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第252話 『オコノミヤキとは、お好み焼きなのね』




 注文したものが、テーブルに続々と運ばれてきた。



「ヒャッホーーウ!! 美味そうだなー!! もうお腹が、ペコペコだぜ。たまんねえな、このかおり!!」


「こら、ルシエル。食事の時にはしゃがないの」


「そうですよ、ルシエルはもっとお行儀よくしないと駄目なんですよ」

 


 私が注意した後に続いてルキアも注意した。すると、それが面白くなかったのかルシエルはルキアをくすぐった。



「ひゃ、いや……あはは、やめ!! やめてーー、ルシエル!!」


「このこのこのー!! 猫娘の癖にこのルシエル様にたてつこうとはな。そんな奴はあれだぞ、あれだかんな! そのモチモチした身体にしっかりと思い知らせてやる!!」


「あああ!! っもう、やめてルシエル!! あははは!!」



 ルシエルはルキアの脇、それに首筋を容赦なくくすぐった。目に涙を浮かべながらも笑い続けるルキア。それが余計にルシエルをヒートアップさせる。逃げようとするルキアを押さえつけて、くすぐり続ける。



「やめてーー!! た、助けて、アテナ!! アハハハ」


「こらこら、二人とも。これから食事でしょ!! ほら、もう!! ミューリ、お願い」


「はいはーーい。ほんじゃ、アテナリーダーの命令なんで、ちょっと失礼しますよー」



 ミューリはそう言って、ルシエルとルキアの間に割って入り込んだ。


 ルキアはルシエルの魔の手から解放されると、すぐに距離をとった。それを見て、ルシエルは口をとんがらせている。


 まったくもう……子供か!


 ルシエルはすぐに、ルキアにちょっかいを出すから食事の時くらいは、大人しくさせる為に何かで隔てておかないとと思い、二人の間にその何か……ミューリをそのまま座らせておいた。


 私はミューリに、「ごめんね」と両手を合わせるとミューリは笑った。



「それじゃあ、全員の料理もきたみたいだし、食べ始めましょうか!」


「それじゃあ、頂きまーーーす」


「おう!! もう我慢できねーぞ!! でも、これどうやって食うんだ?」



 ルシエルの言葉に、ミューリが大笑いした。ファムもちょっと笑っている。


 でも、ルシエルの反応はもっともだった。


 念願のオコノミヤキ。目の前に出されたのは、刻まれたキャベツなどの野菜の入った器。その中に一緒に小麦粉を水と卵で溶いたような液体も入っているものを目の前に置かれているのだ。


 え? これを食べるの? 生っぽいんだけど……


 凄くナマっぽいんだけど、私の聞いていたオコノミヤキの情報と違う。


 すると、ミューリがまたケラケラと笑いながら言った。



「さあ手伝って。これを持ち上げるからさ」



 ミューリはそう言って、目の前のテーブルに手を伸ばした。よく見ると、テーブルの表面にはそれに合わせた正方形の大きな板が蓋のように被せてあったのだ。


 私とミューリとルシエルで、その板をめくって持ち上げて壁側に立てかける。すると、板を外したテーブルの上には大きな正方形の鉄板が姿を現した。


 ルキアが、テーブルに身を乗り出し大きな目をうるうると輝かせて言った。



「もしかして!! もしかして、この不思議な液体と一緒になっている刻んだ野菜を、この鉄板で自分で焼くんですか?」


「そのとーり! ルキアちゃん、正解!」



 ミューリが笑って頷くと、ファムが何処からか鉄製のヘラを持ってきて皿と一緒に皆に配った。


 店内をもう一度よく見てみると、ここで食事している他のお客さん達は、皆ヘラを使って注文したものを自分の目前の鉄板で上手に焼いて食べている。


 もしかして、これが!! これがオコノミヤキ!! 


 自分で好みの具材を投入し、自分好みな感じで焼いて食べるから、お好み焼き!! これこそが、このオコノミヤキのお好み焼きたるや由縁!!


 思わず、この料理の神髄とも言うべきものを知ってしまったような気がした。


 すると、今度はこのお店の親父さんが何かを金属製のバケツに何か入れてやってきた。湯気?


 バケツの中には、マグマのように煮えたぎった石。固まった溶岩?

 

 それを金属製のハサミでつまみ上げると、テーブルの鉄板をめくってその下へいくつも敷いた。すると、間もなく鉄板がその石で熱され始めた。



「はいよん。このハケを使って、このオイルを鉄板に上手に敷いてから、焼き始めるといいよん」



 ミューリとファムは、当然この料理の作り方を知っているので、作り方に戸惑っても二人に聞けばいいかなと思い、とりあえず「はーーい」っと返事をした。


 次にそれぞれ皆が注文したお好み焼きのメイン具材が、お皿に乗って登場した。まずはこのメイン具材から、先に鉄板で焼くらしい。ミューリが説明してくれた。



「まずメイン具材を焼いてね。それで、軽く火が通ったら、その具材の上にタネを投入して焼き上げるんだよ」


「タネ?」



 ルシエルの質問に、ファムが答えた。細かく刻んだ野菜と、小麦粉と卵と出汁を溶いた液が入った器を指す。


 どうやら、それをタネというらしい。



「うん、なるほどね。なんとなくお好み焼きがどういう料理かは、ちゃんと解ってきたわ。それじゃ、さっそくメイン具材から焼いてみようかな」



 メイン具材はヘラではなく、箸でつまんで焼く。


 因みに私は、親父さんに是非オススメだからと言われ、豚と海老のお好み焼きにした。こんな所でこんな贅沢なものを食べられるなんて、なんて幸せだろう。


 ルキアも、私と同じものを頼んでいた。ミューリは、具増量で豚のみ。ファムは、烏賊? あれ? そういえば? 


 私はルシエルのメイン具材を見た。すると、そこには何やら美味しそうなボリュームのある貝や海老。そして烏賊の切り身のようなものが贅沢にも並んでいた。もしかして海鮮尽くし……



「ルシエル、そう言えばふと思い出したんだけど……」


「あん? なーーに?」



 ジュジュジューー!!



 美味しそうなものが焼ける音。返事をしつつも、目の前で具材を焼き始めるルシエル。目はもう爛々と輝いている。



「あなた、ヤキソバ食べたいって言ってなかった? なんでお好み焼きを注文しているの?」


「ああ。もちろんヤキソバも食べるよ。まずは、皆と一緒のものを味わってからだな。ハハハ」



 出た!! 食いしん坊エルフが出た!! 食いしん坊エルフの美味しそうな物への全体攻撃が出たんですけど!!


 まったくもう、ルシエルは……


 まあ、でも初めてのドワーフの王国に、初めてのお好み焼きだからね。


 私もお好み焼きを食べて、まだ余裕があればルシエルの真似をしてヤキソバとか他のものも食べてみたいと思った。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇マグマ石 種別:アイテム

ドワーフの王国の更に地底には、溶岩が流れている場所がある。そこで採掘した石。これに似た感じの鉱石があるが、それは別物。

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