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83話 望まれない再会

マーヤと話しているうちに宿屋の入り口に着く。

時間の経過が早く感じられた。


「このあたりまでで大丈夫?気持ち悪くない?」

「うん、ありがとうジン。今のところは大丈夫そう」


マーヤが俺の背中から降りる。

背中に冷たい風が吹き込み、少し寂しく感じる。


「うう、ジンから離れたら寒い……」

「でも宿屋の中は暖かいと思うよ」

「それはそうなんだけど……こう名残惜しいなって」


そんなことを言われたら正直俺も名残惜しい。

実際こうして時間を過ごしてしまうと、この先我慢できたものもできなくなってしまいそうだ。


「明日だって会えるから。でもそう言ってくれるのー」




「やっぱり見間違いじゃなかったのね。何してるのマーヤ」


突然宿屋の扉が開き、聞き覚えのある声が耳に入る。


「タミー……」

「久しぶりね。会いたいとは思ってないけど」


宿屋から出てきたのはクリアアトランティスの魔法使いのタミー。

顔が少し赤くなっていて、少しお酒の匂いがする。

キットどこかの酒場で飲んでいたのだろう。

酔っているからだけではないが、明らかな嫌悪感を向ける目で俺を見てくる。

そりゃそうか、戦力外通知するくらいに俺のことを嫌っているのだから。


「ところで、なんでアンタがこの街にいるのよ。この街から出ていったんじゃないの?今更戻りたいって泣き付きに来たのかしら」

「泣きついたところで戻れないだろ?除名もしてるんだし。今、別のパーティに所属してる過程でこの街に戻ってきたんだ」

「別のパーティって……もう少しまともな嘘を付けないのかしら。アンタ2週間は別のパーティに入れないんじゃない?」

「特例で別ギルドのパーティに編入させてもらったんだ。傭兵ギルドのライジングサンズに」

「は?」


タミーが驚いた表情をする。

ライジングサンズの知名度はタミーも知っている様子だった。

だが、俺がライジングサンズに入ったことに対しての驚きなのか、嘘として選んだ事に対して呆れているのか、どちらとも取れる顔をしている。


「まともな嘘を付けないのかって言ったばかりなんだけど、呆れて物も言えないわ」


ああ、後者の方だったのか。

これ以上何を言っても嘘としか思われなさそうだ。

言うことなす事を否定される。

そう何度も味わいたくないんだけどな。


「嘘じゃないですよ……」

「え?」

「ジンは嘘言ってませんよ?実際にリュウさんと会いました。今日一緒にいた私が証拠です」


マーヤが話の中に入って俺を庇ってくれている。

俺はもうパーティのメンバーでもないのに。


「そう、そこなのよね。なんでマーヤがジンと一緒にいるのかがわからないわ。なんで市場に2人でいるの?あと少し酒の匂いがするのだけど?私が誘っても飲まなかったのになんで?ジンに懐いて私に懐かないのはなんで?なんでなんでなんでなんでなんで」


唐突にタミーの様子がおかしくなった。

どうやら唐揚げの材料を買いに行った時の様子を見ていたみたいだ。

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