6 メイドで女王様の女子高生
由美は慌てていた。とにかく慌てていた。慌てていたが体がいつもの行動を自然としてしまう。持ち帰り専門のすし屋さんで握りのセットを買って少女の働いているバイト先の事務所に飛び込む。
「マネージャー!ミクは!」
「由美君!ここにミクちゃん寝かせてる。急にフラついたから休ませてたら意識が・・・」
由美はミクの身体を抱え頬を叩く。
「ほら!ミク、寿司よ!食べて!」
「す、寿司・・・」
ミクは目の前に差し出された寿司を口に入れる。一つ二つと口にする。勢いが乗りバクバク食べ始める。咽せるミク。
「マネージャー!お茶!」
「わかった!由美君」
ゴクゴクとお茶を飲み干すミク。
「うまかったよー、有り難う由美ー」
「何日食べなかったの」
「たぶん3日」
「立てるかしら」
「なんとか」
由美に支えられ立ち上げるミク。
「マネージャーごめんなさ」
腰砕けになって倒れそうになっているミクを支える由美。ミクはまた気を失ってしまったようだ。
「由美君!由美君!どーしょー!やっぱり救急車呼ぼう!」
落ち着いてミクをまた寝かせる由美。心配でいてもたってもいられないマネージャーの肩を掴み椅子に座らせる。
「しばらくすれば元に戻ります」
「そんなこと言われてもだよ由美君・・・」
「何度もこういうことありました」
「あったのかい・・・」
「ご飯を抜いては倒れてます、何度も」
「そんなー、お給料はどーしたんだい」
「お給料の問題ではありません」
「・・・じゃあ」
「太るんです、すぐ太るんです。父親はトドだったと言ってました」
ソファーに寝かされているメイド服を着た少女の姿を、じっとみるマネージャー。
「そーかートドかー。空腹の時に寿司というのも何だかなーと、血が胃に集まった訳ね・・・無理しないように良く言っといてよ。いざとなったら僕も力になるから」
ほっとするマネージャー。
由美が帰ろうとするとメイド二人が飛び込んでくる。
「マネージャー!お客様たちがミクちゃん居ないなら帰るって」
「おいおい、君らで何とか引き止められないの」
「なにいってんすか、今日はミクちゃん出番だからきてるお客様多いんすよー」
頭を抱えるマネージャー。
「じゃあ私これで」
「待ってくれ!由美君!」
遥が上手く身替わりをしてくれているか心配なので、そそくさと帰ろうとする由美の肩をぐっと掴むマネージャー。
「君しか頼れない。お願いだバイト代ははずむから、由美君!」
ミクを此処に紹介した手前もあるので、渋々頷く由美。着替えを済まして店先に出た瞬間、客席からどよめきが起こる。
「由美様だ」
「女王様・・・」
「この人が伝説の・・・メイドの女王様」
背筋を伸ばした由実が、じろりと店内の客を睨む。
「ジロジロ見てんじゃないわよ!注文あんならとっととしなさいよ!」
帰ろうとしていた客が慌てて席に戻る。
「USRデター!」
一斉にメールを打ち込む客。
秋葉原のビルの一角が人で埋まった。