90話 サイダーとお迎え
今、俺はマーヤを送り届けた道を、途中で買ったサイダー片手に持って戻っている。
前パーティの仲間と偶然出会い、会話をするだけでこんなに疲れるとは思わなかった。
「それにしても……タミーがああだとは思わなかったな……」
サイダーの蓋を開け何度か喉を鳴らし飲んでいく。
疲れた体と脳に糖分が染み渡る気がする。
送りに行った時より寒くなってるけど、冷たいサイダーは寒いなかでも美味しいものだと再確認する。
「とりあえず、明日は何処に集合しようか……」
パーティを抜けた時と今日来た情報しかこの街のことは知らないから有名なスポットがあればいいんだけど。
マーヤを迎えに行くのもありだけど、ワイルドやターキーに会うのは明日は避けたい。
「お、帰ってきたか!」
考え事して歩いていると、宿屋の前でケイが外で立っていた。
いつの間にか宿屋まで戻っていたみたいだ。
「ケイ、何してるのさ。こんな寒い中」
「酔いざましとジンが帰ってくるのが遅いと思ってな。つっても5分も経ってないけど、随分時間が掛かったじゃねえか」
「少しだけ前のメンバーと話してたんだ」
前のメンバーのワードにケイが少し険しい顔をする。
「前のメンバーって、ジンを追放したやつか?」
「そうだけど大丈夫、あんまり前のパーティで話さなかったからよく分からなかったけど、結構話せる人だったよ」
「結構話せる人……か。お前スゲーな」
いきなりケイに誉められ困惑する。
今までの流れで誉められる要素が見つからないんだけど。
「スゲーって何が?」
「いや、てめえらの都合で勝手に追放してきたヤツと会ったら一発くらい殴りそうな気がするからよ。俺ならボコる。絶対ボコる。戦闘もんだわ」
それ、血の気が荒過ぎない?
確かにケイはそっちの方向性でも違和感ないけど……
「でさ、何話してきたんだよ。悪い話だけじゃなさそうだな」
「分かるの?」
「勘だけどな、やけにスッキリした顔をしてるからよ」
「ライジングサンズのサポートをしていることは伝えた、スッキリしたってのは、彼女が俺を嫌ってた理由を知れたからかな」
「ジン、お前変態だな」
「変態!?」
いきなり奇妙なことを言ってくるケイに驚いてしまった。
「そうだろうよ。自分が嫌われてる理由を知って喜ぶとかドMだろ、心えぐられねえ?」
「そりゃ、多少は心が痛むけどさ……影じゃなく正面から言われただけまだいいよ。それに、前居たときよりも相手のことを知れたし、伝えたいことを伝えられた。だからよかったよ嫌われた理由を知れて」
「それでスッキリしたってことか。んで、結局何で嫌われてたんだ?」
「マーヤのことと複合エレメント持ちなこと、複合エレメント持ちなのにその実力が伴ってないこと……でいいのかな。使える種類が多くても役に立たない方が認められることを認めないっていってたし……」
「なるほどな」と一言ケイが発して少し考えている。
そして、少し間があけ、ケイが再び話し始める。
「もし、そいつが他の奴と比べられて無下にされてきたなら、俺はそいつの言ってることが少し分かる気がするわ」
大分ハードスケジュールな1日ですがそこは置いておきましょう




