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第1132話 『へーデル荒野で物資集め』



「それじゃ、行ってきまーーす!! めっちゃすげー驚くような大物を獲ってきてやっからよ、せいぜい楽しみにしろよな」


「じゃあ、行ってくる」


「はーい、気をつけていってらっしゃい」



 ルシエルとノエル、それにゾーイを見送った。本当なら私も行くべきだと思ったんだけど、こっちはこっちでやる事も他にあるし、ルシエルとノエルが任せろと言ってくれたので、お言葉にあまえる事にした。なんだかんだで、頼りになる2人だしね。あと、ゾーイも。


 彼女は、この対決に私達と共に参加してくれている。私達のメンバーであると同時に、エスメラルダ王妃の護衛でもある。だからずっとエスメラルダ王妃の傍にいて、護衛をしていなくてはならないのだろうけど……食糧や水がなければそれどころではない。


 だからゾーイの方から挙手して、ルシエル達と共に狩りに行くと言ってくれたので、お願いした。


 キャンプに残ったルキアとクロエも、狩りをする為に勇んで荒野へと出たルシエル達に、手を振って見送った。これで調子よく獲物を見つけて狩る事ができれば、夕方にはここへ戻ってくるだろう。



「さてと、これからどうしようか?」


「クロエ、こちらに来なさい。外へ出ていつまでも陽に当てられていると、具合が悪くなりますよ!」


「え? あ、はい!」


 ワウーー!



 エスメラルダ王妃は、クロエの手を握り自分のテントの中へ入っていってしまった。一緒に連れて行かれたクロエは、咄嗟にカルビを掴んだので、カルビも一緒に連れて行かれる。そんなカルビが、まるでヌイグルミみたいで笑ってしまった。


 ふーー、本当はカルビも猟犬変わりにルシエル達と一緒に行かせたかったんだけど……クロエは、カルビが傍にいるととても安心するから、ここに居てもらった方がいいかなと思ってそうする事にした。しかもカルビは、その気になればとても心強いナイトにだってなってくれるからね。


 広い荒野のど真ん中、私達のキャンプ設営場所には私とルキアだけが残る。私はパンっと手を叩いた。



「さて、それじゃルキア! これから色々とする事があるよ!」


「はい! あの場所に行って、水汲みですね!」


「うん、そうだね。それと薪拾いもしなくちゃならないね。私達の薪も、ゾルバが用意してくれた薪も、全て何処かへ飛ばされちゃったからね」


「ルシエルったら、本当にしょうがないですよね」


「フフ、でも悪気はないんだよ。いつもルシエルは、私達の為に色々と考えてやってくれているから」


「でも、はりきりすぎです!」



 プーーっと頬を膨らませるルキア。思わず、指でその頬を突っつきたくなる衝動を抑える。本当にこの子は可愛いな。そう言えば、確かノクタームエルドを旅してドワーフの王国に行った時、ルキアはドゥエルガルの少年達にモッテモテだったんだよね。


 私とルシエルが、その点について後でちょっと聞いてみたんだけど……ルキア自身は、友達ですからと言ってモテていた事を否定していた。フフフ。



「でもアテナ」


「ん?」


「こんな荒地だらけの荒野で薪拾いなんて、集められるんでしょうか? 森も林も無いですし」


「でも木や草はあるよ」


「え? ありますか?」


「枯草や枯木ならね。要はほら、燃料になるものを探しに行けばいい訳だから。確かに量は少ないけど、探せばその辺にあったりするしね。それに飛ばされた、私達やゾルバの薪が見つかるかもしれない」


「確かにゾルバさんが王妃様の為に用意した薪、かなりの量でしたもんね。あれだけあれば、あっちへこっちへ飛ばれていても少しは回収できるかもしれないですよね」


「そういうこと。それじゃ、行こうか」


「はい!」



 私とルキアがキャンプを出れば、ここに残るのはエスメラルダ王妃とクロエとカルビだけになる。まあ、何かあればカルビもいるし……それほど、ここから離れるつもりもないし、水場だって近い場所にはあったから大丈夫かな。


 エスメラルダ王妃のいるテントの前に行くと、私は中へは入らずに声だけかけた。



「ちょっと、水の調達と薪拾いに行ってきます!」


「え⁉ それじゃ、私も!」


 ワウッ!


「ううん、クロエとカルビはここにいて。そしてエスメラルダ王妃をお願い」


「え……あっ。わ、解りました」

 

 ワウー。



 クロエとカルビの返事が直ぐに返って来た。もしもクロエやカルビが私達と一緒にここを離れたら、ここにはエスメラルダ王妃1人になってしまう。カルビも、その事に気づいたのだろう。



「それじゃ、行ってくるから。水と薪の調達だから、また直ぐに戻ってきては、また調達に出てっていう事を繰り返してるから。暫くルキアと一緒にいるから、何かあったら大声で私達を呼んでね」



 そう言ってルキアと共に、いざでかけようとしたその時、エスメラルダ王妃のテントから、クロエとカルビがひょっこりと顔を出した。



「私達に何かお手伝いできることはありますか?」


「うん、あるよ。さっき言ったけど、それじゃ、エスメラルダ王妃をお願いね。それとたまにでいいから、テントの外の様子も見て欲しい……カルビと一緒になら、できるでしょ?」


「はい、任せてください」


「うん!」



 結局、エスメラルダ王妃は、テントに入り込んだまま何もこっちに喋りかけてこなかった。この暑さに加えて……ルシエルのあの竜巻魔法で、砂だらけになって機嫌が最悪なのは解るけど……

 

 うーーん、なんだかなー。いつもとやっぱり違う、ソワソワというかゾワゾワするいうか……なんか落ち着かないキャンプだね、こりゃ。


 でも荒野でのキャンプなんて、ガンロック王国以来だから、そんな場所でキャンプできるってだけでも、私的には楽しいっちゃ楽しいんだけどね。

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