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92話 恨まれる心

ケイが話を切り上げ、宿屋の扉に手をかける。


「悪いな。こんな話する予定無かったけどベラベラ喋っちまった。寒いし戻ろうぜ?」

「ごめん、少しいい?」


ケイが扉を開ける前に、声をかける。


「なんだよ?なんかあるのか?」

「なんで、そんな大切なこと……ケイにとって凄く辛いことなのに俺に話してくれたんだ?」


ケイは少し考えている。

そして口を開いた。


「誰かに聞いて欲しかったのかもな。兄貴が体も魔法も奪われた元凶の俺を恨んでもおかしくないしよ。さっき嫌われる理由をしれてよかったって話すジンだから話せたんだろうな。おかげで俺の気持ちもスッキリした。以上だ。早く寝ようぜ、ジンも明日予定あるんだろ?」


ケイのトラウマとも言えそうな内容を俺に話してくれたことは単純に嬉しく思う。

でも、リュウさんは……


「……恨んでるかな?」


ケイが「は?」と驚いた表情をしている。


「リュウさん、ケイを恨んでるとは思えないんだよね」

「何でだよ、話聞いてたか?死ぬほど恨むに決まってるだろ?俺が勝手なことをして、兄貴を巻き込んだ結果、兄貴の体も魔法も未来も奪ったんだぜ?」


確かに、リュウさんの体は傷つき、魔法も使えなくなったかもしれない。

ケイが自棄を起こしたことに対して少しは恨んでるかもしれない。

でも


「逆に聞くけど、何で死ぬほど恨んでるならライジングサンズ……リュウは自分のパーティに入れたんだ?」

「そんなの、自分の代わりに戦えるやつが欲しいからだろ?」

「それだけで自分のパーティに入れるかな。それに一人で魔物を倒しにいったケイを助けにいったんだろ?ケイが大切だから助けにいったんだろうし、それに……」

「それに?」

「心底恨んでるやつに自分の作ったメカを託すかな?もしケイにしか渡してないならブーツもグローブもケイに使ってもらうこと前提に作ってるのかもしれないよ?身体能力強化の魔法が使えるケイ専用でさ。これまでの会話だって普通にしてたじゃん。多分恨まれてないよ」

「何で断言出来るんだよ」

「……勘かな?」


そう答えると一瞬静かになり、ケイが笑い始める。


「ハハハ!何だよ引っ掻き回すだけ引っ掻き回して!最後は勘かよ!?」

「な……ケイだってよく勘頼りじゃん!」

「いいんだよ俺は!……まさか心配して待ってたら俺の話を聞いて貰っちまったな。ジンが言ってることが合ってる合ってないかは分からねえけどありがとうな。少し元気でたわ、ジンも戻ってきたし部屋に戻ろうぜ」


ケイが扉を開け、俺達は宿屋に戻る。

そして、ケイは自室へ、俺は調理場に戻ることにした。

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