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第260話 『強暴なおつまみ その2』




 地面が盛り上がり、巨大なミミズのような魔物がその姿を現した。


 この魔物が、ワーム!! 


 常時地中を移動しているからなのか、目は無い。だけど、人間を丸呑みにできる程の大きな口があり、その口内には360度一周に無数の牙が生えていた。


 うううう、あんなのに噛まれたくない!!



 ボゴン!! ボゴン!!



 シャアアアアアア!!



 大きな音を上げ、地面だけでなく壁からも飛び出してきた。大蛇のように長い身体に、身の毛もよだつ無数の牙。もと来た道も完全に塞がれてしまって、ここからは抜け出せない。


 脱出するには、どちらにせよワームを倒すしかない。


 デルガルドさんは、私達の方を向いて大声を上げた。洞窟内にある空洞なので、デルガルドさんの大声で地響きがした。


 ……ら、落盤したりしないよね。



「アテナ、ジボール!! すぐに、儂の足元まで来い!! 儂が守ってやるから、急げ!!」



 シャアアアア!!



 1匹のワームが襲い掛かってきた。


 素早く二振りの剣を抜くと、ワームの攻撃をかわすと同時に斬りつけた。襲い掛かってきたワームの頭が、ドスンと斬り落ちる。ジボールが松明で辺りを照らす。



「アテナ……その剣『ツインブレイド』を腰に差しているのを見て、それに見合った腕を持つ者なのかと疑問に思っていた。だが、まさかワームの頭を一刀のもとに斬り落としてしまうとはな。……何者だ?」


「たんなる冒険者をやっている女剣士よ。そんな事より、私も手を貸すからさっさと必要な分のワームを狩ってしまおうよ。どれ位、必要なの?」


「気にせずとも、ワームは問答無用で襲い掛かってくる。そして襲い掛かってくる奴を全て倒さないと、どちらにせよここからは脱出できん」


「そういう事ね。解ったわ」



 シャアアアア!!



 更に2匹が襲い掛かってきた。後ろへ跳んで回避する。すると、後方でジボールの雄叫びが聞こえた。



「おらああああ!! かかってこんかいや!! ごねさらしたんどおおお!!」



 松明を足元に置いて、大木槌を振り回している。その横をモークが走り回って必死に逃げていた。

 


「ジボール!! モーク!! こっちに来て!! 私が守ってあげるから、傍にきて!!」


「偉そうにいうなや!! ワシだってやれるわい!!」


「いいから!! こっち来て!!」



 叫ぶと、ジボールはモークに取り付けている手綱を掴んでこっちへ引っ張ってきてくれた。私は怯えるモークの身体を優しく撫でて「大丈夫、大丈夫……」っと囁いた。すると、モークは大人しくなった。



 キシャアアアア!!



「ふぬりゃああああ!!」



 目の前ではデルガルドさんが巨大な鉈を振り回して暴れている。


 巨躯の分、洞窟内というのもあって私みたいに避けたり跳んだりできず、ジボールのように走りまわったりもできないようだ。


 腕や足、それに肩などをワームに何カ所も噛みつかれていたがデルガルドさんは、噛みついたワームを掴んでは地面や壁に叩きつけ、引き千切っていた。


 また、巨大な鉈を凄まじい勢いで振り回し、辺りにいる巨大なワームを豪快に斬り飛ばしていた。


 とんでもない圧倒的なパワー。巨人のように身体の大きいドワーフだから、この怪力は当然なものだろうとは思うけど、戦い方を見てもデルガルドさんは戦闘に手馴れているようだし、かなり強いように見えた。 


 なので、戦闘はほとんどデルガルドさんに任せて、私はジボールとモークを守る為に全神経を集中させた。


 襲い掛かってくるワームを倒し切るまで、それ程時間はかからなかった。


 辺りが静かになると、私達はそこら辺に飛び散っているワームの死体の中から、できるだけ原型をとどめているものをいくらか選んで背中に担いだ。



「これでよし。じゃあ、家に戻ろうか」


「うん。……家に戻ったら、私の注文した剣を作ってくれるんだよね?」



 デルガルドさんは、頷いた。



「言ったように儂は、酒を飲みながら仕事をする。なぜかって? その方がいいものが作れるからだ。モチベーションは何より大切だ。だから、これで仕事ができる」


「それならいいけど……一つ、聞きたいんだけど、デルガルドさんってお酒が無いと剣を打てないって事なの?」


「はっきり言うと打てないじゃなく、打たない。そういう、スタイルって事だ」



 私は呆れたという顔をして、ジボールと目を合わせた。そして、モークに騎乗すると、デルガルドさんは、実に衝撃的な事をしれっと続けて言った。



「家に戻ったら、儂は先に一杯やっている……っというか、いつでも仕事に取り掛かれるように身体を温めておく。だから、アテナは儂が剣を作る為に必要な鉱石を採取してこい」


「えええ!! 嘘でしょ? これから?」


「嘘じゃない、いい剣を作って欲しいのなら行ってこい。何、大丈夫だ。ちょっとしたお使いみたいなもんだ。……一カ所、少し危険な場所もあるが、まあアテナなら大丈夫だろ? お前の実力はもう解った。ワームを一刀で斬り殺せる腕を持っているんだからな」


「ええええ!! っもう!! こんなに大変だとは思わなかったよ。まさか、剣の材料まで、自分で調達しなきゃならないなんて」


「そうだが、違う。儂はお前が気に入ったから言っている。最高の剣を作ってやろうと言うのだ。その為に、いくつかの鉱石が必要だと言う訳だ。それにそのいくつか必要な鉱石は、1種類を除いてもう手配してあるしな。それ程、調達に難しくはない」


「う、うーーん。最高の剣って言われたらそりゃ断れないよ」



 なるほど。その1種類が何処にあるかは解らないけれど、要はここへ必要な鉱石を全て持ってくる事ができれば、デルガルドさん……このドワーフの王国一の鍛冶師が最高の剣を作ってくれるという訳ね。


 ここまで来たらしょうがない。ここで諦めたら、こんなに協力してくれたジボールにも申し訳ないしね。


 お酒を運んだり、ワームを倒しに行った事が無駄になっちゃう。



「いいわ。じゃあ、何を持ってくればいいのかリストを書いてもらえる?」


「ああ、もちろんだ。まずは、どちらにせよ儂の家に帰ってからだな」



 デルガルドさんはそう言って、何匹ものワームを担いでずるずると引きずりながら洞窟の中、もと来た道を戻り始めた。


 私はモークに騎乗すると、ジボールと一緒にその後をついて行った。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇巨大な鉈 種別:武器

かなり大きな鉈。デルガルド専用武器。ちょっと、つまみでもとってこよーっと……とか、そういう時にさっと掴んで行けるようにいつもデルガルドの家の入口辺りに置いてある。普通の人間じゃ扱えないので、こんなもの普通は売っていない。なので、デルガルドの自作。

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