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第267話 『グルメの世界へ、さあ冒険だ』 (▼ルシエルpart)




 ――――お好み焼きは、最高だった。


 この国のドワーフ達が作る絶品お好み焼きを食した後、ミューリとファムは用事があるとかで城の方へ行ってしまった。


 じゃあ、折角だし面白そうだからというアテナの案で、オレ達も夜に再び皆で合流するまで自由行動してみようって事になった。


 つまりオレはこれから、アテナやルキアとも別れて別行動をしてそれぞれにドワーフの王国を探検してみるという事になったのだ。フフン、なんともワクワクしてくるぞ。


 因みに、ルキアは一人だとやっぱり心配なので、カルビを一緒について行かせている事にした。何かあれば、カルビが走ってオレかアテナのもとに知らせに走ってくるはずだから、多少は安心だ。


 ルキアより、カルビの方がしっかりしているしな。ハハハのハ。



「さてと――これから何しよっかなーー。一人だと何するにしても、自由だからな。アテナに怒られる心配もないし、まさにオレは水を得た魚だな。ハッハッハ」



 笑いが止まらない。


 街中を見回す。ヒュームや獣人などもいるけど、街を行きかっているのは、ほとんどがドワーフ。本当にこの場所は、ドワーフ達の世界なんだなって思った。


 とりあえず、折角の自由行動なので最も好きな事をしようと思う。好きな事――それは、もちろんグルメだ。


 そういうお店が多いエリアを探して歩く。すると、間も無くそういった店が並んでいる場所を発見した。くっくっくっ。これは、楽しみだ。


 飲食店が立ち並ぶエリアに入ると、一軒一軒店を見て回る。くんくんくん。美味しそうなにおいが何処からともなく漂って来る、実に素晴らしい場所じゃないか、ここは。


 辺りにいる見かける人達も、例えば職人街のようにドワーフばかりがいる場所と違って、ヒュームや獣人などドワーフ以外の種族も沢山いる。


 パッと見た感じオレのようなエルフはいないようだが……見かけるのは冒険者か行商人のようだった。


 しかし、何を食べようか。さっき皆でお好み焼きを食べたばかりだけど、この飲食街を散策して美味しそうなにおいを嗅いでいるとまたお腹が減ってくるな。すんすん……



「いらっしゃーーい!!良かったら食べてみたってなー!!」


「串焼きだよー!! ジャイアントリザードの串焼きだよーう!! 脂がのってて肉厚で美味いよー!!」



 ジャイアントリザード! 美味そうだな。


 色々と目移りして困る。やはり、基本的には鉄板焼きを利用した料理が多いようだが、どれも食欲を掻き立てられるなーっと思った。


 鼻をすんすんさせながら、その自分の鼻に引っ張られるように飲食街の中をあっちへ行ったりこっちへ行ったりしていると、人が沢山行きかっている所に入り込んだ。人混み。ぶつかられ、押される。



「うおおお! 混んでいるな。ちょっとこれじゃ、落ち着いて店を探せないな。一旦、脱出するか……」



 大通りの人混みから脱出するべく人混みを掻き分け一気に飛び出すと、いきなり誰かに名前を呼ばれた。



「ルシエルさーーん!!」


「おん? 何処からかオレの名前を呼ぶ声が聞こえる。なんぞ?」


「あっ! 本当だ! ルシエルさんだ」


「わーー! こんな所でまた会えるなんて嬉しい」



 振り返るとそこには、仲良し3人娘がいた。


 もちろん全員、顔を知っている。順に、ミリー、メール、ユリリアだ。


 このドワーフの王国に向かっている道中、ミューリにおすすめキャンプスポットがあると言われ、そこへ行ってみた。するとそこは、とても美しくて幻想的な感じのする地底湖があった。


 オレ達はそこを気に入って、そこでキャンプをした。


 その時に、オレ達のキャンプ近くで同じくキャンプをしている冒険者の女の子達がいたので、挨拶して知り合った。


 それから後に、その子達――つまりミリー達は、三人で地底湖で泳いで遊んでいた所を、魚人系の魔物サヒュアッグに攫われて連れ去られた。その事に気づいたオレ達は、急いで助けに行った。


 3人とも無事に助け出したその後、ミリー達とは更に仲良くなって一緒にキャンプをして楽しんだ。


 そして、翌日別れた。


 この子達も目的地はドワーフの王国って言っていたので、また出会うかなって思ってはいたが――まさか、ここで再び出会えるとは嬉しい。


 アテナとルキアにも早速知らせてやろうと思ったけど、そう言えば今は単独自由行動中だという事を思い出した。まあ、後でもいいだろう。



「オレもまた三人に再会できて嬉しいよ」


「ルシエルさんは、ここで何をされているんですか? あれ、アテナさんやルキアちゃんは? カルビもいないようだけど」


「そうそう、ミューリさんやファムさんもいない」


「ああ。それなら――」



 オレ達は今、ちょっと面白がてらに別行動していると説明した。ミューリとファムに至っては、城に何か用事があると言って行ってしまった事も話す。すると、メールが聞いてきた。



「なるほど。それでルシエルさんは、一人こんな所で……美味しいものを探してお店巡りしている訳ですね!」


「うっ……どうしてそれを?」



 メールの横で、ミリーとユリリアが顔を見合わせて笑った。



「実は、私達もなんですよ! ドワーフの王国に来るのは私達も初めてなので、ここでしか食べられないような美味しいものが何かないか、探して回っているんです」


「この国へやってくる冒険者の方は、やっぱり自分にあった武器や防具を作ってもらいに職人街へ行く人達が多くて、それでそれを作ってもらっている間に、この飲食街とか他のアクセサリショップや宝石店などを覗くそうなんですけどね。私達は全員一致で、鍛冶屋よりも美味しいものをいっぱい巡ろうってなって、それでこの辺りを徘徊していました」



 それを聞いて、オレは何度も頷いて3人の肩を叩いた。



「流石だ!! 皆、オレと気が合いそうだ!! やっぱグルメだよなー、この国へ来て最初にあの食べたオコノミヤキ。あれを知って、この国にはもっと色々美味しいものがあると悟ったね、オレは」



 メールがにこりと笑う。



「ですよね! それで、これから是非行ってみたいお店がありましてね。ルシエルさん、良かったらそのお店に私達と一緒に行ってみませんか?」



 ほう! 確かにそれはなかなか面白そうだ。まだぜんぜん夜まで時間もあるし、いいかもしれない。



「お店ってどういう店なんだ? オコノミヤキとかヤキソバは、さっき実はアテナ達と皆で食べたから、できればそれ以外ならいいんだけどな。だがどうしても、そこへ行きたいというのであればしょうがない。オコノミヤキとかでも、かまわないけど」



 そう言うと、三人はフフフと笑った。



「それなら大丈夫です。お好み焼きは、私達もすでに食べました。だから、お好み焼きではないですよ」


「ほう、するとヤキソバでもないと……」


「ウフフ。なにを食べにいくかは、実際に行ってみるまで解らない方が面白いでしょ?」


「そうだよね、あれこれ考えるのも楽しいですもんねー」



 それはそうだ。その方が面白い。



「解った!! じゃあ、皆これから行こうとしている店にオレも連れて行ってくれ!」


「やったーー!」


「じゃあ、早速行きましょう、ルシエルさん!」


「おう!」



 オレは三人に返事すると、地底湖であった事や、三人が普段はどういう冒険をしているのかなどを聞いたりたわいの無いお喋りを楽しみながら、その店に向かった。

 

 アテナやルキアが、今どういう冒険をしているかは解らんが、オレは今からグルメの世界へ冒険だ。


 さあ、思う存分食べるぞー!







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇ミリー 種別:ヒューム

メールとユリリアと3人でパーティーを組み、冒険者をしている。活発な感じの明るい可愛い女の子。地底湖キャンプでアテナ一行と知り合う。その後、サヒュアッグに襲われ巣に連れ去られたがアテナやファム、シャルロッテに救助された。


〇メール 種別:ヒューム

ミリーとユリリアとは、仲良し3人組。冒険者。少しお調子者な雰囲気もあるけれど、物凄く気が使える女の子。地底湖キャンプでアテナ一行と知り合う。その後、サヒュアッグに襲われ巣に連れ去られたがアテナやファム、シャルロッテに救助された。


〇ユリリア 種別:ヒューム

ミリーとメールとは、気が合い仲良くなってパーティーを組んだ。冒険者。大人しい知的な感じの女の子。地底湖キャンプでアテナ一行と知り合う。その後、サヒュアッグに襲われ巣に連れ去られたがアテナやファム、シャルロッテに救助された。


〇ジャイアントリザード 種別:魔物

蜥蜴の魔物。草原や荒野などに生息している大型の蜥蜴。獲物が現れるまでじっとしていたりもするので、たまに冒険者が不意打ちを喰らわされている。見た目は蜥蜴なのでまああれだが、その肉はなかなか美味しい。

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