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第234話 『賊に占領された村 その5』




 女盗賊団、頭目三姉妹次女エイティーンの怒号が響く。



「今そこへ行ってギタギタにしてやっからよー!! 待ってろよ、このクソメイド!!」


「セシリアーーー!! 逃げてええええ!!」



 叫んだ!!


 ローザやソアラ、ハムレットにアレアス。そして、ダルカンやミリスまでその声に振り返った。


 その時だった。セシリアのいる建物に砂煙をあげて突進して行く闘牛さながらのエイティーンを、突如横から現れた何者かが殴りつけて吹き飛ばした。



「ぐへえええ!!」



 更にもう一つの人影。


 その人影は、ハムレットが私の足に巻き付けた茨の鞭を断ち切ると、それに使用した武器マンゴーシュを突き付けて言った。



「どうせ助っ人に入るなら、ピンチの時に現れる。その方がいいストーリーでやんしょ?」


「メイベル!! 来てくれたんだ!!」



 メイベルだった。すると、エイティーンを殴りつけたのはまさか――――目をやると、こちらに向かって手を振るビキニアーマーの【ウォーリアー】、ディストル。


 二人とも、ボーゲンの偵察する話に乗り気じゃないような感じだったけど、どうやら助けにきてくれたようだ。いずれにしても、心配して駆けつけてくれた。



「このアマ!! やりやがったな!!」


「おっ! いいねー!! 来るか!! 先に言っておくが、アタシは力の加減が下手糞だぞ?」



 エイティーンがアイアンサックで思いきり殴り掛かったが、ディストルは軽く避ける。それを皮切りに二人は組み合って力比べを始めた。


 力と力!


 エイティーンは、身体も大きいしなんといっても身体中の筋肉が盛り上がって凄い。それに対してディストルは、女の子にしては、背は高いし身体も鍛えられて筋肉質なほうだけどエイティーンには及ばない。


 冒険者ランクも確か、Eだと言っていた。Eといえば最低ランクがFだから下から二番目……大変だ!! すぐにディストルに加勢しないと!!


 しかし、予想には反してディストルとエイティーンの力比べは拮抗していた。しかも、お互いに笑みすら浮かべている。メイベルがハムレットを蹴り飛ばすと、私のもとへやってきて言った。



「ディストルはねえ、冒険者としてはまああれでやんすがね、腕力はなかなかのもんでやす。だからこのままちょいと、成り行きを見ていやしょう。あっしのよみが正しければ、あのデカイ子ちゃんに押し勝つかもしれやせんよ」


「ほ、本当ですか?」


「くっくっく。その方が、面白いストーリーになるでやんしょ?」



 ググググググ……



 拮抗していた力比べ。やがて、亀裂が入り始める。

 

 ミシミシミシという音と共に、エイティーンの顔が苦悶に歪み始めた。それを見て、ソアラが声をあげた。



「もういい!! ここまでにして、この辺でずらかるよ!!」



 エイティーンは、ディストルの腹に蹴りを入れて距離を取った。


 ディストルと組んでいたエイティーンの両手が小刻みに震えている。ずらかると言ったソアラに不満そうな顔を向けたが、ハムレットと顔を合わせた後、アレアス達と戦っていた子分たちを纏めて逃げ始めた。


 セシリアは建物の3階から逃げる賊目掛けて、矢を放っていたが他の皆はもう女盗賊団を追いかけるという事はしなかった。


 私達の真の目的は、『女盗賊団アスラ』の壊滅ではなく『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』の討伐だったからだ。村人を助ける事ができたのなら、それでかまわないと思っていた。



「思いきり蹴られていたけど大丈夫? テトラちゃん」


「ミリス……心配してくれてありがとうございます。でももう平気です。そして皆、無事で良かったです。あと、助けに来てくれてありがとうございました」


「フフフ。仲間ですもの、当然でしょ?」



 アレアスやダルカン、メイベルもにこりと微笑んでくれた。すると、遠くから大勢の人の声が聞こえ近づいてきた。


 ボーゲンが無事に、村外れの納屋から村人を助け出し村へ戻ってきたのだ。



「ボーゲン、そちらも村の人達の救出に成功したんですね。本当に良かったです」


「ああ、当たり前だ。なんと言っても、俺様だからな。だがそっちは失敗……奴らを取り逃がしたようだな。流石だなー」


「うっ……」


「ははーーん。やっぱそうか。取り逃がしたか。全く使えねえメイドだぜ」


「ご、ごめんない」



 詰め寄るボーゲンの前に、アレアスとダルカンが入って言った。



「所で、そっちも『爆裂盗賊団(ばくれつとうぞくだん)』頭目ダッガンの姿がないようだが……って事は、始末したのかな? テトラにこれだけ言っててまさか、そっちは取り逃がしているって事はないだろうしな」


「やー、そりゃそうだろ? そうじゃないと、こんなセリフとても言えないだろ?」



 アレアス達の言葉に顔を赤くするボーゲン。横でセシリアとミリスが口元を抑えて笑っていた。



「俺の方は、村人の救出だっただろ!! しかも、お前らと違ってこっちは俺一人だ!! そっちの状況と何もかも違うし、かなり不利な状況で俺は自分の務めをやってのけたんだ! 一緒にすんじゃねえや!」



 ボーゲンがムキになればなるほど、笑うセシリアとアレアス達。


 どうにかしないとって思って、私はボーゲンの手を両手で握って言った。



「はい! もちろん私もそうだと思います。ボーゲンが偵察に行きたいと言ったから、この村の人達を救い出すことができましたし、盗賊団を追い払う事もできました。私はそんなボーゲンを凄い人だと思っていますよ」


「なっ……」



 言葉を失うボーゲン。すると、助けた村人達の中から老人が進み出て行った。



「村長である儂らからも、お礼を言わせてください、この村を救ってくださってありがとうございます。略奪はされましたが、幸い死者は出ませんでした。それも、皆さんが助けて下さったお陰です。お礼と言ってはなんですが、今日は皆さんをもてなさせて頂けないでしょうか?」


「いや、あっしらは急いでいる身。折角の申し出でやすが……」


「折角の申し出、ありがとうございます。是非、伺いたい事もありますのでお言葉にあまえさせて頂きます」



 村長の申し出を断ろうとしたメイベルだったが、それをセシリアが遮った。信じられないといったような、茫然とした目でセシリアを見つめるメイベル。

 

 しかし、セシリアはそれを全く気にする様子もなかった。


 私にはそれが、いつものセシリアらしいセシリアだなとは思ったけど、セシリアの事だから何か考えがあるのかもしれないとも思った。

 






――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇リーティック村 種別:ロケーション

メルクト共和国にある村。爆裂盗賊団と、女盗賊団『アスラ』によって占領され略奪などされていた。爆裂盗賊団は、村人を殺める事に何も気にしている様子はなかったが、『アスラ』の頭目ソアラが抵抗しない村人に危害を加える事を禁じた。テトラ達によって、村を占領した賊達は撃退され無事解放された。

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