23話 理性崩壊
さっきの「すぐにわかるさ」に最初は意味が分からなかったが、言葉の通り、俺はすぐ理解することになる。
「おー……ジン、来たか……」
気まずそうな顔でケイが迎え入れてくれる。
「……どうしたんだ?そんな苦虫噛んだみたいな顔して?」
「ああ……凶鳥仕留めたお前に、非常に言いにくいことなんだが……すまん。これが今日の飯だ」
皿が置かれた音がたち、目の前のものをみる。
そこには、真っ黒で風が吹けば砂になりそうな炭が置かれていた。
「……………………………え?これは?」
「……………………………凶鳥の丸焼きだが?」
……俺の脳の理解する回路が壊れているのかもしれないが、これが…凶鳥の丸焼き……だと……!?
凶鳥の姿に見えない。
これからバーベキューをやります!炭を用意しました!と言われて出された方がまだ分かりやすい。
なるほど、シルとリュウさんのさっきの反応の理由がわかった……
「リュウさーん!さっき倒したゴブリンの後処理終えましたぜー!久々の凶鳥ですよね!早く飯に……………」
ライジングサンズの他のメンバーが、先ほど倒したゴブリンの後処理を終えこちらに来て、俺の皿を覗きこんだ。
置いてある炭を見て、悲壮感、怒気、複雑化した顔をしていた。
数秒後、体がワナワナ震え始め……
「うわっ!誰だ今日の料理当番!!」
「今日は凶鳥の肉だったろ!?なんだこの消し炭は!?」
突如、ライジングサンズのメンバーが、ガラの悪い客が酒場で暴れだすかの如く、罵倒と罵声が始まった。
「てかシル!お前に火力が強いっていったじゃねえか!!」
「しょうがないじゃないッスか!!ケイさんがやったって似たようなものじゃないッスか!?」
「バカヤロー!俺はもう少しマシだ!」
さっき、ゴブリンをあっさり倒し、余裕な顔をしていたケイも……
さっき、弓のことになると楽しそうに話してくれたシルも……
皆、鬼の形相になり暴れ始める。
「凶鳥の肉とかそうそう食えねぇのになんてことしやがる!!まだ生焼け立ったときの方がマシだったろ!!」
「うるせぇ!ちまちま焼いてたら時間掛かるだろうが!!少し火力を強くして焦げただけでギャーギャー騒ぐな!」
「前から思ってたんスけど、ケイさんマジで料理のセンス無さすぎッス!!」
「てめぇ!シル!!今から処刑だ!! 」
やれ、石が飛び、皿が飛び、矢が飛び、ブレード片手に飛び付く。
俺はこの光景をただただ眺めるしかできなかった。
「恥ずかしい所を見られたな……」
ため息をつきながらリュウさんが口を開く。
「あの、もしかしてライジングサンズのメンバーって……」
「ああ、俺を含めて、誰も料理出来ないんだ……」
何回目かわからないほどのため息を再びしながら、この光景をただただ見ていた。
「数ヶ月ぶりの凶鳥の肉がこれだとな……俺がもう少し料理できていれば…」
ああ…なんということでしょう…
傭兵ギルドトップクラスのパーティ。
ーライジングサンズー
それぞれの戦闘力。
魔物退治の際の知識。
相互意識の高い鮮やかな連携。
戦いという面では最高ランクのパーティも……
食事時になるとどこよりも……
脆く!!
弱く!!
醜い!!
統制がとれているとは程遠い!!
端からみれば最低ランクのパーティと化していた。




