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第七話 プリンちゃんの恋愛物語 〜禁断の恋1〜

 二時間目の休み時間、聖二君は読んでいた『6才の恋』を閉じて溜息をついた。ぼんやりと上の空だ。

「聖二君、どうしたの?」

 僕とプリンちゃんは彼に話しかけた。

「ん・・・何?プリンちゃんと誰だっけ?」

「誠だよ、誰はないでしょ!」

「聖二君、元気ないみたいだから声かけてみたの」

「オレは元気だよ」

 彼らしくない、おっとりとした様子で言いニコッと笑う。しかし、いつ見てもキレイな顔だ。

「なぁ、恋に年齢や身分は関係ないんだよな?愛する力が大切なんだ・・・」

「聖二君?」

「トムは流石だ」

「???」

 彼は何を言っているのだろう。正直、意味が分からなかった。

「聖二君、どういう事?愛する力って?」

「だからさぁ、オレも先生への愛は誰にも負けてないって事だ。いつになったら振り向いてくれるのかなって・・・オレはマジなのに」

「・・・・」

 僕らは何を言おうか悩む、こんなしんみりした話しになるとは思わなかった。黙っていると、彼は続けて話す。

「オレの考えが当たっていれば、怜先生には恋人か好きな人がいるな」

「・・・そうかな、私はそうは思わないけど」

「それはどうしてだい?」

「だって怜先生には、恋している人特有の表情みたいなのがないわ」

「なるほど恋の表情か・・・ただねプリンちゃん、先生は咲と似ていて感情を面に出さないよ。ただ、咲と違って精神はかなり強い。だから、激しい恋をしていても平然としていられるんだ」

「確かに僕もそう思うけど・・・それは、あくまで聖二君が勝手に思っている事でしょ?」

「ああそうだよ。だけどな、オレは先生の事をよく知っている。誰よりもな」

 毎日あれだけ怜先生に会いに行けば、確かに詳しいかもしれない。

「じゃあ聖二君」

「なんだよ誠」

「先生に恋人か好きな人がいるって言うのは?いつもの勘?」

「勘じゃない。考えだ、根拠もある」

「根拠?」

「正直な話し、話しかければ大体の女はオレに惚れる。オレが本気で詰め寄れば簡単に女をおとせる」

 何かあまりいい響きはしないな、しかし彼が言う事は事実だろう。

「まぁ今のは、悪い言い方だが本当の事だ。だが中には惚れない人もいる。決まって、そういう人には好きな人や運命の人がいる」

「え・・・そうなの?」

「そうだなぁ・・・分かりやすく言えばプリンちゃんや咲だよ。オレに本気で惚れるって事はないだろ?誠や祐介みたいな運命の人がいるからだ」

「・・・・」

「ようは先生にもそういう人、もしくは好きな人がいるって事だよ」

 聖二君の考えが本当かどうかは分からない。しかし、怜先生みたいにキレイな人なら恋人くらいいそうなのは確かだ。すると彼は席を立った。

「どこに行くの?怜先生のところかい?」

「授業サボって遊んでくる。祐介、咲、行こーぜ」

 彼は、二人を誘って学校を抜け出すつもりだ。もちろん、祐介君と咲さんも遊びに行く気満々のようだ。

「大丈夫?この前みたいに抜け出す途中で先生に見つからないかなぁ・・・」

 プリンちゃんは三人を心配している。実は最近、サボって学校を出るところを先生に目撃され捕まったのだ。

「大丈夫だよ。一つ上の先輩で、学校抜け出すのが上手い人と知り合ったんだ。出る時はその人についてくから」

「え・・・そうなの。でも気をつけてね」

「ああ、分かってるって誠」

 そういうと聖二君は、祐介君と咲さんを連れて教室を出ていってしまった。もちろん、僕らはしっかり授業を受けてく事に。またお昼頃には三人とも戻ってくるだろう。



 三、四時間目はあっという間に終わってしまった。期末テストが近いので、僕は授業をいつも以上に真面目に受けている。しかし、一瞬たりとも気を抜かなかったのでちょっとしんどい。基本的に授業は好きで楽しいと思うが、流石の僕でも疲れた。教科書を片付け、ぐったりとしていると杉本さんが僕に話しかけてきた。

「誠君大丈夫?」

「え?」

「だって、ぐったりしてるから」

「・・・定期試験が近いから授業に集中しすぎた」

「真面目だね」

「そんな事ないよ」

 杉本さんはこの前一緒に帰って以来、表情や話し方が明るくなったような気がする。僕以外の人と喋っているのも、よく見かけるようになった。彼女の中で何かが変わったのだろう。

「誠君、屋上行こー」

「あ、うん」

 プリンちゃんは、お弁当を持って僕のところにやってきた。僕は杉本さんに聞く。

「杉本さんも屋上に来る?」

「うんん、私友達と食べる」

「そう、分かった」

 僕はそう言い残しプリンちゃんと一緒に教室を出た。杉本さん、本当に変わったなぁ。



 屋上に行くと、既に怜先生が一人でお弁当を食べていた。

「あ〜ごめんね。お腹空いてて先に食べちゃったわ」

「構いませんよ」

 僕らも座りお弁当を出す。その時、後ろから声が聞こえてきた。祐介君の声だ。

「よ〜おまたせ」

 ちょうど祐介君と咲さんが現れた。しかし、聖二君の姿は見当たらない。

「腹へったぁ〜飯食おうぜ」

 祐介君がそう言うと、皆は怜先生の近くに集まる。

「はい、誠君のお弁当」

「ありがとう!」

 最近は、毎日彼女の手づくり弁当だ。すごく美味しい上にプリンちゃんの手づくり・・・これ以上ない喜びだ。

「毎日毎日大変なのに、よくやるよね」

 祐介君は関心している。

「大変じゃないよ。料理するのは好きだし、誠君のためなら尚更やるよ!」

「流石だなプリンちゃんは・・・なぁなぁ咲、お前もオレに弁当作れよ」

「えー・・・めんどい。別にいいじゃん昼食くらいコンビニで買えば」

「オレも手づくりがいいんだよ」

「まぁそこまで言うなら作るけど・・・」

 いつも祐介君と咲さん、聖二君はコンビニで買ったお弁当ばかりだ。ちなみに怜先生は、自分の手作り弁当。

「祐介君の言うとおりよ。コンビニで買ったのばかり食べてると体壊すわよ、咲ちゃん」

「はあ・・・分かりましたよ先生。じゃあ作るわよ」

「・・・・・・ところで祐介君に咲ちゃん、彼はどうしたの?姿が見当たらないけど」

 いきなり先生が話の話題を変える。彼というのは、もちろん聖二君の事だ。てか彼がいない事に触れるのが遅い。皆、話しに夢中になっていたようだ。

「ああ、聖二はオレらと歩いてたら、知らねー女にナンパされてどっかに行っちゃったぜ」

「途中で別れたから、どこにいるかは分からないけど・・・また学校に来るって言ってたかしら?」

「さぁ?来そうにねーな」

 やっぱり聖二君はモテるなぁ。

「全く・・・本当に仕方ない子ね」

 怜先生は、腕を組んで眉間にシワを寄せている。

「あれ?さては、聖二が女といる事で嫉妬してんの?」

 祐介君は、からかい半分で先生に言う。

「違うわよ」

「本当かよぉ〜?」

「当たり前でしょ」

「ねぇ先生は、聖二君の事が嫌いなんですか?」

 僕は、その場の勢いで先生に聞いてみた。

「嫌いじゃないわよ。ただし恋愛対象にはならないって事よ」

「どうしてですか?彼、先生への想いは真剣ですよ」

「本当かしら?女性に声をかけられてノコノコついていくような男よ」

 そう言われると、確かに先生の言う事は正しいかもしれない。だけど

「聖二君、いつも先生の事を想っているよ。まぁ女の人との関わりはたくさんあるけど・・・だけど、先生への想いは軽いものじゃないと思う」

「・・・・・」

 何も答えない先生に更に聞いてみる。

「もしかして、先生と生徒との立場を考えているんですか?」

「・・・別に、そういうわけじゃないけど」

 皆は黙って怜先生を見つめる。僕らがあまりにも強く見るので、先生はお手上げといった感じで観念した。

「あーもう!分かったわ、本当の事言えばいいんでしょ!?」

 無言で頷く。

「私には別に好きな人がいるの。それだけよ。これなら文句ないでしょ」

「先生、好きな人いたのかよ!分からねー誰だ!?」

 祐介君は超驚いている。もちろん全員そうなのだが。

「別に誰だっていいでしょ。いい?彼にはこの事は内緒よ」

 怜先生は口止めを促す。しかし、聖二君の考えは当たっていた。だけども、そこまで分かっていながら平然と先生に関われるのはすごい。

「先生ってさ、今その人とは付き合ってないの?」

 祐介君は怜先生の話しに興味津々だ、やたらと質問をしている。

「・・・付き合ってないわよ」

「てか先生って、今まで何人くらいの男と付き合ってきたの?」

「私の事はどうでもいいでしょ・・・そんなに聞かないでよ。もしかして、彼にいろいろ聞けって頼まれたの?」

「ちげーよ。先生ってミステリアスじゃん。だからスゲー気になる」

 確かに彼の言う事には一理ある。怜先生は自分の事をあまり話さないし、ましては聖二君がいる前では先生の事は聞きにくい。今は彼もいないしチャンスだ。

「で?どうなの?先生」

「もう一回言うけど絶対内緒よ、うるさいから」

「分かってる分かってる」

「・・・そうね、数え切れないわね。学生の時だけどね」

「すげー・・・流石ですね」

「流石ってどういう意味よ。付き合ってもすぐにフラれるから、いろいろ多くの人と付き合ったのよ」

「え・・・?」

「いろんな人と付き合ってきたけど、ほとんど三日ももたないでフラれてきたんだから」

「それって、先生がフッたって事じゃねーの?」

「違うわよ。私がフラれるの。何でか知らないけど・・・もしかしたら魅力ないのかもね」

「!!!」

 皆も自分の耳を疑っているだろう。ていうか、こんなにキレイな人をフルなんてどんな男の人だよ。かなり信じがたい、怜先生はこの学校のアイドルだし、仮病を使ってまで保健室にくる生徒だっているくらい人気なのに。そうとうに先生の性格が悪いのか・・・いや、それはないだろう。考えれば考えるほど分からない。

「恋のいい思い出がないのよ私には。それに、仕事を始めてからは誰とも付き合ってないわ、もう面倒よ・・・」

「・・・・」

 先生は辛い想いをしてきたんだなぁ。だから、好きな人がいても想いを告げないんだ。裏切られるのが怖くて。だけどやっぱり分からない、怜先生のどこが原因で何度もフラれてきたんだろう。

「よぉ〜皆で何話してんの?」

 その時、聖二君がお弁当を持ってやってきた。

「何だよ戻って来たのかよ、聖二」

「まぁな、先生に会いたいから」

 そう言うと彼は腰を下ろして、コンビニ弁当を開ける。

「聖二君」

「何ですか先生?・・・もしかして、オレが戻ってきたから嬉しいんですか?」

「そうじゃないわよ・・・それより、ナンパされて女の人について行ったみたいね」

「魔がさしたというか、何となくついていっただけですよ。でも、別に何もしてないし、普通に話してただけだよ」

「私はそういう男の人は嫌いよ!」

 怜先生は、そう言い放ち足早に屋上を後にした。聖二君は、何がなんだか分からずに驚いている。

「なぁ祐介、先生機嫌悪いの?」

「・・・・・」

 怜先生の過去の恋の話しの後に、彼のだらしない言動に血がのぼったのか・・・?

「何か分からないけど、先生のとこ行って謝ってこようかな」

 その時、始業ベルが鳴った。

「聖二君、今行かない方がいいわ。授業に出ないと怒られるよ」

「プリンちゃん・・・そうだな・・・」

 午後の授業は、聖二君たちも受けていくみたいだ。僕たちは授業を受けに教室に戻った。



 ついつい聖二君に対してカッとなってしまったが、私は彼みたいにだらしない人は嫌。別に、特別な想いはないんだけどイラッとした。だけど、決して聖二君の事は嫌いじゃない。だからこそ、しっかりとした振る舞いをしてほしい。でも彼に会ったら謝ろう。

 特に今やらなければならない事はないので、私は自分のイスに座り机の上に顔を伏せた。

「私も甘いわね・・・生徒相手についカッとなるなんて」

 無意識に独り言がこぼれた。


“コン、コン・・・”


 誰かが保健室の扉をノックする音が聞こえた。

「失礼します」

 私は急いで顔を上げようとしたが、声が聞こえてから扉が開く方が速かった。

「お疲れでしたか?」

「高橋先生!・・・情けないところを見られてしまいましたね」

 高橋先生が保健室に来て驚いた。こんな事、予想もしていなかった、しかし喜んでいる私がいる。

「いや、僕も疲れが溜まっててね・・・ぼーっとしてしまいますよ」

「フフ、そうなんですか・・・ところでどうかしました?」

「ちょっと紙で指を切ってしまって・・・バンソーコ貰えますか?貼らないと気になってしまって」

 差し出した手を見ると、人差し指が切れて少し血が出ている。

「座って下さい、消毒します」

「バンソーコでいいですよ」

 確かに傷口が大きいわけではないし、バンソーコを渡すだけで大丈夫だと思う。だけど・・・

「小さい傷でも化膿しますよ。座って下さい」

 私はドキドキしていた。大げさな事を言って呼び止めたのを、彼は不自然に感じてしまっただろうか。それを考えるだけで不安になり緊張が襲う。

「分かりました」

 高橋先生は、そう言ってイスに座り手を差し出した。どうやら何も感じていないみたい。私は向き合うように座り手を持った。

「まさか、高橋先生と保健室で二人きりになれるなんて思ってもいませんでした」

「そうですね。最近疲れのせいか・・・こういう、うっかりミスが多くて、本当困ったもんです」

「・・・・」

 傷口をしっかり洗浄してキレイにする。そして、よく消毒をして柔らかいガーゼで包み、取れないように丁寧にとめる。

「そんなにしてくれなくても良かったのに。ちょっと切っただけですから」

「フフ・・・」

 確かに丁寧過ぎる。けど、少しでも長く彼といたいから仕方ない。

「怜先生、ご丁寧にありがとうございます」

 高橋先生は立ち上がり、指をまじまじと見る。

「いえ、私に出来る事があればいつでも言って下さい」

「はい。じゃあ・・・どうも失礼しました」

 そう言うと、高橋先生は保健室から出ていってしまった。

「・・・・」

 部屋で一人になると急に淋しさに襲われた。今まであんなに暖かくて心地よかったのに。二人きりの時間が短くても私にとっては貴重な時。私は、高橋先生への想いを伝えたい。けれど絶対に伝えられない。だから、私のこの想いを少しでも・・・あなたに・・・・

 私は、爆発しそうな想いにただひたすら耐える事しか出来なかった。



 ・・・やっと一日が終わった。しかし、相変わらずあの三人は授業中ずっと寝ていた。

「誠君、疲れたねぇ・・・」

「僕らは一日が終わるとクタクタだね。そうだ、今日は少し帰りに遊んで行かない?」

「うん!いいよ!たまには息抜きもしなきゃね」

「そうだよ」

 僕らは、教科書を片付けて帰る仕度をする。ふと見ると、祐介君と咲さんはもう帰り仕度を済ましていた。いつも、授業が終わった途端元気になるからなぁ。

「じゃあな誠、プリンちゃん」

「あ、じゃあねまた明日」

「バイバイ」

 この二人は、授業が終わるとHRを受けずに帰ってしまう、僕らは手を振って見送った。

「さて・・・オレは怜先生のところに行ってくるか」

「HR終わってからの方がいいよ」

「・・・まぁそうだな。まだ機嫌悪いかもしれないし」

 そう言うと、聖二君は行くのを止めた。だけども、彼は今日の放課後も長々と保健室にいるつもりかな。

 そして、HRが終わるなり聖二君は立ち上がった。

「ねぇ聖二君」

「ん?何だよ誠」

「今日もしつこく先生に話し込むつもり?」

「しつこくってなぁ・・・今日はすぐに帰るよ。怒ってる時は、なるべくそっとしとくのが良さそうだしな」

「確かに」

「まぁ、ちょっと機嫌をうかがうだけだから心配すんな」

 すると、彼は走って保健室の方へと走って行ってしまった。

「聖二君なら心配しなくても大丈夫だよ」

「そうだね。じゃあ僕らも帰ろうか、プリンちゃん」

「うん」

 僕らは、学校を出て町の方へ向かった。今日はどこに行こう。そういえば、祐介君たちはいつも二人でどこに行っているんだろう。

「ねぇ誠君、聖二君と怜先生ってすごく似合うと思わない?」

「え・・・?」

「聖二君ルックスがいいし、先生だって美人でスタイルいいし・・・・二人が並んで歩いてるところ想像するとキレイ過ぎるよ」

「・・・・」

 確かにそれは僕も日々感じている。もし、あの二人か結ばれたら絵的には完璧なんだろうな。それに関しては、たぶん聖二君たちに勝るカップルはそうはいないと思う。

「あっごめんね誠君!いきなりこんな事言って・・・ちょっと気になって」

「いや、謝らないでよ。僕も気になるところだし」

 僕が黙って考え込んでいたから、彼女は心配になったのだろう。

「あのねプリンちゃん、聖二君ってすごくモテるけど、実はまだ一度も女の人と付き合った事がないんだよ」

「え!信じられない!」

「聖二君は、怜先生に会うまで本当の恋はしてなかったみたい」

「知らなかった」

「だから、告白されても全て断ってるんだ。彼はだらしなさそうに見えるけど、恋愛にはかなりしっかりしてて・・・だから、絶対に女の人を弄んだりはしない、普通に遊んだり話したりするだけで、好きな人だけを一途に思うんだ」

「もしかして先生は、彼のことを誤解してるなかな」

「うん、その通りだよ」

 しかし、彼は誤解を解こうとしない。何故だかは分からないけど。

「おーいプリンちゃん、誠〜」

 すると、聖二君の声が聞こえた。振り向くと、彼は走りながらやってくる。

「あれ?保健室行かなかったの?」

「行ってきたぜ。今日は保健室に行って謝って来ただけ」

「先生は・・・怒ってた?」

「大丈夫だったよプリンちゃん。笑いながらもう怒ってないよって言ってたから。それに、オレの想いは消えないぜ、明日からまた保健室通いだ」

「はは・・・」

 それにしても、彼が謝るだけですぐに帰って来るなんて。絶対話し込んでくると思った。

「何?これから二人でどこかに行くの?だったらオレも付き合うぜ」

「えー・・・」

「何だよ、いいじゃねーか。ねっプリンちゃん」

「うん!」

「ほーら見ろ誠。じゃあ、オレがこの辺のいいところ案内してやるよ!」

「ありがとう聖二君!」

 プリンちゃんは喜んでいるが、僕はせっかく二人きりでいたのに・・・と正直なとこがっかりである。しかし、聖二君のこの明るさはどうしたんだろう。無事に謝る事が出来てホッとしているのだろうか。

 何はともあれ、怜先生の怒りはおさまったみたいだから、とりあえずは大丈夫かな。

 そして、聖二君はこれからも怜先生の事を一途に想い続けるのでした・・・


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