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第262話 『合金素材 その2』




 私は、ジボールと一緒に荷運び蜘蛛のモークに跨り、目的地を目指して街の中を移動していた。


 モークにはちゃんと、手綱をつけてもらってそれを握っていたけれど、基本的に荷運び蜘蛛は荷運びに利用するのがスタンダードみたい。


 だから騎乗していると、すれ違う度に人の目を引いた。


 特に他の国からやってきた冒険者というだけでもまあまあ目を引くのに、私みたいな冒険者とこの国のドワーフが、大きな運搬用の蜘蛛に二人乗りしているので、道を行きかう町民達は私達を見る度に驚いて足を止めてあっけにとられているようだった。


 でも、別にいいんだもーん。


 こんなにちゃんと私の言う事を聞いて、大人しくしている大きなモッサモサの可愛い蜘蛛に戯れる事ができるのも、このドワーフの王国にいる時くらいのものなんだから。今のうちに、沢山モークと触れ合って堪能しておかないと、きっと後悔する。


 可愛い、モーク。私は、モークのモッサモサの背に頬ずりした。


 デルガルドさんが言っていた鉱石を取り扱っているお店の場所は、ちゃんと聞いてメモっていたがジボールが全て知っているみたいで、あっちだと案内してくれた。


 所で今更ながら、ジボールって何者なのだろうか? 


 長く伸ばした顎髭にブルーリボンを結っているドワーフ。あと、大木槌を背負っていて、デルガルドさんとは顔見知りといった位しか解らない。


 歳すらも解らない。ドワーフの男性は、皆だいたい髭を蓄えていて、歳も結構上に見えるし貫禄もあるので皆おじさんに見える。……ふむ。


 ジボールと一緒にモークに騎乗し、お店にずんずんと向かっているけど、目的地まではまだ少しあるので、聞いてみた。



「ところでジボールは、この国の人なんでしょ? 冒険者なの?」


「あああん!? なんでそんなんオメーに話さなあかへんのじゃ!!」



 モークには私が前に乗って手綱を握り、その後ろにジボールが私の腰に両手を回し騎乗している。


 ジボールの言葉は相変わらず刺々しいけど、私の腰を優しく掴んでいる手からはなんとなく気遣いのようなものが感じられた。



「えーー? いいでしょ。折角知り合ったんだし、ジボールの事を教えてよ」


「…………」


「ねえ! お店にもう着いちゃうよ」



 ジボールは舌打ちをすると、話し始めた。



「ワシは、この街に住んどる!! ガキん頃からや!! だからこの街にワシの家があんねん!!」


「へえー、やっぱりジボールはこの国の人なんだ」


「仕事は採掘場で、鉱石を掘り出す仕事をしているんや!! この王国の周辺にも、採掘場にも危険な魔物は多いからな! この大木槌は護身用や!! ワシの仕事場に行けば、立派で使い勝手のええ鋼鉄製の採掘用ハンマーとツルハシがある!!」


「そうだったんだ! てっきり、私と同じ冒険者かなって思ってたんだけど、そういえばこの王国の収入源って鉱石の採掘がほとんどだもんね。それを生業としている人も多いようだしね」



 クラインベルト王国など、ノクタームエルド以外の国で見るドワーフは、冒険者が多かった。それか、鍛冶屋さん。


 だから、ドワーフの仕事と言えばそのどちらかと思っていたけれど、よく考えれば鉱石や宝石、それに魔石などの採掘などに関してもスペシャリストな仕事をしている人達だった。



「それで、デルガルドさんとは?」


「それは、なんもないわ!! 昔からの腐れ縁や!! たまに一緒に酒を飲む――そういう仲や!!」



 なるほど。だから、デルガルドさん宅に着いた時に、当たり前のように大木槌で思いきりぶっ叩い……ノックしたんだ。合点がいった。

 


「ここや!! 着いたで!!」


「この店ね。ありがとう、ジボール。ちょっと待っててね」



 石造りの店。何か宝石のようなものが描かれた鋼鉄の看板。中に入ると、従業員と思われるドワーフがいた。



「失礼しますー」


「なんなのん? お客さん?」



 あれ? ロックブレイクにいたドワーフのような喋り方をするタイプの店員さんだった。



「すいません。デルガルドさんのお使いで来たんですけど、サラン鉱石ってありますか?」


「おんおんおん。サラン鉱石ねん、ちっと待っててくれんねん」



 そういうと、店員さんは奥に行ってオレジンジ色に輝く鉱石を持ってきた。私はそれを見て、綺麗な色の石だと思った。



「ちゃんと用意してあるん」


「良かった、ありがとう」



 店員さんはサラン鉱石をこれ見よがしに見せると、麻袋の中に入れて差し出してきた。



「あのーー……そういえば、お代ってどうなってますか?」


「ああん、あんあんあん。それならもう、デルガルドんからもらってるん。大丈夫だからん、持って行ってもらっていいんよん」


「ああ、そうですか。じゃあ、頂いていきまーす。どうも、それじゃあ」



 うーーん、ロックブレイクであったドワーフよりも、更に個性的な感じだなと思った。ヒュームに比べて、圧倒的にドワーフという種族がそういうものなのかもしれないけれど。


 店を出ると、モークの傍らでジボールがこちらを見ていたので、上手くいったよと手を振った。そんなはしゃいでいる私を見て、近くにいる通行人が笑った。


 ジボールは恥ずかしそうにそっぽを向いたが、それでも小さく手を振り返してくれた。それには、ちょっとびっくりした。


 私はジボールとモークの方へ駆けて行くと、早速麻袋に入ったサラン鉱石を見せて言った。



「じゃじゃーーん。ちゃんと、手に入れてきたよ」


「サラン鉱石や!! やったやん!! こりゃごっつうええ鉱石やで、これ!!」


「うふふ。じゃあ、次はクロム鉱石を取りに行きましょう!」


「せやな!! その店は、ここから近いで!! 荷運び蜘蛛に乗って行けば、15分位で着くわ!!」


「それなら良かった。じゃあ、急いでいこう!」



 どうやら、マグマンド鉱石以外は簡単に入手できそうだと思った。


 夜には、ルシエル達と宿で合流しなきゃだから、なんとかそれまでに鉱石を全て集めて、デルガルドさんに届けて剣を作ってもらえるように依頼しておきたいね。


 そう考えながら、私は騎乗したモークの背に抱き着いて顔を擦りつけた。そんな私の姿を見て、ジボールはやはり驚いていた。


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