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第209話 『悩む朝』



 私とシャルロッテが話し込んでいる間、ルシエル達は気を使ってくれて、二人だけにしてくれていた。でも、話が終わったのでそれとなく皆の所へ行って、それとなく話が終わった事を伝えようとした。すると、知らない女性の声が近づいてきた。



「こんにちはー」


「こんにちは。ど、どちら様?」



 そこには、可愛い水着姿の女の子が3人いた。水着姿という事は、私達と同じくこの地底湖に遊びに来た子達かな。



「初めまして。私達は旅をしている冒険者なんですけど、この地底湖の噂を聞いて、是非見たいねって見に来たんです」


「でも折角だから、遊ぼうって事になっちゃって、それで水着を用意して泳ぎに来たんです」



 仲の良さそうな、女冒険者3人組。私とルシエル、ルキアみたいだなと思った。ミューリが言った。



「へえー。僕達と一緒だね。それじゃ、これから泳ぎに行くの?」


「うん、これから泳いできまーす」



 私はミューリと顔を合わせると、女の子達に言った。



「湖は水も澄んでいて凄い綺麗だけどかなり冷たいから、後でここに寄ってくれれば焚火もあるし、温かい飲み物もあるから」


「ええ! いいんですかー?」


「わー! ありがとうございます」


「やったねー」


「でも地底湖で泳ぐなら、でっかい蟹とかいるから、気をつけてなー」



 ルシエルがそういって手を振って見送ると、女の子達は湖の方へ楽しそうにお喋りしながら歩いていき、飛び込んだ。きゃっきゃ楽しそうに騒いでいるのを見ると、私ももう一度湖で一緒に泳ぎたくなった。


 ルキアがカルビを抱きながら、トコトコと歩いて近寄ってきた。



「アテナ。今、何時なんですか?」


「そうねー……」



 そういえば、今何時なんだろう。洞窟世界ノクタームエルドに来てからとうもの、昼なのか夜なのか時計がないと解らなくなってしまう。ロッキーズポイントで商人モルト・クオーンから購入した時計は、この世界で私の必需品になってしまっていた。


 もしも今、時計を持っていなくて、またモルトさんから購入できるとしたら、10倍でも払っちゃうだろう。だってこれがないと、本当に食事や睡眠の感覚もまったく解らなくなってしまうのだから。


 私は腕につけている時計の針を確認して、ルキアに答えた。



「あれ、もう19時ね。なんだかんだしていると、あっという間に時間が過ぎるね」


「はい。それじゃあ、今日はここでキャンプって事でいいんですよね」


「うん、明日もちょっとこの近くで寄りたい場所があるから、2泊するつもりだよ」


「じゃあ、また泳ぐかもしれませんし、水着のままでいいですか?」



 私は頷いた。ここを出発したら、また水着を着るなんて事なかなかないだろうしね。折角ミューリから、こんな可愛い水着……ちょっときわどいけど、手に入れたんだから着れるだけ着ておかないとね。


 食事も終わり、お茶を飲んでゆっくりしたところで私達は、テントに入って休む事にした。ルシエルもミューリも、ファムも、シャルロッテもそれぞれテントに入った。


 ルキアは、折角可愛い水着を着ているので脱ぎたくはないけど、でもお腹が冷えるらしく、ずっとカルビを抱いていた。そして私のテントで一緒に寝かせて欲しいといって入ってきた。毛布に包まって、ルキアとカルビと寄り添うと温かくなり、程なく眠りについてしまった。






 ――――目が覚めると、すぐ目の前にルキアの頭があった。可愛い耳。


 時計を見ると、6時30分。朝になっていた。傍らで眠るルキアとカルビを起こさないように私は。そろりそろりとテントの外へ出た。



「そろり……そろり……」


「おっ! 起きたか、アテナ。おはよー」


「お、おはよう」



 テントを出ると、私よりも早く起きていたルシエルが挨拶をしてきた。焚火で湯を沸かしていたルシエルは、自分の分に加えて私の分の珈琲も入れてくれた。



「ありがとう」


「おう」



 温かい珈琲を飲む。ノクタームエルドは、洞窟世界なのでこの世界全体が基本的に寒かったりするけど、この地底湖の辺りは更に気温が低いように思えた。水遊びや、水着でいるっていう事もあるけど。


 だから、朝起きて飲むこの暖かい珈琲が極上の味に思えた。ルシエルは私の表情から、私がそう感じている事を察して嬉しそうな顔をしている。



「それで、昨日のシャルロッテの事は聞かないの?」


「ああ、それな。全く気にならないって言えば嘘になるけど、アテナが話したければ話してくれればいいし、話したくなければ詮索はしないよ」


「ウフフ。そうなんだ。ルシエルは優しいね」


「そりゃあ、アテナの事を親友と思っているからさ。もちろん、ルキアやカルビの事もだけどな」


「ルシエル……」


「えーー、僕とファムの事は入ってないないのかな?」


「うわあああ!!」



 後ろからミューリが、にゅっといきなり顔を出していったので、私もルシエルもびっくりした。どうやら、ミューリも起きてしまったらしい。もしかして、私達の会話で起きちゃったのかもしれない。



「もちろん、ミューリもファムもオレの心の友さー!! その証拠に、このままミューリ達とパーティーを組んでもいいと思っているぞ。なっ。アテナ」


「うん。ミューリとファムが仲間に……私達のパーティーに入ってくれたら心強いよ。ルキアだって、きっと賛成すると思うけど、どう?」


「うーーん、考えておくよ。嬉しい申し出だけど、僕とファムは、このノクタームエルドを拠点として冒険者の活動を行っているからね。アテナちゃん達は、ノクタームエルドをひとしきり冒険したら、また他の国へ旅立つんでしょ? ファムとも相談しなきゃだし……でも、誘ってくれたのは嬉しいから、返事はもう少し待ってほしい」


「うん」


「おう!」



 シャルロッテからルーニの話を聞いた。ミューリには、私が王女だという正体も知られてしまったし、その事を含めシャルロッテから聞いた話も、二人にした。


 ルーニはもう救出されて王都で無事暮らしているとは聞いたものの、内心は不安になっているという事も。

 

 ルシエルは、うんうんと新味になって聞いてくれた。



「アテナが心配になる気持ちはわかる。ならさ、一度、クラインベルト王国へ戻るか?」


「ううん。それは、まだどうしようか悩み中。私ももうちょっと考えてみる」



 折角ここまで来た。だから、クラインベルト王国へ戻るにしてもドワーフの王国に辿り着いてからにしたいと思った。







――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇モルト・クオーン 種別:ヒューム

行商人。以前、オークに襲われていたモルトをアテナが助けて知り合いになった。その後、ノクタームエルドの入口にあるロッキーズポイントで再会する。再会ついでにアテナはモルトから、色々といい商品を良心価格で購入した。アテナとモルト、どちらがやり手なのだろう?


〇仲良し三人娘 種別:ヒューム

アテナ達と同じく気の合う者でパーティ―を組んで冒険者をしている。何処からから、このノクタームエルドにまでやってきたようだ。

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