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第1080話 『次なる対決に向けて』



 王宮内ダンスホール、中庭でと二カ所に渡ってモラッタさん達との白熱のお料理バトルを展開した。


 そしてその第一回戦であるお料理対決の勝者は、モラッタさん達となってしまった。この結果については、端からもうそうなるだろうなって予測していたので、もういいんだけど……何よりこの決闘を観戦……じゃない、見届けに来てくれた皆さんに、自慢のキャンプ飯を振る舞えた事は嬉しかった。


 フフ、皆美味しいって言ってくれたしね。しかも王族や貴族っていつもは高級ワインばかり飲んでいるみたいだから、ハイボールはかなり新鮮だったみたいだし思ったよりも大好評だった。


 まあそんな訳で、今日はもうお開き。次の第二回戦は、まさかのルシエルの提案でキャンプ対決となってしまった。


 開始は、明日の朝8時。そこからもう旗取り合戦はスタートするみたいなので、私達は早々に準備をするとヘーデル荒野を目指して王都を出発する事にした。


 って言うのも、確認してみたら、対決開始までは勿論自由になるから、私達のその旗のある場所に先に移動していてもいいらしい。それなら、当然移動するよね。ロケハンもかねてね。


 因みにメンツは、向こう側からの提案で100人。こんな驚きの人数を言いだしたのは、モラッタさんとガスプーチン。正直、驚いてしまったけれど、それを聞いた第一王女ミネロッサとトリスタン・ストラム卿がその事について物申した。



「ほう、二回戦はヘーデル荒野で100対100の対決か。これは、また面白そうな趣向じゃ!」


「お父様、まさかとは思われますが、このような事をお認めになるつもりではありませんよね」


「おへ? 何か問題でもあるか? 答えてみよ、我が愛する娘ミネロッサよ」


「いくらなんでも、100人というのは、いかがなものかと思います。この対決はアテナ王女とモラッタ嬢達がカミュウの縁談相手として、どちらが相応しいかを決める対決のはず。なのにこれでは、まるで戦争です」


「ハッハッハ。流石はミネロッサ様、実に聡明なお言葉ですな。見事に的を射られております。私もこれについては、どうかと思いますな。それにこの対決は、カミュウ殿下の縁談相手を決める為の対決だからと、女性のみの参加を認めるというルール。アテナ王女側には、エスメラルダ王妃が従える鎖鉄球騎士団などがおりますが、ほとんどが男性であり、女性だけ選んでもとても100には及ばないでしょうな」


「むむむ、確かにそれはそうかもしれんな。しかし、100対100という対決は、催し物としてはとても面白そうではないか?」


「もう! お父様ったら!!」


「わわ、ミネロッサ! 落ち着け、わかっておる。まあそういう訳じゃ、ガスプーチン。もう少しどうにかならんか?」


「ふむう。そう申されましても、例えばまた料理対決のように3対3で勝負するとの事になれば、こちらが断然不利にございますゆえ。デカテリーナ嬢は、我がパスキアの勇猛なる戦士ギロント将軍の娘という事もあり、腕に覚えもあります。ですが他の2人の戦闘能力は……お判りでしょう。せめて、腕に覚えのある者をつけさせて頂きたく存じますれば」


「ふむ。確かにアテナは、とても腕が立つのは既に立証済み。それに加えて他の仲間も腕が立つとなると……どうすればいいかのう、トリスタンよ」


「はっ。では、減らして30人までという事にしましょう。それでアテナ王女側が、この条件を呑むというのであれば特に問題は――」


「吞むわ!! この条件、呑む!! それでいいでーす!」



 まあ、こんな感じの事になり、30対30の対決になってしまった。でも正確には、向こう側はモラッタさんとデリザさんは大した戦力にはならないだろう。だから実質は、28人ってところかな。


 そしてこちらは、私、ルシエル、ルキア、ノエル、クロエ、あと1人としてカウントするのを特別に認めてもらったカルビ……あれ、6人になっちゃった、あははは。


 第二回戦は旗の取り合いの他に、気になる事もトリスタン・ストラムは言っていた。流石に6人は厳しいかもと思い、王宮を出たところで広場があるので、そこで集まって一旦どうするかを話し合った。


 ルキアも私と同じ不安を少し感じていたみたいで、その事に触れる。



「本当に私達だけで大丈夫でしょうか? マリンは、一緒に来てくれないんですか?」


「うーん、誘ったら来てくれると思うよ。でも今日も、王宮の書庫で何か熱心に何か調べものをしているみたいだからね」


「そうですか……」


「でも必要なら呼んでって言っていたから、そうなったら頼っちゃおうかな」


「はい、そうですね」



 マリンは、パスキアについて少ししたら、セシリアやテトラの後を追うと言っていた。


 それはルキアだけじゃなく、他の皆も解っている。だからちょっと寂しくなるけど、その時は、笑って送り出してあげたい。セシリアやテトラだって、マリンを必要としているはずだしね。


 それにまた私達と合流して、旅やキャンプをする事だってあるんだから。マリンは、もう私達のかけがえのない仲間という事実。ルキアはとても感受性が強いから、マリンが私達のパーティーから一時的にでも離れる事について、人一倍悲しくなってしまっているのかもしれない。私だって本当は、寂しいけど。



「まあ兎に角、こっちは6人。ルシエルとノエルがいるんだから、戦闘ならこちらの勝ちじゃない?」



 ルシエルがパカリと口を開ける。



「え? 戦闘になるのか?」



 ノエルがとても哀れな者をみるかのような目で、ルシエルを見つめた。



「お前は、本当に人の話を聞いてないな。本当に、森の知恵者と呼ばれるハイエルフなのか? バーバリアンとか、実はオークの亜種とか希少種とかだったりしねーか?」


「こらー! バーバリアンとかオークってなんだよ!! こんなプリティーなバーバリアンとかオークが、何処にいてたまるかってんだよー!!」



 まあ、それにしても自分で自分の事をプリティーとか言っちゃったり、こんな言葉使いをするエルフは見た事がないけどね、と思って笑ってしまった。

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