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第213話 『地底湖料理の下準備』



 このノクタームエルドに存在するいくつかの拠点の一つ、ロックブレイクに立ち寄って休息した時に大きな事件が起きた。その私達が身を寄せた拠点、ロックブレイクに大量のスライムが群れとなって攻め寄せたのだ。


 スライムは、一般的な種類ではなくアシッドスライムという強力な毒性を持ったスライムだった。その数の多さから、私達はミューリやファムだけでなくギブンや、キョウシロウとも共闘してアシッドクライムを討伐し尽くした。


 それで、ロックブレイクはなんとか守る事ができたのだが、その時にルシエルはアシッドスライムとはまた別の敵と戦っていたようで、その相手に思いきり殴られたらしく大きく頬を腫らして帰ってきた。


 改めて、その時の事を詳しく聞き出してみると、どうやらルシエルと戦った相手は、ハーフドワーフの女の子だったという事が解った。しかも、ノエル・ジュエルズという名の冒険者で、ミューリとファムの顔馴染みだった。


 大きな戦斧、バトルアックスっていう破壊力のある武器なんだけどそれを装備していたらしい。話を聞く限りは、かなりの怪力キャラ。


 ルシエルは、そのハーフドワーフの少女、ノエルが丹精込めて焼いていた肉を、誤って食べてしまったらしく、それが原因でその子と殴り合いになったのだ。

 

 でも、ルシエル相手に素手で圧倒するなんて、その子は相当な手練れなのかもしれない。


 ミューリとカルビが待つ地底湖まで、その話で盛り上がった。けど、地底湖に戻ってからも、その話は続いた。ミューリが笑い転げている。



「ヒャーーハッハッハ!! 面白ーい! それでノエルと、また遭遇して殴り合いになるような事があったら、負けてられないっていうので、ルシエルちゃんは己の拳闘力を高める為に、腕自慢のジャイアントアントと素手のみで戦ってたんだ?」


「うむ。あれは、蟻の中でも中々他に類を見ない拳闘士だったぞ。最後は、オレの右クロスカウンターで倒したけどな。いやー、接戦だった」


「アッハッハッハ!! 本当にルシエルちゃんは、面白いなー! アテナちゃんとルキアちゃんも面白いけど、ルシエルちゃんの面白さは、頭一つ抜いてるねー」


「わ、私は面白くないでしょ! 蟻とボクシングするなんて、ルシエルくらいだよ」


「私も面白くはないですよ! 面白いのは、ルシエルだけですよ」


「なんだよー。やめろよ、オレだけのけ者にして虐めるなよ」



 そう言って必死にすがり付くように手を伸ばしてくるルシエル。その手を払いのけた。


 ミューリは、まだお腹を抱えて笑い転げている。私も気が付くと笑っていた。

 


「今度、あのノエルとかいうハーフドワーフに会った時……変わらず襲い掛かってくるような事があれば、オレはオレ自身を守る為にも、この両の拳で全力で応戦するんだ。拳で来るなら、オレも拳で返すつもりだ」



 ルシエルがぎゅっと拳を作って、前に打って見せた。それを見て、ミューリとファムが拍手した。



「何にしてもあのノエルと、拳だけで打ち合えるなんて驚きだよ。ファムもノエルと喧嘩した事はあったけど、その時は風魔法で吹っ飛ばした」


「僕も、僕もー。僕もノエルと言い争いになって、掴みかかられたときに爆炎魔法で吹っ飛ばしちゃった」



 うーーん。この姉妹にここまでされるノエルっていう子は、いったい……


 でも、ミューリやファムと同じく冒険者みたいだし、私も会うかもしれないな。ハーフドワーフって会った事がないから会ってみたいし。


 そんな話をして楽しんだ後、昨日から作りたかった蟹鍋を作り始める事にした。出来上がるまではまだもう少し時間がある。だから、採取してきた葡萄などの果実を皆に振舞った。もちろんシャルロッテ達にも。


 ルキアに葡萄と赤い実の果実を配りに行ってもらうと、なんとシャルロッテがお礼を言いにやってきた。



「頂いたので早速食べてみましたけど、瑞々しくてとても美味しい葡萄ですわ。ありがたく頂戴致しますわね」


「お口にあって良かったわ」


「丁度、何か水気のあるものを頂きたかったから、とても嬉しいわ。良かったら何かお礼をして差し上げたいのだけれど、何かできる事ってあるかしら」



 シャルロッテがそう言うと、残っている果実をドサリと手渡した。



「じゃあ、お料理を手伝ってもらおうかな。とりあえず、その前にあの向こうでキャンプしている3人組の子達に、これをおすそ分けしてきて」


「フフフ、お優しいのね。了解ですわ」



 しかし、すぐにシャルロッテは戻ってきた。



「どうしたの? いなかった?」



 シャルロッテは頷いた。でも、果実は彼女たちのキャンプに置いてきたので、ちゃんとおすそ分けをしてきたらしい。きっとそこらへんで泳いだりして遊んでいるのだと思うけど、キャンプへ戻ってきてあの果実を見れば何か言いにここへやってくるはず。そしたら、あの子達も誘って一緒に蟹鍋を食べよう。


 そう思って料理に取り掛かるとルキアとファム、そしてシャルロッテが手伝いに来た。


 そしてルシエルの方を見ると、ルシエルとミューリは楽し気にカルビと遊んでいる。



「ルキアとファムも、カルビと遊んできていいよー」


「え? わたくしは?」


「え? 手伝ってくれるんでしょ? シャルロッテは手伝ってよ。メイドさん達を連れてこなかった所から見て、あなたが手伝いたくてやってきたんでしょ?」



 図星だったのか、シャルロッテは初めて顔を赤くして背けた。



「でも、私だけでも手伝います。お料理ももっとできるようになりたいし」


「ファムもルキアと同意見。ファムもミューリも料理はあまり得意ではないから、ファムだけでももう少し料理が得意になりたい」


「そう? わかった。じゃあ、折角だから皆にも手伝ってもらおうかな」



 ルキアとファムには、採ってきた野草とキノコをカットしてもらい、シャルロッテにはブルーブレイドクラブの残っている部分、身を取り出してもらう作業を頼んだ。


 その間に私は、地底湖の方で鍋に水を汲んで、焚火を熾したら、その鍋を火にかけた。


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