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第226話 『メルクト共和国入国』 (▼テトラpart)




 ――――メルクト共和国に入国した。


 エスカルテの街のギルドマスターであるバーン・グラッドが、馬車と馬を用意してくれた。


 エスカルテの街からは、私とセシリア、それにバーンさんの信頼する弟分のボーゲンさん。リオリヨンの街の冒険者ギルドからは、アレアスさん、ミリスさん、ダルカンさんの3人。クラインベルト王国からは、『青い薔薇の騎士団』のローザ団長がメイベルさん、ディストルさんの助っ人にかけつけてくれた。


 全員で9名。この9名でメルクト共和国へ向かって、国を乗っ取ろうとしている『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』を倒して国を救うのだという。


 人が聞けば、たった9人でそれができるのかと、不安になるかもしれない。だけど以前、ルーニ様を『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』や『ドルガンド帝国』から救出する為に旅立った当初、私とセシリアは二人しかいなかった。


 途中、アンソンさんという老人の助けや、マリンという心強い味方もできた。


 アーサーには裏切られたけど、それでも私とセシリア、それにマリンはルーニ様救出という大役を果たすことができた。


 それから考えると、今回は9人もいる。たった二人で旅立った頃の事と比べると、4倍以上なのだから、きっとメルクト共和国だって救えるに違いないと思った。それにメルクト共和国に入れば、メイベルさんの仲間も沢山いて、一緒に戦うそうだ。


 国を救う仲間は、もっと増える。


 馬車と共に駆ける馬には、ローザ団長やボーゲンさん、メイベルさんとディストルさんが騎乗し、私とセシリア、アレアスさんパーティーは、馬車の方へ乗せてもらっていた。御者は、ダルカンさんがしてくれている。


 ミリスさんが、声をかけてきた。



「ちょっといいかしら」


「は……はい?」


「話に聞くとあなた達、相当強いメイドさんみたいね」


「お役に立てればとは、思っています」


「ウフフ。クラインベルト王国のルーニ王女が『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』によってドルガンド帝国まで誘拐された際も、見事に助け出したそうだけど。だとしたら、凄いわ」


「私達の力だけでありません。今、馬車の隣を馬に騎乗していられるローザ団長も、王国騎士団という心強い応援を引き連れて、助けに駆け付けてくださいましたし、他にも助けてくれた人達がいます。その人達全員の功績だと思います」


「ウフフ。物凄く謙遜するのね」


「謙遜だなんてそんな……それは本当の事だから」


「そちらのセシリアさん……は、見た感じ魔法で戦うタイプなのかしら? 私と同じ、補助魔法かもしくは黒魔法の使い手……って感じかしらね」



 何かの本を読んでいたセシリアは、自分のかけている眼鏡をくいっと少し持ち上げた。


 馬車内で読書をしていたが、ミリスさんに質問されてパタンと本を閉じる。そして、答えた。



「私は魔法も一切使えないし、剣やテトラみたいに槍も使いこなせないわ」


「え? じゃあ、どうやって戦うのかしら?」


「私は私の戦い方があるの。でも、それを今あなたに説明する必要はあるのかしら?」



 セシリアの言葉にミリスさんが困った表情を見せた。きっとミリスさんは、これから一緒に戦う仲間との仲を少しでも深めておこうという事と、お互いに能力の把握をしておいた方がいいと思って話しかけてくれているのだろう。でも、セシリアは私が最初に旅した頃の、つんつんセシリアだった。


 でも確かに思い出してみると、この子は初めて会う人にはなかなか心を開かないという特性があった。そうと、解ればフォロー。私がフォローをしないと――



「セシリア。ミリスさんは、これから行動を共にする仲間の事を知っておこうという事と、もしもの時に問題なく連携できるように、仲を深めておこうッて思って話かけてくれているんですよ」


「は? それがなに?」


「え? それって、だから」


「だから? それくらい、あなたに言われなくても解っているわ。私を甘く見ないで頂戴!!」



 ポヨンっ!



「きゃっ!!」



 セシリアはそう言って、私の胸を下から上に軽く叩いた。うっうーー。最近、セシリアは私の弱いところばかり狙ってくる。


 セシリアは、ミリスさんとアレアスさんに気になっていた事を聞いた。



「それはそうとアレアスさん達は、この馬車が何処へ向かっているのか知っている?」


「一応な。メルクト共和国首都近くにあるテラネ村だそうだ」


「テラネ村……直接、首都に行く訳ではないんですね」



 相槌を打ったつもりでそういうと、アレアスさんとセシリアに呆れた顔をされた。え? どうして?


 ミリスさんが優しい顔で言った。



「メルクト共和国は、現在世界最大規模の犯罪組織『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』に、乗っ取られているの。……っていう事は、解るでしょ? テトラちゃん」



 あれれ? ミリスさんに、ちゃん付けで呼ばれるようになった。出会ったばかりの時は、テトラさんって呼んでくれていたのに。私は一瞬、そちらの方が気になってしまった。



「つ……つまり、メルクト共和国の主都には、今沢山の『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』という賊が国を乗っ取る為に入り込んできているっていう事だから…………っあ! 首都は今、敵の本拠地なんだ。だから、その近くにあるテラネ村に入って、国を取り返す為の準備を整えるって事ですよね」


「そう、その通り。よくできたわね、テトラちゃん」



 ミリスさんはそう言って私の頭を優しく撫でた。え? え? やっぱり私の事、なぜだか子供扱いしている。



「それとメイベルさんの話では、その村にこの国の執政官が逃げ延びているかもしれないんだって」


「執政官ですか?」



 解らないという顔をすると、アレアスさんが驚いた顔をし、セシリアが溜息を吐いた。



「だだだ、だってそんなの私、知らないんですもん! だだだ、駄目なんですか? 知らない事を聞いちゃ!!」



 セシリアが何か言おうとした所で、ミリスさんが私を抱きしめた。顔がミリスさんの大きな胸に埋もれると共に凄くいい匂いがする。しかも、気持ちよくなってなんだかだんだん眠くなる。



「いいのよ、いいのよ。テトラちゃん。私がちゃんと説明してあげるから。ウフフフ」



 ミリスさんの優しい言葉と、馬車の揺れ。うかつにも私は本当にミリスさんの放漫な柔らかい胸の中で眠ってしまった。

 

 その時、私に向けられるセシリアの溜息が微かに聞こえたが、もう誘惑には抗えなかった。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇テトラ・ナインテール 種別:獣人

本作、第二章~第三章のもう一人の主人公。狐の獣人で、九尾と言われる一族。クラインベルトのメイドだったが、第三王女ルーニの誘拐事件以来、その誘拐を計画した巨大犯罪組織『闇夜の群狼』を壊滅させるために立ち上がる。エスカルテの街のギルマス、バーン・グラッドの代わりに冒険者メイベル・ストーリの依頼を受けて、メルクト共和国を現在混乱状態に陥らせている『闇夜の群狼』をやっつける為にメルクトへと向かう。メイドではあるけれど、第一王女モニカ仕込みの棒術、槍術に優れている。


〇セシリア・ベルベット 種別:ヒューム

長く綺麗な黒髪に眼鏡が特徴的。クラインベルト王国の国王直轄の王宮メイド。上級メイド。ルーニ誘拐事件から、テトラと行動を共にするようになり、彼女の事を信頼するようになった。リア達のような奴隷にされる子供達やカルミア村のように、賊に略奪され無残に殺される人たちを助け、非道な賊を許さないというテトラの思いに賛同し再び行動を共にする。


〇ボーゲン・ホイッツ 種別:ヒューム

エスカルテの街に種族しているAランク冒険者。ギルマス、バーン。グラッドの弟分で弟子だという。口が悪く粗暴。しかし、バーンの彼に対する信頼は厚く、メルクト共和国救援依頼に最も最適だと思っている人物。


〇ミリス・カーランド 種別:ヒューム

リオリヨンの街を拠点に活動をしているBランク冒険者。クラスは、プリースト。アレアス、ダルカンとパーティーを組んでいる。回復魔法や補助魔法を得意としている。以前、ニガッタ村の周辺でウルフが大量に発生し人を襲う事件があった時に、冒険者ギルドから依頼を受けて討伐に向かった、その時に知り合ったルシエル・アルディノアを自分のパーティーへ誘った。今回はリオリヨンの街にいた所、メイベルの依頼を受けてテトラ達と共にメルクト共和国救援依頼を受けた。


〇アレアス・ホスター 種別:ヒューム

リオリヨンの街を拠点に活動をしているBランク冒険者。クラスは、ソードマン。ミリス、ダルカンとパーティーを組んでいる。パーティーのリーダーもアレアスが勤めている。愛用の武器は、ロングソード。ミリスと共にメルクト共和国へ向かう。


〇ダルカン・マクライト 種別:ヒューム

リオリヨンの街を拠点に活動をしているBランク冒険者。クラスは、ウォーリアー。ミリス、アレアスとパーティーを組んでいる。パワー型で、愛用の斧を武器に戦う。パーティーでも一番の力持ちで、そういう場面に出くわした時は彼が担当する。ミリスと共にメルクト共和国へ向かう。


〇ローザ:ディフェイン 種別:ヒューム

クラインベルト王国の国王陛下直轄騎士団『青い薔薇の騎士団』の団長。悪にはふてぶてしいが、善にたいしては優しさで溢れている行動を見せる。真面目な性格のようだが実はあまえんぼうで、おバカな一面もあったりする。アテナやルシエル、ミャオとは親友でまた冒険やキャンプをする日を楽しみにしている。今回は、セシル王の命でテトラ達とともにメルクト共和国を救う為、部下達を国へ残して団長一人乗り込む。


〇メイベル・ストーリ 種別:ヒューム

メルクト共和国を中心に活動しているAランク冒険者。メルクト共和国が『闇夜の群狼』に襲われ、執政官達が殺害され国が乗っ取られかけると、隣国のクラインベルトへ救援を求めて向かった。一人称は、「あっし」だけど、実は女子。


〇ディストル・トゥイオーネ 種別:ヒューム

メルクト共和国を中心に活動しているEランク冒険者。ルクト共和国が『闇夜の群狼』に襲われ、執政官達が殺害され国が乗っ取られかけると、相棒のメイベルに従って隣国のクラインベルトへ救援を求めて向かった。ビキニアーマーを装備するセクシーな冒険者。だが行動も喋り方も乱暴な感じでパワー型。スレッジハンマーを得意の武器とする。


〇バーン:グラッド 種別:ヒューム

大剣をブンブン振り回す筋肉モッリモリのマッチョメン。エスカルテの街のギルドマスターで、アテナやテトラとも知り合い。最近世間を騒がせている巨大犯罪組織『闇夜の群狼』を討伐するべき、日々その情報を集めている。冒険者ギルドの勤めや、国王陛下からの命もあり国を離れる事が難しく、今回メルクト共和国からの救援の要請をテトラ達に託した。


〇マリン・レイノルズ 種別:ヒューム

Ⅽランク冒険者。水属性魔法が得意なウィザード。テトラ達がルーニ誘拐事件の時に出会い、仲間となる。それから救出まで共にし、一緒に王都まで行く。それから一旦別れるがカルミア村の件で再会。その後、ルキアの妹リアが生存していた事をルキアに知らせてあげる為、またテトラ達と別れルキアのいるノクタームエルドへと一人向かう。


〇アンソン 種別:ヒューム

テトラ達がルーニ誘拐事件の際に、彼女を助けにトゥターン砦まで向かう為にホーデン湖を渡るのに協力してくれた老人。護身用でもっていた、かなりいい感じのボウガンをセシリアに渡した。セシリアはそのボウガンを使って見て初めて自分がこういう飛び道具が得意だと気づいた。

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