4話 マーヤの回復魔法
「マーヤ?どうして?」
「よかった…間に合って…」
息を切らしながらマーヤはそう言う。
「ジン…!戻ってきてよ…私達にはジンが必要だよ…!」
「俺が…?さっき聞いたろ役立たずって…俺はなにもしてないよ?」
この2ヶ月、剣士としてなんにも役に立ってない。
魔物も盗賊も倒せず、ケガしてマーヤに回復して貰うばかり。
ワイルドが攻め、ターキーが守り、タミーが殲滅する。
本当にこのパーティに居られたのが不思議で仕方ない。
「そんな事ないよ…!何度も後衛の為に体張ってくれてたじゃん…!ターキーさん1人じゃどうしても防げない時に…」
「その結果大ケガしてマーヤに迷惑かけちゃったけどね…ワイルドにも『余計な仕事増やしやがって』って言われるし…」
「でも私が攻撃受けたら誰も回復出来ないよ?それに私が回復魔法使えるのは…ジンの料理のおかげなんだよ…?」
「俺の?」
俺の料理のおかげ?
俺の料理が?
「回復魔法って凄く集中力使うんだ。何回も回復させるのは凄くしんどいの。それにこうして旅しながらだと……ね。どうしても心もすり減っていっちゃうし……ってジンの前で吐き出しちゃったから知ってると思うけどね…」
回復魔法。
傷を癒したり、麻痺や、毒などの状態も治す。
言葉にすれば単純、そして強力な魔法だ。
傷を癒す際に自らの魔力を治癒力増強する光に変換させて、負傷者の傷に当てる。
その光が強くても体に害を与えるし、弱いと回復しない。
さらに麻痺や毒と言った状態異常を治すとなるとさらに難しい。
流れる血液に含まれる状態異常の元を抜き取る必要がある。
流れるプールに混ざったジュースだけを抜き取るに等しい、普通じゃ無理難題の技術。
その魔法が使えるのは数少ないが、その1人がマーヤだ。
「…確かにあの時のマーヤは1人で抱え過ぎてたよ。でもちゃんと自分自身で立ち上がったじゃないか」
「立ち上がれたのはジンのおかげなんだよ?私だけじゃない!それに、ジンが皆を支えてたのは知ってるよ!!」