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第261話 『合金素材 その1』




 デルガルドさんの家に戻ると、デルガルドさんは早速お酒を飲み始めながら手に入れたワームの肉を使って、おつまみを作り始めた。


 私は紙とペンを持ってその後を追いかけて、調理場で剣を作るために必要な鉱石を聞いて紙にしたためリストを作った。



「街で鉱石をさばいている店がある。そこで、サラン鉱石とクロム鉱石を受け取ってこい。それぞれ、別々の店だが両方とも既に話は通してある。儂の名前を出せば受け取れるはずだ」


「えっと……サラン鉱石とクロム鉱石……っと。それだけでいい?」


「オリハルコン鉱石と、マグマンド鉱石も必要だ。とってこい」



 と、とってこい……って、いったい何処で……


 鉱石に関していえば、私はかなり素人だしぜんぜん詳しくない。


 だけど、オリハルコンに関していえば、もちろん名前くらいは知っている。鋼鉄よりも遥かに優れた金属を生成する事ができ、上質な魔力を含んだ鉱石……ミスリル鉱石よりも、上位の鉱石だ。


 そんな凄いものを使って剣を作ってくれるんだなんて……私、二振り注文しちゃったけど、お金足りるかな? 


 急に、不安になってしまう程、オリハルコンという鉱石は希少価値が高い。


 他の鉱石は名前も聞いた事もないし、それを使ってどんな感じに合金にするのかも解らないけれど、オリハルコンと一緒に使用する位だから、そのクラスかそれに近いクラスの鉱石だと推測できる。


 折角一流と名高い鍛冶職人にオーダーメイドで作ってもらうんだから、そりゃいい剣の方がいいに決まっているけど……このドワーフの王国に銀行ってあったかな? 記憶をたどっていると、デルガルドさんが声をあげた。



「……聞いてるのか?」


「え? なんだっけ?」


「オリハルコンは、冒険者ギルドに依頼して調達してもらっている。丁度、今朝依頼が達成されたと連絡があったから、とってこい」


「なるほど、オリハルコンは冒険者ギルドと……」



 紙にメモを取っていく。



「それで、そのマグマンド鉱石っていうのは? それがもしかして、一種類を除いてって言っていた鉱石なの?」


「そうだ。マグマンド鉱石は、このドワーフの王国の近郊で入手できる鉱石だから、手配というか、自分で行って取ってくるという形になる」


「解ったわ。まあ、私も冒険者だからそういうのには慣れているし……それで、場所は?」



 デルガルドさんは、巨木を切り出して作ったような巨大なまな板に、豪快にワームを乗せると釘で打ち付けてしっかり固定すると、専用の道具を使って一気に皮を剥いだ。


 ビチビチビチっという耳を塞ぎたくなるような音とともに、血が飛び散る。そして、ワームを固定している釘を引き抜くと、鉈でダンダンダンっと豪快にぶつ切りにし、湯が煮えたぎった鍋に入れた。



「これで、大生姜と地底大蒜を入れて少し煮ると下処理完了だ。ぐわっはっは」



 あれ? デルガルドさんと会って初めて笑い声を聴いた感じがする。大きいだけあって、その笑い声は物凄く豪快だった。


 デルガルドさんは、私の方を向くと人差し指を真下に向けて言った。



「地底だよ。ここよりもう少し下の世界にマグマンド鉱石はある」


「それって、どうやって行けばいいの?」


「安心しろ。道は丁寧に教えてやる。ここからそこへは、およそ5時間位で往復して帰ってこれる距離だ。だが、非常に危険な場所だ。儂も他に仕事があるからな、1カ月位待てるなら、儂がそこへ行ってとってきてやるがどうする?」



 どうしよう。いや、悩んでいる時間がもったいないわ。ルシエルやルキアがいれば心強いんだけど、二人は二人で今頃楽しんでいるだろうし……


 なによりこの剣作りは、できるだけあの二人の力を借りて作りたくはないものだから…………よおしっ!!



「じゃあ早速行ってくるわ。マグマンド鉱石が一番厄介そうだから、まずサラン鉱石とクロム鉱石、それとオリハルコンを受け取りに行ってくるね」



 デルガルドさんは、軽く笑って行って来いというふうに片手をあげて見せた。


 じゃあ早速、鉱石集めね。さっさと集め終えてデルガルドさんに、剣を作ってもらわないと。

 

 デルガルドさんの家を出ると、ジボールがモークの傍で待っていた。



「ジボール。待っててくれてありがとう」


「じゃかあしいわい!! それで、これからどないすんねん!!」



 私はジボールに、デルガルドさんに二振りの剣を作ってもらう為に、4種類の鉱石を集めに行ってくる事を話した。



「ほだら、これからその鉱石を受け取りにいくんか!!」


「うん。行ってくる。場所は聞いたし、詳細はちゃんとリストにしたためたから大丈夫。とりあえずは、必要な鉱石を取り扱っているお店があるから、そこへ行ってこうようと思っているの。ジボールには、こんなにもお世話になってしまってなんと言えばいいか」



 人の良さそうな人を探して、たまたま目に入ったジボールに声をかけた。


 ただ道を尋ねたかっただけなのに、その後もジボールは私の事を気にかけてくれた。デルガルドさんの家まで案内してくれたりワームの巣までついてきてくれて……本当にいい人だった。


 私はジボールの手を両手で握ると、膝を落としてジボールの目線でしっかりと目を合わせて心からお礼を言った。



「ここまでありがとう、ジボール。本当に感謝しています。あなたに出会えて良かった」



 にこりと微笑むとジボールは驚いた顔をして、慌ててそっぽを向いた。でも、握った手を振りほどこうとはしなかった。



「っべべ、別にええわ、そんなん!! それはそうと、ワシはまだ時間がある!! 暇やねん!! だから、その鉱石集めもこのワシが連れてったるわい!!」


「でも……ジボールだって予定があるし、危険な場所にも行くよ。剣の生成に必要な素材、マグマンド鉱石は、この王国の更に地底にあるっていうし」


「暇やーゆーてるやろ!! それなら他の3種類つきおーたる!! そんならええやろ!! いくで、ちんたらすなや!!」



 そう言ってジボールは私の手を引っ張った。てっきり、握った手を振り払うのかと思ったけど、握ったまま。私はクスっと笑ってモークの方を指さした。



「ねえ、モークって荷運び蜘蛛って言われてるんでしょ?  じゃあ、私とジボールの二人位を背に乗せても、なんてことないのかな?」


「そりゃー、大丈夫やけど、なんでや? まさか……ふ、二人乗りするんか?」



 まさかと、ひきつった顔をするジボールに私は、にこりと笑って「うん、その方が歩くよりは早いでしょ」と答えた。

 

 





――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇サラン鉱石 種別:アイテム

ノクタームエルドの鉱物資源の一つ。合金に使用すると、その効果を発揮する。最近では特に、鎧兜のような身に着ける防具に使用されているようだ。


〇クロム鉱石 種別:アイテム

ノクタームエルドの鉱物資源の一つ。やや黒光りしている、鉄鉱石の仲間。熱にも強く、ドルガンド帝国が兵器を作る為に大量に使用しているようだ。


〇オリハルコン 種別:アイテム

ノクタームエルドの鉱石資源の一つ。とても、優れた鉱石で鉄やミスリルなどよりも遥かに貴重で、質の良い鉱石。これで武器や防具を作ればとんでもないものが作れる。腕の確かなドワーフの鍛冶職人に作らせれば一級品には、まずなるだろう。兎に角、貴重で一般流通もしない。


〇マグマンド鉱石 種別:アイテム

ノクタームエルドの鉱物資源の一つ。熱を帯び、ノクタームエルドの更に地底にあるマグマのエネルギーをたっぷりと蓄えている鉱石。魔力を帯びたマグマが結晶かすると、マグマンド鉱石化するようだ。利用すれば、炎攻撃の付与した武器や、火耐性に優れた防具が作れる。

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