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第264話 『合金素材 その4』




 かなりの深さがある縦穴をタラップに掴まって降りていくと、また横穴があった。そこを進んで行くと、空洞に出た。

 


 キシャアアアアア!!



 暗闇の中から唐突に、何かが襲い掛かってきた。懐中灯を向けると、沢山の牙を持つ巨大なミミズのような魔物が地面から飛び出して、こちらに襲い掛かってきているのが見えた。


 それはワームと言う魔物だった。



「たああーー!!」



 襲い掛かってるワームは、2匹。素早く剣を抜いて、素早く斬り倒した。


 この魔物は、デルガルドさんのおつまみ作りで、ついさっき狩りにいって戦ったばかりだからどういう魔物かというのは、理解していたので戦い易かった。


 だけど、デルガルドさんと狩ったワームとは少し種類が違うような気がした。……色が毒々しく、異臭を放っている。


 初見なら地面や壁から、こんな大蛇みたいな魔物が飛び出てきたら、かなりびっくりしていたかもしれないけれど、何事も経験だなと思う。


 そしてまた周囲を照らして見回すと、またハッチがあった。今度は、木製の蓋。しかも最初に見た鉄板と比べるとサイズもかなり小さいので、手をかけて力を入れると私でもなんとか蓋を動かす事ができる。


 すると、またタラップ。



「ふう……またー」



 軽い溜息をつくと、そのタラップに掴まってまたどんどんと地下へ降りて行った。


 一番下層まで降りると、細い通路のような所に降りた。



「ここは……なんだろう、暑い……」



 そこは、上と違って物凄く暑く感じられた。確かデルガルドさんは、ハッチをどんどん降りてって下まで行ったら、案内の通りに進めって言っていたけど――確か、マグマンド鉱石採掘場51番って所……


 通路を歩いていると、すぐに立札のようなものを見つけた。



『この先、マグマンド鉱石採掘場 51~60』



「やった。やっと、目的地に辿り着けたみたい。お目当ての鉱石は、このすぐ先にあるわ」



 進むにつれて更に洞窟内の温度が上昇しているなと思った。額からも大量に滴る汗、気づくと背中や脇もビショビショになっていた。


 通路の先に曲がり角があり、そこを曲がると拓けた場所に出れた。



「え? なにここ!! ここってまさか!!」



 目の前には驚く光景が広がっていた。


 辿り着いた拓けた場所は、とても広くて至る所に崖があり、その真下には、溶岩が勢いよく流れていたのだ。マグマの川。そりゃ、暑い訳だと思った。



 ブクブクブクブク……



「なんてことなの。ドワーフの王国の更に地下には、溶岩の川が流れていたんだ」



 ドワーフの王国について、最初に入ったお店。お好み焼きを食べたお店だけど、そこに入った時にチラっと厨房の中が見えた。


 そこには、燃え盛る炎のように真っ赤な色をした金属の器があってその中には、ここの崖下に流れているような溶岩が入っていたのを目にしたのを覚えている。


 その後デルガルドさんのお使いで、鉱石を取り扱っているお店でもそれを見た。


 きっと、このドワーフ王国は、この王国真下に流れるマグマの力をエネルギーにして様々な事に利用して生活しているんだと思った。


 鍛冶をするのにも、鉱石からインゴットをつくりあげるのも、料理をする火ですらドワーフ達はこの溶岩の火を利用しているのだろう。


 その事に気づいて、暫く崖下を流れる溶岩に目を奪われていると、近くから何人もの声と足音が聞こえてきた。


 なんとなく、ここで見つかっちゃいけないような気がする。そう思った私は、ここへ入ってきた細い通路に戻って姿を隠した。足音と話し声は、どんどんこちらに近づいてくる。



「スヴァーリ伯爵。クロム鉱石が必要だと聞いていたんだが……このエリアでは、そのクロム鉱石は採掘できんぞ! グライエント坑道になら山程あるがな」


「存じております、ガラード王子」


「王子はよせ!! なんだか、こそばゆいだろーが!!」


「では、殿下」



 王子!! 王子っていうのはもしかしてプリンスという意味の王子!? 

 

 ドワーフの王国の遥か地底、溶岩が煮えたぎり崖下を川のように流れる場所で、まさか人と会う事すら想定をしていなかったのに、王子なんて言葉を聞くとも思ってもみなかった。


 咄嗟に隠れ込んだ通路。そこから恐る恐る覗いてみると、そこには何十人も人が、こっちに歩いてきていた。まずい、このままここにいたら見つかっちゃう。


 見つかったからなんだっていう訳でもないけど、なんだかあの集団に見つかってはいけないような気が凄くした。第六感というのだろう。私はそれが結構、発動するのでそんな時は直感に身を任せている。



「ですが殿下。我々はクロム鉱石をメインで取集しておりますが、その他の鉱石も必要とはしております。例えば鉄鉱石も多く必要ですし、ミスリルやサラン鉱石等。それにこの地には、オリハルコンや金や銀も採掘できるそうではないですか」


「相変わらず抜け目のない男だな、伯爵は!! だからマグマンド鉱石も採掘しようってのか!!」


「その通りでございます。マグマンド鉱石は非常に耐熱性に優れているうえに、この崖下を流れる溶岩のエネルギーを凝縮して取り込んでいる不思議な鉱石とも耳にしております。採掘すれば、様々な用途に使用できるはずですので、公国としても是非それを入手したいのです」


「はん! 様々な事に利用って目的は軍事利用だろ? それで、帝国はその事を?」


「もちろん報告しますとも。マグマンド鉱石は、それ程優れた鉱石であると同時にこのドワーフの王国では、万民に親しまれる鉱石みたいですのでね。それを帝国が知らぬはずはないでしょうし。ですがもしもアダマンタイト鉱石のような伝説級の鉱石が見つかるような事があれば、我が公国で独占買取させてもらいます。帝国にも当然、極秘でね」


「ブワッハッハッハ!! アダマンタイトね!! そりゃいいや。このノクタームエルドでも、過去に何度か採掘できたっていう伝説はあるからな。いいだろう。見つかったらいの一番に伯爵に譲ってやるよ。もちろん内緒でな」



 ドワーフ王国、帝国に公国、そしてアダマンタイト鉱石って……こんな所でとんでもない話を聞いてしまったと思った。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇ルイ・スヴァーリ 種別:ヒューム

ヴァレスティナ公国の伯爵。シャルロッテの父親。エゾンド公爵の命で、ドワーフの王国へやってきた。ドワーフの王国近くにあるグライエント坑道にて、国へ送る鉱物資源の採掘責任者と使者としてやってきている。


〇ガラード・ガザドノルズ 種別:ドワーフ

ノクタームエルドのドワーフの王国の王子。唯一の王位継承者でもある。父とは違い、粗暴な性格。


〇ミスリル 種別:アイテム

ノクタームエルドの鉱物資源の一つ。銀のように光を放ち、鉄よりも遥かに優れた鉱石。とても高価な鉱石だが、ミスリル製の武器や防具は店頭に並ぶと飛ぶように売れる。冒険者達は、デビューするとだいたいはミスリル製の装備を身に着けられる位になりたい思い、目指すそうだ。魔力を帯びた金属で、火や雷、冷気に風などあらゆる耐性がある。

 

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