過去
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高校1年の時の頃だ。私は父が再婚したことをきっかけに、中学までいた児童養護施設を離れた。そして、両親がいる市に引越しをしたはいいものの、高校は顔見知りがいない人ばかりで、かなり緊張した。
だけど、そこで1人の女子と仲良くなった。名前順で席も近かった為、色々と話すことも多かった。
でも、仲良くなって3ヶ月ほど経った時だった。その女子とはまた違う女子から、急に生年月日やら、自分の事を根掘り葉掘り聞いてきた。
何でこんなに知りたがってるんだろう。
この時は、聞かれるのも初めてだし、知りたい事も沢山あるんだろう程度で、あまり深く考えてなかった。写真も普通の写真を送ってしまったが、大丈夫だろう。と、軽く考えていた。
しかし、少しした後、同じ学科の女子達が、担任の先生にこんな事を言っていたらしい。
『誰かが、佐藤さんの成りすましをしている』と。
それで、担任の先生はかなり驚いて調べてみたら、私と話したその子達が、ネットの中で私のプロフィールを作って、成りすましをしていた事が分かったのだ。そして、名前が近いその子が黒幕だった事も。
実は当時、私が持っていた携帯は、父が『ネットセキュリティ』と言って、外部のブログ等にアクセスできない様に設定していたのだ。簡単に言うと、ネット上でプロフィールやブログを作ることが不可能。
そのセキュリティのおかげで出来ない様にしていた為、それを知っていた同じ学科の友人が、偶然、成りすましのホームページを見つけてくれたのだ。
何故、こんなことをしたのか、今でも謎だったけど、この時の学科の友達には感謝しかない。
だけど、それよりも、相手を微塵も疑わなかった自分が情けなくて、内心、自分自身を殺したかった。
いくら『ごめんなさい』と謝ってきても、許せなかったし、正直困惑していた。そして、『私にした事を、他の人にもしないで欲しい』と、言葉の釘を刺した事で、あの時は事なきを得たんだっけ。あの時の担任の先生もキチンと対応してくれていたからもういいや。とも思っていたんだよね。確か。
でも、この時から人が信じられずに、ずっと1人でいる事が多かった気がする。1人の方が気楽というのもあったのかもしれないし、自分の世界に閉じこもりっきりになってしまった。
その間にも、父や再婚相手とも上手くいかず、怒鳴り声を上げられることも、喧嘩することもあった。
その逃避行で、大好きなヴィジュアル系バンドのライブにでも行って、ヘドバンと言って頭振ったり、体を丸投げする様な形でダイブしたりと、大はしゃぎをしてくる事が、私の逃げ道でもあったんだよね。
あの時が1番楽しかったのかもしれないし、早く大人になりたかった。とも思っていた。
そのせいか、今でも近くで大きな物音を立てられたら、ビクついてしまうけど、ドラムやベースの音は何故か心地好くて平気なのは不思議。そして、大人になった今でも、人間関係に悩むことが多く、前いたところは何年もいないで辞めていた。
当時付き合っていた元彼の影響で、介護の資格も取得したはいいものの、勤めていたデイサービスで、職員による暴言やイジメがあった。『何度言えばわかるのよ!』と、利用者の前で吐かれたりもしていたので、違うメンタルクリニックを受診した際は、『軽いうつ病』とも診断されたこともある。
辞めると言った時も『まぁ。ここ来る選択を間違えたんだよ』とも上から目線で言われて頭にきたこともあったっけ。あの時は一発ババアの顔面を殴りたかったけど、我慢していたなぁ。殴らなかったあの時の自分を褒めたい。
なので正直、今回もそれに似たような形だった為、心の奥底では『またかぁ』と、内心吹っ切れていたのかもしれない。
だけど、今の職場はそんなことは無くて、自分のペースでやれるから楽だったし、みんなもいい人達だった。だから、そう思って辞めることも無く、8年、勤められていたのに……。
「はぁ……。また、同じ道を辿ってしまっている……」
私は夫に聞こえないよう、ボソッと呟きながら薬を飲むと、そのままベットに入った。だけど、彼はぐっすり眠ってるせいか、聞こえていない。
「明日も頑張るかぁ……」
そして、鬱々な気持ちのまま、眠りについた。




