13話 悪夢と不運
《お前なにしてんだ!? ゴブリン相手にまともに戦えないのかよ!!》
《なぜギルドマスターがジンをパーティに入れたのか全くわからんな》
《囮として入れられたんじゃない?複合エレメントも大したことないし》
《雑用でもやってろ!無能が!》
「ーーッ!?」
…過去にクリアアトランティスのメンバーに罵倒されていた時の夢をみた俺は飛び上がるように起きた。
日が昇りかける、薄明かるい景色。
少し寝すぎたみたいだ。
とりあえず、魔物に襲われずラッキー。
それにしても…とんだ悪夢だ。
「…最悪の目覚めだ」
いや、逆に悪夢をみたということはなにか良いことがあるはず…
連続で悪いことが起こるなんてそうそうないだろう。
と心を切り替えていかないと、一人なんだしウジウジしてられない。
幸い、ひとつ前の街まで今日、歩いていけば着く距離だ。
一人旅だからある程度無理を効かせて歩けるメリットが生きた。
久々に宿屋に泊まろう。眠りの環境が整えばもしかしたらぐっすり眠れるかも。
朝食はパーティメンバーと別れた町で買った携帯食料を食べながら向かおう。
出発予定より早いが、街に早くつくため出発することにしよう。
出発してから数時間。
すでに太陽は出て、大分歩いた。
大分歩いたが、あと二時間近くで到着するはず。
道中、魔物と遭遇したが、例のデンキダケで作ったボールを取り出すと皆逃げていく。
匂いを感じたのか。
その禍々しい物体を見て恐れたのかは魔物のみぞ知る。
しかし、そのお陰で無傷でいられることは都合がいい。
あと少し。
そう思って歩いていると突如、俺の足元に大きな影が出来た。
何が起きたと思った刹那、体が持ち上がり空中に浮かんだ。
「なっ…!?」
上を見上げると巨大な生物の鉤爪で俺のリュックに引っかけ、思い切り上空へ羽ばたいているのを確認した。
「凶鳥か…っ!?」
成人前とはいえ、大の男を軽々しく持ち上げ、勢いよく空へ羽ばたける大型の鳥類はそうそういない。
恐らく体のいい餌として俺を巣へ持ち帰ろうとしているのだろう。
体を振っても落ちる様子がない。
なにかいい手…なにか武器はないのか…!?
……そうだ。
デンキダケの毒で作ったあれなら。
しかし、これは正直分が悪い。
デンキダケの毒でつくったボールを当てるにしても、凶鳥の体内へ入っていかないといけない。
そのためには口の近くに当てなければならない。
まず、そこで俺の投げたボールが口周辺、首もとに当たらなければ失敗。
当たったとしても、麻痺した凶鳥は羽ばたけず、墜落する。
それは俺も一緒に墜落、そして数十メートル近く高い所から落ちたら確実にあの世行き。
運良く下が深い湖の上や、木に引っ掛かれば助かるかもしれないがよくて重症。
でも、巣に持ってかれたら逃げ切れずに餌になる。
「どっちにしろ死ぬなら足掻いてやる…ッッッ!!」
幸い、デンキダケの毒ボールはすぐに取れる所にあった。
これが、まずひとつ目のラッキー。
少しでも距離を出せるように、カバンでで体がつり上げられている状態で振り子の原理をつかい、ブランコで前にいくような感覚で体をふる。
そして一番勢いがつくところまで体をふり続け、
「今だ!」
振り子の力と自分の肩を信じ毒ボールを投げる。
前に毒ボールを野球のボールみたいにって後書きにいれたけど…
コンビニにある防犯カラーボールの方が近いかもしれない…




