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第233話 『賊に占領された村 その4』




 『女盗賊団アスラ』の頭目である3姉妹の息の合った攻撃は、凄まじかった。


 次女エイティーンの剛腕で、次々と打ち出されるアイアンサックを装備した一撃は、石壁をも破壊する威力。


 三女ハムレットの棘のついたソーンウィップは、巧みに足元や顔を狙ってきて他の姉妹の攻撃を見事にアシストをする。そして長女ソアラの攻撃は、鋭く早くて特殊な武器を使用していた。


 しかも私はその武器を知っている。


 かつて私がクラインベルト王宮でモニカ様の稽古のお相手として、武術の稽古を勤しんでいた時に目にした武器。


 『ジャマハダル』と言う武器で、私は使用した事はないけれど、対ジャマハダルの練習という事でその武器を装備したモニカ様と試合った事がある。


 刀身は広く両刃で、突き刺す事を主に目的として作られた武器。イメージ的には剣というよりは、大きなダガーといった感じの武器で、モニカ様も二振りのジャハダルをそれぞれ両手に装備して、二刀流にして使用していた。そして、やはりこの女盗賊ソアラも同じように二刀流だった。


 そんな一癖も二癖もあるような頭目クラスの女盗賊が3人一斉にローザに襲い掛かっている。


 ローザは三姉妹の攻撃を見惚れるような洗練された剣術で、受け止め受け流して反撃しているけど、このままじゃきっと危ない。


 私は思い切り飛び込んで、ローザの横へ並んだ。



「ローザ!! 大丈夫ですか?」


「テトラ! テトラこそ、あのデカい女のとんでもない蹴りを喰らっただろ? 大丈夫なのか?」


「はい! ま、まだ大丈夫です! まだ戦えます」



 涯角槍(がいかくそう)を強く握り絞め、私に強烈な一撃を入れたエイティーンへ向かって走る。



「ちい!! アタシのサッカーボールキックを喰らってまだ起き上がって反撃できるのか⁉ 獣人ってのは、こんなにも丈夫なのか?」


「どちらにしたって3対2だもん。優勢には変わりないわ。エイティーン、ハムレット! さっさと片付けちゃおうよ!」


「おう!」


「解ったわ、任せてソアラ姉様」



 周囲には頭目の他に、女盗賊が何十人もいて私達を取り囲んでいる。だけど、助けに来てくれたセシリアやアレアス達が奮闘して、どうにか喰い止めてくれている。


 だから今はソアラがいうように、3対2の図式。


 だけど、ローザとならそれでも勝てる。いくら、この三姉妹が強いといってもゲラルド様の圧倒的な強さや、マリンのなんだか得体の知れないあの力に比べたら、きっと足元にも及ばないのだから。


 ――だからゲラルド様に、認められた私ならきっと勝てるはず。


 ローザが三姉妹に斬りかかった所で、一緒にタイミングを合わせて飛び込む。狙いは長女のソアラ。


 涯角槍(がいかくそう)を手に、穂先と柄の部分で交互に打ち込む。ソアラは両手に装備したジャマハダルで、私の連続攻撃を全て受け切ってみせた。



「わ、私の攻撃を全部受け止めた? そんな……」


「この狐ちゃんも強いなー、もう! ハムレット! 拘束して!!」


「はーーい、ソアラ姉様」



 三女ハムレットが、ソーンウィップを放った。棘のついた鞭が、涯角槍(がいかくそう)を握る手に巻き付く。棘が喰い込み痛みが走る。



「行くよ、エイティーン。今度こそ、しっかり仕留めてね」



 ハムレットはそう叫ぶと、重心を落とし勢いをつけてソーンウィップを引いた。その勢いで私は、エイティーンの方へ引っ張り投げ飛ばされる。ローザが助けに入ろうとしてくれたが、ソアラが邪魔に入る。



「きゃあああ!!」


「おっほっほー! 可愛い狐っちゃーん、いらっしゃーーい! 今度こそは終りだな。その可愛い顔を潰すのは惜しいが、これもしゃーなしだ」



 エイティーンは、装備しているアイアンサックを強く握りしめ、飛んでくる私目掛けて、思いきり振りかぶって渾身の一撃を放とうとした。



「喰らえ!! ダイナマイトパンチだ!! だあああああ!!」


「うぐっ!!」



 涯角槍(がいかくそう)で防ぐしかない。


 涯角槍(がいかくそう)程の槍なら、この一撃で折れたり曲がるって事は無い。だけど、あの剛拳を受け止めた時の衝撃は、覚悟しなくちゃいけない。


 ――きた!! 


 エイティーンの渾身のパンチが私の顔に迫ってくる。恐怖が頭の先の方から身体全身に降りかかるように降りてくてくるのが解る。



「うわああああああ!!」



 何か大きなものと正面衝突するような感じに似た感覚がした。


 この攻撃を受け止める事ができたとしても、その衝撃で後ろへ飛ばされ叩きつけられるかもしれない。耐えろ!! 


 歯を食いしばったその時だった。私ではなく、エイティーンの方が逆に呻いた。



「うぐうっ!!」



 エイティーンのを見ると、パンチを放とうとしていた方の肩に矢が突き刺さっていた。――まさか!!


 振り返ると、そこにはニヤリと笑みを浮かべるセシリアの姿があった。


 セシリアは反撃されないように、建物の3階のバルコニーからボウガンでエイティーンを狙撃していた。


 更に続けてセシリアの容赦のない攻撃が続く。ボウガンから放った矢が、エイティーンの上半身に突き立った。エイティーンは、自分に突き立った矢をへし折ると怒号を発した。



「おのれええええ!! クソビッチがああああ!! あのクソビッチ、ぶち殺してやる!!」



 暴走した闘牛のようにエイティーンは、セシリアがいる建物の入口目指して走り出した。


 その怒りの形相は、今にもセシリアを捕まえてその首をねじ切りそうな勢いがあった。セシリアもそれを感じたのか、休まずに矢を放ったがエイティーンは、その全ての矢を払い落してセシリアのいる建物の真ん前まで辿り着く。



「セシリアのもとには、行かせない!! あなたの相手は私です!!」



 エイティーンを喰いとめないと。セシリアのもとに行かせてはいけない。


 そう思って走りだそうとした刹那、私の足を茨の蔓が巻き付いてきて引き留められた。目をやると、ハムレットのソーンウィップだった。


 ローザはソアラと斬り合いを続けているし、どうすれば……なんとかして、ローザを助けないと!!


 私は足に巻き付いた茨の鞭を外そうと手を伸ばしたが、その瞬間にハムレットに引っ張られお尻からその場に大きく倒れ込んでしまった。


 私はもう一度、大きくセシリアの名を叫んだ。


 セシリア、逃げて――と。






――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇ジャマハダル 種別:武器

刀身は広く両刃で、突き刺す事を主に目的として作られた武器。イメージ的には剣というよりは、大きなダガーといった感じ。ソアラは、この武器が得意で二刀流で使用する。


〇ソーンウィップ 種別:武器

棘の鞭。ハムレットが得意とする武器。通常の鞭とは違い、戦闘を目的として作られたもの。拷問道具でも使われる事も多々ある。


〇ダイナマイトパンチ 種別:体術

エイティーンの思い切り振りかぶったパンチ。オーバーハンドのストレート。

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