデッドが潜んでいる洞窟の入口に入った。私と、ブラワーが先頭でその後ろにゴーディとテディが続く。全員武器を取り出し手に持ったので、私もバーンさんから頂いた大型ナイフをホルスターから抜いた。


 ゆっくりと慎重に警戒しながら、奥へ奥へと進む。辺りは真っ暗……テディがカンテラを持って辺りを灯し、ゴーディとブラワーはしっかりと両手で武器を握って戦闘態勢に入った。


 進んで行くと、拓けた場所があった。そこに入ると、思わず声をあげてしまった。



「わあっ」



 ――金!! 本当に、金がある!!


 テディの持つカンテラの灯りでその場所に出現した金が、眩いばかりに輝いた。


 確かにそこには、壁に天井にと金が埋まっている。信じられない光景。これを全て採掘できれば、ドゥエルガル達の生活は安定するどころか、豊かになるだろう。


 すると、ゴーディが私の肩を叩いて合図した。指をさす。見ると、そこにはゾンビが数体いて低い声で呻きながら徘徊していた。

 

 ゴーディはブラワーと顔を合わせると、二人で飛び出してゾンビに向かっていった。



「ウアアオオオオオ……」



 死人の呻き声。ゾンビがこちらに気づいた瞬間、ブラワーはバトルアックスをそのゾンビの頭に振り下ろした。


 ゴーディもメイスをブンブンと振って徘徊しているゾンビ達を打ち倒していく。テディがカンテラで辺りを照らしながらそれに続くと、私の方を見て叫んだ。



「ルキア、今だ!!」


「う、うん」



 ――駆ける。そして聖水の入った瓶の蓋を外すと、ゴーディ達が打ち倒したゾンビ達に振り撒いた。すると聖水を浴びたゾンビ達の身体から水蒸気のようなものが立ち上がり、呻いていたゾンビ達は物凄く苦しみだした。



「ウオオオオオオオ!!」



 ゴーディが、それを見て驚きの声をあげる。



「本当だ! 本当に聖水とやらが効いている! ルキア、今がチャンスじゃないか?」


「うん! 任せて!」



 私はザックから更に聖水を2本取り出して、辺りに満遍なく撒いた。これで、ここをゾンビは歩いてこれない。そう思っていると、洞窟の更に奥の方からもっとたくさんのゾンビの呻き声が聞こえてきた。


 更に大量のゾンビが、ここに向かってきている。



「大丈夫だ。聖水を撒いたろ。後ろへ下がれ、ルキア」


「う、うん」



 ゴーディ達と後方へ下がり様子を見ていると、奥からゆっくりと身体引きずる様に、何十体ものゾンビが暗闇からその姿を現し、こちらへ向かって歩いてきた。両手は前に突き出していて、今にも私達に掴みかかってきそうな形相。


 ゾンビ達は、やがて聖水の撒いた所までやってくると、その場所を踏んだ。


 ジュジュジューーーー



「ウギャアアオオオオオオ!!」



 効いた!!


 明らかに苦しんでいるのが解る。だけど、ゾンビ達はその足を聖水に焼かれながらも直進しこちらへ向かってきている。


 大変だ。私の考えが甘かったと思った。


 ゾンビは死体……いくら苦しがって見えても、その実は痛みを感じたり恐怖なんてしなかったのだ。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇ゾンビ 種別:アンデッド

放置された屍に怨霊が乗り移り、動き出して人を襲う。呻き声をあげたりはするが、思考能力やはなく、痛みを感じたいもしない。しかし、とりついている怨霊の弱点が神聖系の攻撃や聖水なので、それを受けると火傷をしたかのように苦しむ。火などの攻撃も有効。


〇聖水 種別:アイテム

街のアイテムショップ、教会、冒険者ギルドにて販売している。グレードがあり、その効果も違う。その辺に撒くと、魔物を寄せ付けない効果があり、アンデッド系や悪魔系の魔物に対してはダメージを与える事もできる。冒険者の御守り的なアイテム。アテナ達もキャンプをする際に、魔物に襲われないように聖水を撒いてからキャンプをする為、街によると購入をする。でもいざキャンプの時に、忘れがちになる。

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