24話 俺にやらせてもらえませんか?
「リュウさん、これ、止めないんですか?」
「力ずくで止めることは不可能ではないが……いっそのこと、こうして不満をぶつけ合った方がいい……一過性の怒りは吐き出したらその後、冷静になる」
あのリュウさんも諦めかけている……
この集団をサラッと力ずくで止めることは不可能ではない…というのも凄い。
「リュウさん、失礼を承知の上で聞きますけど、ライジングサンズは結成時から誰も料理出来なかったんですか?」
「ああ、本来ライジングサンズは拠点にしてる近場以外は依頼を受けないんだ……普段は近くに街があり、そこで食事を取ったり、少し遠出でも携帯食料で十分だったりしていたんだが……」
携帯食料も少なくなって、食材も毎回買って調達するのもコストや荷物が増えると旅では負担になる。
食材は調達出来ても、誰も料理が出来ずにこうなるか……
今の様子を見る限りでは今回だけではなさそうだ。
しかし、これを気に何かしら亀裂が走らない保証はない。
俺自身、冒険者ギルドは心休める数少ない一時が食事だと思っている。
傭兵ギルドもそうだと思う。そうじゃなきゃこんな暴れたりはしない。
俺が料理を提供すれば収まるんじゃないか?
料理しか出来ないって言われた俺がやるべきでは……
クリアアトランティスでは戦力にならなかった俺。
メンバーに最初の方から使えないと判断されて雑務メインに支えることになった。
でも、雑務は嫌いではなかった。
特に料理は孤児院にいた頃からやっていてたし、俺の数少ない趣味になっていた。
元冒険家だった孤児院の夫婦のお陰である程度、食用に適するか適さないか判断も出来た。
それは今回の旅で生きた。
クリアアトランティスでは役に立てなかったかもしれない。
でも、俺がやって来た2ヶ月は無駄ではないはず……
『美味しいですよ、これ』
『ジンさんの料理美味しいです』
『次のジンの料理が楽しみだよ!』
脳裏に過去、クリアアトランティスで料理を美味しそうに食べていたマーヤとの思い出が流れてきた。
彼女のおかげで、自分に何が出来て、何を成すべきなのか。
それを体験させてくれたんだと思う。
ーそして今、俺が成すべき事はー
「……リュウさん」
「どうしたんだジン」
大丈夫だ。
マーヤを笑顔に出来たんだ。
俺ならケイ達の胃袋を満たせるはず。
「………あの、料理、俺にやらせてもらえませんか?」




