61話 魔力貯蔵石
「リュウさん?おせっかいとは?」
「いや、あまり状況が芳しくないと思ってね。俺にも何か出来ないものかと思ってね。ジンも、もし彼女に何かあったら……と思ってるんだろ?」
はい、その通りですリュウさん。
でも、パーティをクビになり、戻れない俺に出来ることがなく歯痒い。
「そうですけど、もしかして、何かいい手段あるんですか?」
「無くはない、としか言えないな。ただ、失敗だとそもそも発動しない。それでも構わないならプレゼントとしてこれを彼女に渡してあげよう」
リュウさんがおもむろに鞄から無色透明の石……宝石……鉱石みたいなものを取り出し、俺達に見せる。
「これは一体……」
「私にも見せてくれるかしら……。あらやだ!これ魔力貯蔵石じゃない」
魔力貯蔵石?
本当に一見普通の鉱石にしか見えない。
「魔力貯蔵石ってなんですか?」
「言葉の通り、魔力をこの石に貯めておけるんだ。特殊な鉱石で、一部の魔物でしか取れない貴重な鉱石だ。」
「特殊かつ数も少ないことから謎に包まれてるわね。解っているのはその石に魔力を注ぐことが出来るだけ。その貯めた魔力をどう引き出すのかは分かってないのよね」
「俺が思うに魔力貯蔵石は何か強い意思が必要だと思うんです」
「リュウは面白いこと言うわね。それは何で?」
俺とマーヤを他所に、リュウさんとギルドマスターが話で盛り上がってる。
「ねえジン?」
「何?」
「私に何かあったら……って話、ホント?」
マーヤが俺の顔を覗き込むようにこっちを見る。
じっと目を合わせてくるから照れて目を逸らしてしまう。
「そりゃ……心配するよ」
「ホントにー?ホントにそう思ってるー?」
あ、これ少しからかってきてるな。
少しニヤニヤしながら質問してるもん。
本気で心配してるから真面目に答えることにする。
「本気に決まってるよ、マーヤ」
「え?」
「本当に心配してるよ。マーヤに危険な目に合って欲しくない。クリアアトランティスを頼んだって言ったけど、それ以上にマーヤが傷つくことがある方が俺は耐えられない。もし、マーヤが身の危険を感じたら逃げて欲しいし、それが原因で行き場を失くしたら俺が受け入れるし何とかするよ」
なにもないのが一番だけど、悪い方向に事が進んでしまったら、戦力外が原因でここまで拗れるきっかけを作った俺の責任だ。
逃げた先に危険があれば駆けつけよう。
助けてと言ったら助けよう。
責任とそうしてあげたいという気持ちがマーヤに対して感じている。
それにしても、周りがやけに静かだった。
リュウさんとギルドマスターの会話していない。
周りを確認すると
「あらー」と一言発しながらクネクネ動いてるギルドマスター。
やれやれ、と言いたそうににやけているリュウさん。
ワナワナと体を震わせる受付嬢。
ふざけてたことに対して罪悪感を感じながらも困ったような顔をするマーヤ。
「ジン、ごめんね真面目に考えてくれてたのに。でも有り難う。心配してくれて嬉しいよ」
「あーなーたーたーちー!!ギルドマスターの前でもいちゃついて!不敬です!不敬ですよ!!」
「いいわよ受付嬢ちゃん。私の心はうきうきウォッチングだから許してあげて!」
「この様子だと、さっきの話、全く聞いてないな。これからのジンについての話をしていたのに」
俺についての話?
「話していたのに、とは?」
「ああ、ギルドマスターと話したんだが、ジン次第ではあるが、当分俺達ライジングサンズがジンを預かることになった」




