33話 水炊きと複合エレメント
「おっ!早速お仕事かジン」
さっきまでお祭り騒ぎだったケイ達が興味深そうに俺達の作業をみている。
「なんか難しそうなことしてるッスね?何か手伝えることがあれば……って思ったんスけど」
ケイ含め、ライジングサンズのメンバーが暇そうにしている。
このまま続けてたら大分時間を使うことになる。
……そういえば、食材が凶鳥、キノコだけで何か葉物か野草が欲しい。
「もし、可能なら野草とか採取してくれると嬉しいな」
「野草か。シルが少し詳しいよな」
「食べるのは好きッスから!あ、でも、ちょいと知識があるくらいッス。……調理できないから生で噛ってましたが……」
そう話すと皆「ああ……忘れもしない苦痛の日々よ……」「生で食べるのは結構キツかったな……」「oh…」と雰囲気からしてどんよりしていた。
ライジングサンズの食事事情を再び垣間見た気がする……
「野草とってきてくれたら、今日は水炊きにしようかなって思ってさ」
「水炊きだと!!聞いたかお前ら!」
「やるッスよ!俺はやるッス!!片っ端から野草とってきてくれれば俺が判別するッス!」
「これは我らの食に与えられし試練!」
「神よ!私は仰せの通りに!」
やる気を出し、メンバーは一斉に飛び出す。
……全員いなくなってしまった。
魔物が出てきたら……
「大丈夫だ。魔物が出ても俺一人でジンを守ってみせるさ。ジンは今の事に集中してくれ」
俺の心を読んだように、そう言ってくれる。
なんて心強い言葉なんだろう。
そうだ、あのケイと並ぶ……いやそれ以上と言われているリュウさんなら確かにわけ無いだろう。
「有り難うございます。あの、水炊きの準備だけしてもいいでしょうか?毒抜きしてる間に凶鳥の鶏ガラを煮出しておこうとかなって」
「そうだな。作業中に仕込み出来るのであれば効率的だし、頼むジン」
一旦、毒抜きをやめ、リュウさんから鍋を借り、捌いた時に出てきた凶鳥の骨を鍋に入れる。
そこに大量の水を入れ、先ほど使っていた即席コンロの上に乗せる。
あとは火を着ける為に、コンロの下にリュウさんが串を作る際に出た木屑を集め
目を瞑り、体温、魔力、熱を親指と中指に集中させるイメージをする。
少しずつ、集中させた指が温かくなり
ー初級魔法 炎ー
親指と中指を木屑に向け、弾く。
指から小さな火が出て、木屑に着火する。
あとは集めていた小枝で炎を育てていく。
初級魔法とは言ったがなんてことない。
少し蝋燭に点る程度の火しか出ない、初級以下の魔法。
「複合エレメント……凄いなジンは」
「凄くなんてないですよ。全属性使えても全部初級魔法以下で攻撃に使えないですし、使うまでに時間がかかってしまいますし……」
「でもこうして自分の力を最大限に発揮させている。それが例え初級以下の魔法だろうと、使い方次第でその価値は変わっていくのさ。現に火を着けるのに上級魔法は必要ないしな」
この人は人を元気づけてくれる。
否定的な考えの俺に、どんなに小さなことでも誉めてくれる。
「仕込みは終わったか?疲れてなければ毒抜き続きを頼むよジン。頼りにしてる」
「了解です」
その後、毒抜き、鍋の仕込みは続き、全て終わった頃には周りは暗くなっていた。
補足
複合エレメント
この世界では基本的に一人一人扱える魔法の属性が限られている
5種類以上の属性魔法を扱えることを複合エレメント持ちと言われる
普通は一種類
そこそこの才能持ちで二種類から三種類
一流になると四種類
五種類以上は基本名を残せるほどの魔術師と言われる
ちなみにマーヤはー光ーとー回復ーの二種類
タミーは三種類使える←ただし質がものすっごく高い
ワイルドのように魔法が使えないこともある
小話
大きな調理器具って移動する際には邪魔になりやすいから普通は持っていかないんだろうけど……そこはまぁ気合いッス
まぁ、お湯作るときに便利だし、よく使うんで……多少はね?




