46話 デビュー戦
翌日、予定より早い出発で次の街へ歩き始める。
シルも予想以上に回復が早く、全員のペースに付いてくるどころか先導するかの如く、前に出て歩いている。
スゴい……普通は病み上がり……まで回復する事ですらスゴいのに、何で先導出来るまで回復してるんだろう……
「なにやってるんスか!特にジンさん!彼女さん早く行っちゃいますよ!?」
「だから彼女じゃないって……」
「そんなの嘘っスよ!だってギルド移籍したか心配されてますし!メッセージパッドの更新と甘いもの食べたいって誘われてるじゃないッスか!くぅー!!ニクいっすよ!」
とてつもなくテンションが高いシルに早々とタジタジになりそうだよ……
「あ、でも申し訳ないッスけど、ジンさんの彼女さん、こっそりメッセージパッド仕込んでたんッスよね?めっちゃ愛が重くないッスか?」
「バッカお前!誰も突っ込まなかったんだぞ!」
シル初め、ケイまで話題を広げ始める。
「重いかな?」
「重いっスよ!だって使ってたメッセージパッドッスよ?繋がりが欲しかったってことッスよ?」
「良くも悪くも依存されてるな!一体なにしてーー」
「待って!」
俺は急いで剣を抜き、戦闘体制に入る。
一瞬、草木が踏みつけられる音がした。
何かがこっちにくる!?
「なっ……!?ジン!?どういー……いや違うな。そういうことか!!」
「なんか魔物が来るってことッスね!!」
続いてケイ、シルも戦闘体制に入る。
そして足音が次第に大きくなり、草むらから一体、謎の生き物が飛び出してきた。
「これはー……!ボアだな!ダッシュボアだ!」
リュウさんの発言通り、一直線に走るスピードがとてつもなく早く、そのスピードで激突されたらひとたまりもないダッシュボアだった。
「ダッシュボア……!!」
「ジン!!戦えるか!!」
「大丈夫です!倒せはしなさそうですが!」
「対応出来るだけいいさ!とりあえず相手をしてくれ!」
その会話をしている中も、俺の方に体制を変え、再び突進してくる。
「気を付けろ!素早い上に重量ある!!後!牙に当たったら下手すりゃ死ぬぞ!」
その言葉を聞き終わる頃には既に俺の足元近くまで接近していた。
ダッシュボアは蓄えている牙を太腿近くに突き刺す為に一度首を下に下げる。
その隙を逃さず、剣をダッシュボアの首もと目掛け、横に凪ぎ払いする。
横に凪ぎ払いした刀の刃は、ダッシュボアの首を跳ねることはなかった。
それどころか、刃がダッシュボアに入ってすらない。
でも、突如の攻撃に驚いた様子で振り上げた首が少しずれる。
ダッシュボアの牙は俺の太腿を少しかすめ、後方に走っていく。




