95話 いつから教える立場だと錯覚していた
出来る人って何でも出来るんだな。
いきなり何を言っているんだと思う所なのは重々に承知してる。
でも、凄い。
さっきリュウさんにオムレツの作り方をレクチャーしてた。
リュウさんの前で何時も作ってる様に見せたら本当に見ただけで真似て……いや、最後は真似ないで作ってしまった。
その最後っていうのはオムレツを包む工程にある。
俺は卵を包む際に、ヘラを使って折り畳む様に包むんだけど、リュウさんはヘラを使わずフライパンを振る余韻と、トントンと、振動だけで包んでしまった。
形をヘラで整えた俺のと比べ、リュウさんのオムレツはレストランで出て来てもおかしくないほど、綺麗に纏まっていた。
「リュウさん……」
「どうだ?初めてにしては上手く出来たと思うんだが」
初めて……
俺、初めて作ったとき、包みやすくしようと卵を固くして焦がしたのに。
このレベルならすぐにオムライスを作ってもいけるんじゃないか……!?
これはもう俺が教えるとかじゃなく俺が教わる方だ。
「俺にオムレツの作り方を教えて下さい」
「何……だと……!?」
リュウさんは驚きの表情を隠せないでいた。
教わってたと思ったら逆に教えて欲しいと言われるんだもんな……
そうした当事者が何を言っているんだって話になるんだけど。
「俺、未だに何回か綺麗に整えられないんですよ。なにかコツとかあります?」
「コツと言われてもな……大体このくらいの力でフライパンを返せば纏まりそうだと思ってやってみただけだからな」
つまり、リュウさんがいけると思ったタイミングを盗めば上手く俺も上手くまとめられるかもしれない。
「リュウさん、厚かましいと思いますがもう一度オムレツを作ってる所を見せて貰ってもいいでしょうか?」
「そうだな、ついでにケイ達の分も作ってしまうか。そうしたら俺もジンも練習出来る」
リュウさんの結構乗り気でいる。
もしかして料理にはまったのだろうか?
一度見て、教えた人よりも上手に作れるんだから楽しく感じてもおかしくない。
あれ?これ、粗方調理方法をリュウさんに教えて、今度はそれを俺が教われば俺も料理上達するかもしれない?
「そうですね。時間までとことん練習しますよ!」
「俺も負けられないな」
こうしてリュウさんとオムレツ作りの練習をするんだけど、これが話題になるとは誰も想像できなかった
オムレツは半熟になったら火を止めて余熱でやるといいらしいです。




