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第200話 『地底湖 その1』



 全部、ビキニタイプの水着だった。そしてどれもちょっと何処かしら、きわどい。なんで、こんな水着ばかりミューリは、持っているんだろうかと思った。


 その中から色々と探して見ていると、セクシーさは抑え目で尚且つ可愛いのがあったので、それがいいと言ってミューリから受け取った。


 ルキアやルシエルの分もいいのがあったので、それを選んで私の分と含めて水着代を支払うと言った。だけど、ミューリもファムも「いいから、いいからー」と言って受け取らなかった。なので私はお礼を言って二人の気持ちに甘える事にし、そのうち何か別の形で、何か返そうと思った。


 皆、水着に着替えると地底湖の方へ向かった。水着なんて久しぶりだから、なんだか恥ずかしいし、ちょっと落ち着かない感じだけれど、ここには私達の他に誰もいなかったので、まあいいかと開き直った。ルシエルとファムの手には、釣り竿。ファムのもう片方の手には、何やら箱を持っているのでそれが釣り餌だろうと思った。


 地底湖の真ん前まで来ると、思わず息を呑んだ。天井で輝くそれが発光石(ライティングストーン)という光を放つ石だと教えてもらったけれど、やっぱりそれが夜の大空に輝く星に見える。その真下には悠然と広がる地底湖。発光石(ライティングストーン)の光がまた地底湖の水面に跳ね返り、幻想的な世界を創り出す。



「本当に、この場所は素敵ね」



 私の言葉に頷いたミューリが、湖の方を指して言った。



「地底湖は、この辺は大丈夫だけど、もっと奥へ行くと危険な魔物もいるから気を付けてね。ここは、キャンプできると言ってもダンジョンの中である事はかわらないから。湖は深い場所も多いし、周囲は岩だらけだからそれで怪我したりしないように、十分に気を付けて泳ごう」


「うん、解った。十分に気を付けるわ」



 ファムが、こちらを見て言った。



「ファムは、ルシエルはちょっと先に釣りをしてくるよ。泳ぐのは、後にする」


「はーーい、りょーかーい。ファムとルシエルちゃんは、釣りに勤しむんだね。じゃあー、アテナちゃんとルキアちゃん! 僕達は、先にひと泳ぎしよう!」


「うん。わかった」



 地底湖の辺まで来ると、まずつま先から水につけた。冷たい!



「ひゃいっ!!」



 私の悲鳴にミューリが笑い転げ、ルキアは目を丸くしている。やっぱり、地底湖というだけあって、水は非常に冷たい。だけど、凄く澄んでいて綺麗な水。



「みゃっ!!」



 今度はルキアが声をあげた。水に浸かったのは、片足のくるぶしまで。どうしよう、折角だから泳ぎたいけれど、水が冷たすぎる。



「フフフ。こういうのは、意外と一気に行った方がいいんだよ。そいやっ!!」



 ザッパーーーーンッ!!



「うそ⁉」


「えええ、大丈夫でしょうか⁉」



 ミューリはそう言うと、本当に一気に頭から地底湖に飛び込んだ。そしてミューリは私達の心配をよそにザバザバザバと楽しそうに向こうへ泳いで行く。少し離れた岩がある所まで泳ぐと、よいしょっとと岩によじ登りこちらに手を振ってみせた。



「おーーーい!! 早くおいでよー!! アテナちゃん、ルキアちゃーん!!」



 私はルキアと顔を見合わせる。



「よ、よーーし。じゃあ私達も行くよ!」


「はいっ!」



 ルキアと手を繋いで、湖に近づく。確かにミューリが言うように、こういうのは思い切って一気に入った方が入れる。……でも、私が想像していたよりも、湖の水は冷たい。


 再度、ルキアの顔を見る。



「はっ!! そうだ!! いい事を思いついた!」


「え? え? なんですか、アテナ?」


「ルキア、ちょっとこっちに来て。こうすればいいかも」


「ひゃっ!!」



 私はルキアと向かい合った所から、ルキアを抱き締めて身体を密着させた。これなら、一番冷たさを感じそうなお腹を守れる。



「いい、ルキア? このまま、身体を密着させたまま、水に入るよ」


「は、はい! 確かに、これならなんとか普通に水に入れるかも」


「うん、ゆっくりよ、ゆっくり」



 向こうの湖から突き出た岩の上で、ミューリが不思議そうにこちらの様子を見ている。文字通り、高みの見物といった感じ。私とルキアは、そろーり、そろーりと慎重に横歩きに湖の方へ歩を進める。そして、同じタイミングで足を湖に入れようした刹那、足が縺れた。



「あっ! ええええーーー!!!!」


「う、うそでしょーー⁉」

 


 私とルキアは、それぞれ別に湖に落水した。あまりの冷たさに、つま先から頭の先まで何か電撃のようなものが、走ったような感覚。ルキアは水に落ちたショックで、混乱してバシャバシャと水を叩いて藻掻いている。私は、ルキアの方へ泳ぐと、藻掻いていたルキアは必死に私へ抱き着いてきた。慌てるルキアを落ち着かせる。



「大丈夫だよ。落ち着いて、落ち着ていて! 泳げるでしょ、ルキア?」


「は、はい! で、でも、ここ足がつきませんよ!!」


「大丈夫、私が近くにいるから、落ち着いて頑張って泳いでみて。駄目だと思ったら、すぐに私に掴まっていいから」


「あ、ありがとうございます。アテナ」



 そう言うと、ルキアはやっと落ち着きを取り戻した。ふと気づくと、私もルキアもすっかり湖の冷たさには慣れてしまっていた。


 ミューリがいる岩の方まで、泳いでみる。



「おおー、お二人さん。ようやく、僕のいるこの岩の所まで泳いでくることができたねー」


「ファムにもだけど、こんな素敵な場所を案内してくれたミューリには感謝しないとね」


「フッフッフー。っでしょーー!! でも、これだけじゃないんだよー。二人ともついてきて」



 ミューリはそう言って、岩から水へ飛び込んだ。



「ミュ、ミューリ!!」


「ルキア、ミューリの後を追いかけよう!」



 ルキアの手を引く。湖にダイブ。私とルキアも、慌ててミューリの後を追った。


読者 様へ


当作品を読んでくださいまして、ありがとうございます。

そして、ブクマ・評価・イイね・ご感想をくださいました方々には、

更に厚く御礼申し上げます。

物凄く励みになっておりますし、めちゃくちゃ嬉しいです。

m(;O;)mうう……ありがとうございます!


そしてそんな暖かい読者様のお陰もありまして、

なんと当作品もまさかの200話目になりました。

当初、ノリと勢いで書き始めた頃の事を考えると、

ここまで書き続けれた事が、自分自身驚きでならないです。

そして、それができた事は、応援してくれたり、いつも読んでくださっている

皆様のお陰だと思いました。


毎日書くとなると、これがなかなか大変な事ですし、難しい事なんだなと

最近強く思っております。でも一方で、またそれも作品を作る面白さの一つなのかなと

感じております。


まだまだ、たどたどしい作品ではありますが、引き続き頑張っていきますので、

アテナ共々どうぞよろしくお願いします。

p(; ・`д・´)ふんすっ!



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