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第274話 『灰色のドワーフ ドゥエルガル その2』




 上段廻し蹴りで、1人倒して残り6人。


 そこから4人を立て続けに打ち倒した所で、周囲を囲っている野次馬の中から新たに灰色ドワーフ――ドゥエルガルが新たに5人参戦してきた。これで計、12人相手をしている事になるが、もう5人倒したから正確にはあと7人か。


 因みに乱入に関しては、オレは別に構わないと思ったので何も言わなかった。だって、こいつらなんかに負けないからなオレは!



「おい、アビー! こんなエルフの娘一人に手こずっているのか?」


「ダ、ダグベッド!! 丁度いい所で戻ってきた。手を貸してくれ!! このエルフ、めちゃくちゃ強いんだ!!」


「まったく情けねえ奴らだ!!」



 最初絡んできた奴がアビー。新手のちょっと強そうな奴がダグベッド。ダグベッドって奴は、なんとなく強い気配がするから、他の奴らをさっさと倒してしまった方がいいだろう。


 オレは、一番近場にいるドゥエルガルに向かって拳を放った。



 バッシイイ!!



「うげっ!!」



 ヒット!! 顔面に拳を叩き込んだと思った刹那、オレの前に勢いよく飛び出してきたダグベッドというドゥエルガルが、オレの放った拳を片手で受け止めて見せた。しかもそのままオレの拳を潰すかのように握り込む。



「いててて!!」



 このドゥエルガルの握力は、凄まじい。このままオレの拳を握りつぶす気がと思う程で、万力に挟まれている気分になった。



「グラッハッハッハ!! 可愛いエルフのお姉ちゃん。ドワーフと喧嘩した事はあっても、俺達灰色ドワーフと喧嘩する事は初めてだろ? ドゥエルガルは、ドワーフほど甘くはないぞ。俺達はドワーフよりも腕力も戦闘能力も長けているのだからな」


「そんなの知らねえよ!」


「負けん気の強いエルフだな!」



 ダグベッドは、オレの拳を更に潰そうと力を入れてきた。ミシミシと骨が軋む音。このままではまずいぞ。オレは、なんとか脱出する為にダグベッドの顔面に蹴りを放った。しかし、軽く蹴った足も掴まれる。



「これならどうだ!! はああっ!!」


「グラッハッハ!! 可愛いあんよも捉えたぞ。パンツも丸見えだ」



 その言葉に他のドゥエルガル達が大笑いした。この野郎!! 


 風の精霊魔法を使いかけた。しかし、咄嗟に止めた。ダメだ、これは喧嘩。相手がそのルールを破らない限りオレは意地でも武器や魔法は使わねー!!


 がっちりと掴まれた足を引き抜こうとした瞬間、ダグベッドは拳を掴んでいた方の手を外し、両手でオレの足を掴みなおすとそのまま持ち前の怪力でオレを宙へ放り上げた。身体がふわっと宙を飛び、そして落下し地面に叩きつけられた。



「ぐはあっ!!」



 岩の地面。叩きつけられる瞬間、地面に手をつきかけたが慌てて引っ込めて全身で衝撃を受け止めた。


 もしそうせずに勢いよく手をついていたら、落下の衝撃で腕が折れていたかもしれない。


 なんとか受け身を取って転がる。距離を取ると、すぐに立ち上がって構えた。


 すると、予想通り休む暇もなくアビーと他の5人が突っ込んできたので、その攻撃をかわしながらも鼻面にパンチを入れ、蹴り倒した。蹴りを放つ度に、周りに集まっている野次馬共にスカートの中を覗かれている感じがしたが、もうそんな事はどうだってよかった。


 そんな事を気にして戦っていたんじゃ、こいつらにやられる。精霊魔法や得意の弓矢が使えない素手での喧嘩となると、これは結構きつい。ダグベッドというドゥエルガルは、特に強敵だと思った。


 ダグベッドと向かい合いお互いに隙を伺って見合っていると、最初に倒したドゥエルガルが再び起き上がってきた。


 まずいな。さっさと、全員のしてしまって決着をつけないと、時間が経てば経つ程最初に倒した奴らが回復してどんどん復活してきてしまう。だからと言って再起不能にする程の喧嘩でもないし。あれこれ悩んでいると、アビーも起き上がり叫んだ。



「今だ!! やれええ!!」


「な、なんだと!?」



 後方で倒れていたはずのドゥエルガル3人が一斉に後ろから掴みかかってきた。二人に両腕を掴まれ、もう一人はオレの腰に後ろから手をまわしてきた。ガッチリと掴まれている。やばい。これは、身動きができないぞ。



「どりゃああああ!!」



 アビーが突っ込んできて、身動きの取れないでいるオレの腹へ、思いきり下突きを突き刺すように入れてきた。強烈な痛みと苦しみに、更に吐きそうになった。


 蹲りたかったが、オレの身体をドゥエルガル達が完全に押さえつけていて身をよじる事もできない。



「ルシエルさーーーん!!」


「1対12なんておかしいよ! このまま、見ていられないよ。メール、ユリリア! 役に立たなくても、私達も参戦しようよ!」


「そうね! こうなったらやりましょ!! 3人一斉にかかれば、1人位!!」



 駄目だ。ドゥエルガルという種族、ちょっと変わったドワーフだと思っていたけど、なかなやる。それにアビーと言う奴は兎も角、後から出てきたダグベッドっていう奴はかなり強いぞ。メール達は冒険者と言っても素手で戦うとなったら、普通の女の子だ。怪我をする。


 オレは吐きそうなのを我慢して、3人に向けて叫んだ。



「来るなあああ!! これは、オレの喧嘩だ!! 大丈夫だから、オレに任せろおお!!」



 ドゥエルガル達が勝つ方に賭けた野次馬たちは、いけいけーっと叫んで騒いでいる。


 そいつらにも、後悔させてやるからな!! こなくそーー!!



「もう一発パンチを入れろ!! さっさとやれ、アビー!! それで、終わりだ」


「おうよ!! オラの一発、しっかりとその身体で味わいな!! そうすりゃ、もうオラ達に逆らおうとは思わんさ!! 喰らえ、クソエルフ!!」



 ドフッ!!



「うぐっ……」



 アビーの強烈な下突きがえぐる様に、オレの腹に再び突き刺さった。


 それには流石のオレも耐え切れず、腹の中の物を吐いた。ちくしょー!! 嘔吐すれば大抵の奴は、ドン引きするはずなんだが、オレをがっちり拘束している3人のドゥエルガル達はまったく動揺せず、オレの身体を掴んでいる手を緩めようともしなかった。


 アビーは両手を組んでポキポキと鳴らすと、舌なめずりをしてみせた。


 このままでは……身体をくの字にもできない状態で、もう一度こいつの一撃を受ける事になる。そうなったら、オレはどうなるのだろうかと思った。


 しかしアビーは、全く容赦をする気配がない。今度は、距離をとると思いきり助走をつけて、オレの腹へ渾身のパンチを放り込んできた。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇アビー 種別:ドゥエルガル

灰色ドワーフの戦士。灰色ドワーフは、通常のドワーフに比べて戦闘力が高く丈夫。その気性は、荒いが実際はドワーフも荒い者が多いのでそれほど変わらない。


〇ダグベッド 種別:ドゥエルガル

灰色ドワーフの戦士。アビーとはいつも一緒につるんで悪さをしている。ドゥエルガルの戦士でもあり、ゴロツキでもある。ゴロツキ成分、多め。ルシエルもダグベッドの戦闘力は、警戒している。

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