表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

187/1343

第187話 『A&E』




 セシリア、マリンが起きてくると朝食を準備して揃って食べた。そして、キャンプを畳んでエスカルテの街へと戻った。



 ――――これからどうするか? 



 実はそれを私とセシリアは考えて、すでに心に決めていた。それはリアやミラール君達のような子供達を奴隷商や盗賊のような輩の魔の手から、救いたいという事だった。


 攫われたルーニ様を救出しに行ったトゥターン砦、カルミア村を襲撃したバンパ達がいたアジトにも、同じような子供達が攫われ奴隷として売買する為に檻に入れられていた。


 『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』という組織が、そういった奴隷売買に関する商売の元締めだった。だから私は、その犯罪組織を叩き潰して、奴隷にされるような子供達を救い出したい。そして、二度とそういう事が起きないようにしたいと思ったのだ。


 バーンさんの話では、この王国に蔓延っていた『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』は、あのバンパがいたアジトと帝国に流通していたトゥターン砦を潰した事で、ほぼ壊滅したと考えていいという事だった。


 でも探せば、まだこの王国内でも奴隷売買をしている者達はいるかもしれない。それ程、根が深すぎる。『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』という組織は、世界中に根を張っていて巨大だという。それなら、その組織の根が張っている国を片っ端から探して組織を虱潰しにしていくしかない。


 そんなとても途方もない戦いに、喜んで協力してくれると言ってくれたセシリアと共に、エスカルテの街の冒険者ギルドへ向かった。


 バーンさんと、リアに合う為だった。私達は、これからまずリアのお姉さんに会いに行ってリアが元気でいる事を伝える。それから、『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』の手がかりを探し出して、叩いていく。そういうプランだった。


 冒険者ギルドに付くと、早速2階にあるギルドマスターの部屋へ通された。そこには、バーンさんとリアがすでに私達が来るのを待っていた。とりあえず、バーンさんに言われるがまま椅子に座る。



「もう旅立つんだな。リアは、これから忙しい事にルーニ様のいらっしゃる王都と、このエスカルテの街――それからカルミア村を暫く行き来して生活するそうだ」


「大丈夫ですか? リア」


「はい、大変ですけど、大丈夫です。ルーニちゃんと折角お友達になれましたし、これからクウ達ともカルミア村の復興を頑張ってしていきたいですから両立させないと。欲張りかもしれませんが、出来る限りこれからの事を、頑張ってみたいんです」

 

「って訳だ。俺もできる限りだが、そんな直向なリアをバックアップしてやるつもりだからまあ大丈夫だ。……それで、お前らももうここを旅立つんだろ?」


「はい、そうです。私達も、バーンさんにはお世話になりました。色々と楽しいくて、まだまだここに皆といたいという気持ちに後も引かれますが……」



 私とセシリアは、これからリアのお姉さんに会いに行く事と、『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』を叩けるだけ叩いて、そこに囚われている人達を、可能な限り助け出す旅に出たいという決意を告げた。



「そうか。本来なら、俺も一緒に行って奴ら組織をぶっ潰してやりたいんだがな。生憎、俺にはこの街のギルドマスターとしての立場や責任がある。一緒には行けねーが、俺にできる限りのバックアップはさせてくれ」


「ありがとうございます! バーンさん」



 セシリアが続けた。



「ありがとうございます。それじゃ、リアのお姉さんにリアの事を伝えた後の事になるのだけれど、近くの国で『闇夜の群狼(やみよのぐんろう)』が蔓延っているという情報はないかしら。あるのであれば、次の目的地になるのだから伺っておきたいわ。とりあえず私達の出来る事として、奴らの大きなアジトを叩いて行こうと思っているの。アジトには、捕らえられている人達もいるでしょうし、単純だけどまずできる事としてはいい事だと思うの」



 セシリアの言葉にバーンさんは、腕を組んで唸った。



「そうだなー。近隣の国で、奴らのアジトがある場所ねー。そもそもそんな場所がバレてたら、犯罪組織のアジトになんねーからなー。実際に、奴らが蔓延っている国へ行って見て、協力してくれるか対策をしている冒険者ギルドを探して聞いてみれば、何か情報を掴む事ができるかもしれないが。……俺も一緒に行ってやれればなー」



 再びバーンさんは唸った。



 ドンドンッ!



 扉をノックする音がした。扉が開き、冒険者ギルド1階にいた受付嬢が顔を出した。



「なんだ!」


「ギルマス。メルクト共和国首都の冒険者ギルドから、Aランク冒険者、メイベル・ストーリ様がお見えです。火急のご用件があるとの事ですが、お通ししてよろしいでしょうか?」


「なんだ? メルクト共和国からなんの用だ? ……まあいい。よし、通せ」



 そう言うと、二人の女が部屋へ入って来た。一人は、如何にも冒険者という感じのマントが似合う小柄な女性で、もう一人は同じ女性でも赤面してしまいそうな程の豊満な胸とプロポーションをした、ビキニアーマーの冒険者だった。それを見たバーンさんの顔は、先程までの真剣な顔から一転した。鼻の下が伸びている。セシリアとマリンは、そんなバーンさんをまるで虫でも見ているかのような目で見た。


 ビキニアーマーの女性の胸に釘付けになっているバーンさんに、受付嬢が再び声をかけた。バーンさんは、はっとして我に返り、立ち上がって軽く頭を下げて挨拶をしたので、私達もそれに倣った。



「お初にお目にかかる。あっしは、メルクト共和国を中心に活動させてもらっているAランク冒険者、メイベル・ストーリです。そして、こっちの刺激が強いフェロモンムンムン女は、Eランク冒険者のディストル・トゥイオーネです。お見知りおきを」


「このエスカルテの街のギルドマスター、バーン・グラッドだ。よろしく。それで、火急の要件というのは?」



 メイベルさんは、話そうとしたが私達を見て口ごもった。



「そうだったな、紹介がまだだった。この4人は、奥からリア、テトラ、セシリア、マリンだ。4人とも俺の身内で、この冒険者ギルドの関係者だ。だからなんでも喋ってもらっても大丈夫だ」



 メイベルさんとディストルさんは、顔を合わせた。


 そして、着席すると話し始めた。





――――――――――――――――――――――――――――――――

〚下記備考欄〛


〇メイベル・ストーリ 種別:ヒューム

メルクト共和国を中心に活動しているAランク冒険者。「あっし」とか、「……でやす」という特徴的な喋り方をするが、女性。ディストルとは、コンビのようだがなぜベテランのAランク冒険者の彼女がEランクのディストルとコンビを組んでいるのかは不明。その理由はきっとこれから、明らかになっていくだろう。


〇ディストル・トゥイオーネ 種別:ヒューム

メルクト共和国を中心に活動しているEランク冒険者。ビキニアーマーを着込んでいるので、肌の露出が激しい。しかし、彼女を目の当たりにして最初に目が行くのは見事に割れている腹筋。いかにも、パワー型といった感じで堂々としており、とてもEランク冒険者には見えない。しかし、彼女がEランクである事は間違えない事実である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ