第三話 プリンちゃんの恋愛物語 〜復讐〜
プリンちゃんが来てから3週間が経つ。転校初日の出来事があってから、僕と彼女の付き合いが続いている。初めは僕と彼女が付き合っている事に、クラスや周りのみんなは驚いていた。転入初日に告白してOKだったのだから仕方ない。意外だなと思う人もいれば僕を羨ましがる人も。初めはチヤホヤされていたが、たったの3週間でそれはなくなった。もう周りもそれが普通になってしまったんだろう。祐介くんが言うには、僕が何をやっても、一瞬の事で大きな影響にはならないと言う。聖二君に至っては、お前が芸人になったら間違いなく一発屋になりそうだよな、なんて言ってた(微妙な例えだな)。僕の存在って一体・・・。そんな事は置いといて、プリンちゃんは学校やクラスの皆にも馴染んできた。もちろん、男であるという秘密を隠しながら。言いたい事は、僕らは充実した学校を送れているという事。そして、僕たちはまだスタートしたばかりだという事だ。
朝7時30分。今日もいつものように家の呼び鈴がなった。僕は玄関へ急いだ。扉を開けると、そこにはプリンちゃんが立っていた。
「おはよう、誠くん」
「おはよう、プリンちゃん」
付き合ってからは毎日、登下校は一緒だ。偶然僕の家の近くにプリンちゃんの家があり、毎朝僕を迎えに来てくれるのだ。すると、奥からのこのこと父さんがやってくる。
「おはよ〜プリンちゃん。毎朝来てくれてありがとね」
「おはようございます」
父さんは完全に鼻の下が伸びている。
「プリンちゃんのような可愛い人が、誠の彼女になってくれるなんてなぁ。私は幸せだ」
今日もまた言ってる。
僕と彼女が付き合って喜んでいるのはお父さんだけじゃない。お母さんもだ。もちろん二人とも、彼女が男である事は知らない。すると、母さんも玄関までやってくる。
「おはようプリンちゃん。誠、待たせるんじゃないわよ。早く行く準備をしなさい」
「そうだぞ、バカもん!」
「準備ならもう出来てるよ。じゃ行ってきます」
「いってらっしゃ〜い。気をつけてね」(←父母そろって言う)
こうして僕たちは学校へ向かう。いつもこんな感じだ。
僕は歩きながらプリンちゃんの横顔を見た。もう男という秘密があまり気にならない。微かにそう思えて来た気がする。そう感じながら見ていると僕の視線に気付く。
「誠君、どうしたの?」
「ん・・・いや、何でもないよ」
そう言うと彼女は何も言わずうつむいた。僕は、今が幸せと感じてきている事にまだ気付いていなかった。
学校に着き教室に入る。今日は、祐介君と聖二君は僕より早く来ていた。二人が遅刻せずに来たのは、プリンちゃんの転入初日以来だ。
「おはよう、今日は早いね」
しかし、二人は何も返さず黙り込んでいる。何があったのだろうか、とりあえず僕らは席に座った。けれど、いつまで経っても二人は一言も喋らない。プリンちゃんも心配そうに二人を見る。僕はいいかげんに話しかけてみた。
「ねぇ、今日はどうしたの?朝から黙り込んじゃって」
「・・・・」
「ねぇ!二人ともっ!!」
僕が大きめの声で話しかけてると、いきなり祐介君が怒りだした。
「うるせーな誠!人が真剣に考えてる時に話しかけんな!」
「ご、ごめん!」
祐介君が怒鳴ったので僕は反射的に謝った。けれども、二人は何を考えているのだろう。すると、唐突にも彼は言う。
「おい誠、賭けしようぜ」
「えっいきなり何!?賭けって何を・・・?」
「お前また忘れてるな。今日、何があるか分かるか?」
僕は何も分からずプリンちゃんを見た。すると彼女は言う。
「今日、このクラスに転入生が来るってことじゃないかな?」
「あ・・・」
またもや僕は忘れていた。言われるまで思い出せないなんて。確かに昨日、高橋先生が言っていたような。というより、こんな事を忘れる僕はそうとうおかしいのかも。
「じゃあ、もしかしてまた男か女かでやるの?」
「当然。誠は強制参加だ、分かったな?」
「そんなぁ・・・」
祐介君が僕に何かを求めるときは脅しに近い。仕方なく僕も参加する事に。
まだ一言も話していない聖二君はプリンちゃんに喋りかけた。
「プリンちゃんも賭けに参加する?もし賭けに負けてもオレが助けるからさ」
「うんん、私は遠慮しとくよ・・・」
彼女がこんなのに参加するわけがない。そしてまた会話が終わった。祐介君も聖二君も勘を頼りに必死に考えている。僕は何も意識せずに場を盛り上げようと喋った。
「二人とも、そんなに必死になっても分かるわけないよ。まぁ前回は賭けにならなかったから、当てたいって気持ちは分かるけど・・・・」
すると、二人は急に固まり僕の方を見る。
「どうしたの?僕、何か悪い事言った?」
聖二君は無言で指を指す。その先には、悲しみの表情を浮かべたプリンちゃんが。僕は状況をやっと理解した。
「あっ・・・!ち、違うんだプリンちゃん、僕はそういうつもりで言ったんじゃなくて・・・!」
「じゃあどういうつもりで言ったんだよ?」
祐介君が手で僕の頭を掴んで押さえ付ける。うぅ・・・何て事を言ってしまったんだ。女性として生きていこうとしている人の前で、女か男か分からないような言い方をすれば誰だって傷つく。軽々しくもこんな事を言ってしまうなんて。鳴呼。
「プリンちゃん、僕はその・・・悪気があったわけじゃなくて・・・えっと、ごめん」
彼女は両手で顔を覆い隠した。肩は上下に震えている。何も言わず僕の方を睨む聖二君たち。他の皆は状況が分かっていない。しかし、皆も僕をじっと見る。
「ご、ごめんなさい・・・・プリンちゃん」
「・・・・・」
彼女は何も答えない。だが、微かに笑い声が聞こえて来た。次第に大きくなっていき、それがプリンちゃんの笑い声だと分かった。
「プリンちゃん??」
顔を覆い隠していた手を下ろすと彼女はニッコリ笑った。
「全然気にしてないよ。ちょっと悪ふざけをしてみただけ」
僕は全身の力が抜けた。祐介君も聖二君もホッと一息。三人とも彼女の演技に騙されてしまった。
とその時、教室の扉が開いた。全員、一斉に扉の方に注目する。高橋先生が教室にやってきた。そして、先生の後に教室に入る人は・・・
「!!」
違う学校の制服で、髪は茶髪でウェーブがかかったロングヘアー。見た目、サディスティックなイメージ放つ女性だった。
「伝えておいた通り、今日は転入生がきました。自己紹介など言いたい事をどうぞ」
高橋先生は彼女に促すと、静かな声で話した。
「名前は花川咲です。皆さんよろしくお願いします」
そう言うと彼女は一礼した。
「皆、よろしく頼むぞ」
高橋先生はそう言い彼女を席へ促す。気付くと一番後ろに新しい机とイスが用意されていた。僕もわりと後ろの席なので彼女の席は近い。ちょうどプリンちゃんの後ろになる。(祐介君の隣)
彼女がプリンちゃんの横を通りかかった時の事だった。プリンちゃんは少し怯えながら彼女の名前を呼んだ。
「さ・・・咲ちゃん・・・」
その声に、彼女は足を止め一瞬プリンちゃんを見る。そして、軽く鼻で笑い自分の席に向かって行った。僕は思わず聞いてみた。
「知り合いの人?」
「う、うん・・・」
「プリンちゃん?」
何故か酷く怯えている。これ以上深く聞き込んではいけないと、何となく察して話すのを止めた。
咲という人が自分の席につくと、いつも通り授業が始まった。プリンちゃんが来た日は、いきなり抜き打ちテストをしたけどこの日はやらなかった。おそらく皆、特に聖二君は授業が終わって、早く転入生と話しがしたいんだろうなと思う。それより僕は、プリンちゃんと彼女の関係が気になって仕方なかった。
そして、あっという間に休み時間、授業が終わって教室内は和やかな空気になった。皆、転入生の周りに集まって話しをしている。プリンちゃんは自分の席にじっと座ったままだ。聖二君と祐介君は早速咲という人のところに行っていると思ったら、珍しく祐介君は自分の席に座ったままだった。聖二君は大接近して話している。僕はどうしようか。とりあえずプリンちゃんのところに行ったが、下を向いたまま何も話さない。もしかしたら、僕が目の前に立っている事すら気付いていないかもしれない。僕は何も言えず、ただ見守る事しか出来なかった。
すると、ふと祐介君が立ち上がった。そして転入生の方へ歩いて行く。しかし、周りには人が集まっていたので遠くから眺めていた。祐介君は小さな囁き程度の声で言う。
「咲・・・」
がやがやしているが、咲という人には聞こえたのだろう。祐介君の方をそっと向いた。
「祐介・・・!」
そう言い、咲は立ち上がろうとした。
「ねぇねぇ好きな食べ物は何?オレはロールキャベツ!」
だが、聖二君が話しかけたので立ち上がるタイミングを逃してしまった。それを見た祐介君は、何も言わずにそのまま再び席に座ってしまった。一体、咲という人は何者なのだろう。結局、プリンちゃんと祐介君の二人は昼食の時間になるまで一歩も動かなかった。
昼食の時間、今日この屋上に居るのは僕とプリンちゃんと祐介君と怜先生の四人だ。聖二君の姿は何故かない。いつもなら怜先生を目当てに誰よりも早く来るのに。
「聖二君、今日バックれたの?」
怜先生は僕たち三人に聞く。しかし、誰も話そうとしないので僕が答えた。
「いえ、朝から学校に来てましたよ。僕もどこにいるか分からなくて」
「ふーん・・・てっきり皆は、聖二君とケンカしたのかと思ったわ」
怜先生は気付いていた。プリンちゃんと祐介君の元気のなさに。というより、誰が見てもすぐに分かるくらい様子がおかしい。
「ねぇ誠君、今日また転校生が来たんでしょ?どんな人よ?」
「どんな人って聞かれても・・・」
「ここに来る前に1組の教室見にいったんだけど、またもいなかったのよ。で、どんな人よ?」
「えーと・・・女の人で、キレイな感じの人ですよ」
「キレイな女の人ねぇ・・・あ、まさか」
「どうしたんですか?」
「聖二君はその人のとこにいるんじゃない?私が教室に行った時は二人ともいなかったし」
「あ・・・そうかも」
今までずっと怜先生を見て来たのに、コロッと変わってしまったのだろうか。そうだとしたら本当に無類の女好きだ。
「これで私の事を諦めてくれたならいいんだけどね」
怜先生はほぼ毎日、聖二君から熱烈なアプローチを受けてるいみたいだ。
「オレが先生の事を諦めるわけないじゃないですか。オレの本命は先生です」
僕らは一斉に聞こえてきた声の方を向く。聖二君だ。そしてもう一人、咲もいた。
「今までどこにいたの?それにその人・・・」
「ああ、さっき好きな食べ物について話しててさ〜。咲はロールキャベツ作るの上手いみたいで、今度作ってもらおうかなぁなんて話してたの」
「え・・・?」
「あれ、誠は知らなかったの?オレ、ロールキャベツが好物だった事」
彼の好物は知らなかったけど、はっきり言ってどうでもよかった。すると怜先生が聞く。
「ところで、隣にいる女性が今日来た人なの?」
咲は何も答えなかったので聖二君が話した。
「そうだよ。別にいいでしょ?ここで一緒に昼ご飯食べたって・・・・な〜んていうのは冗談。プリンちゃんと祐介、知り合いなんだろ?オレが咲を独占してたからさ。それに様子も変だったし、だから連れてきた」
「あなた、プリンちゃんと祐介君の知り合いだったの?」
怜先生の問いに咲は答えた。
「まぁいろいろあって・・・」
「あ、あのね、私は別に咲ちゃんから逃げたわけじゃないよ」
やっとプリンちゃんは口を開いた。どうやら言葉や雰囲気からして、あまり良い関係ではなかったみたいだと感じた。
「ねぇ二人はどういう関係だったの?」
怜先生が核心に迫る。
「私とプリンは同じ中学校に通ってたの」
咲は過去を話す。二人は小学生の時からの親友で、プリンちゃんがその中学校を転校するまでずっと一緒だった。しかし、ある一件を境に二人の仲は壊れたらしい。
「その、ある一件とは?」
怜先生はまじまじと尋ねる。咲は言うのを躊躇っていたが、意を決したかのように言った。
「・・・中学生の時、学校内でミスコンが行われたのよ。そして、その時のミスコンに参加したのは私とプリンよ」
「ミスコン・・・」
その言葉に聖二君はいち早く反応する。咲は話しを続けた。
「中学校では私たちはマドンナ的存在だったわ。プリンは『光り輝く奇跡の女神』と呼ばれ、男子生徒だけでなく女子生徒からも、ものすごい支持を受けていたわ。そして、自分で言うのもなんだけど、私も『漆黒の闇の中に咲く一輪の華』と異名を持ち、負けず劣らずの人気を誇っていたわ。私たちは『光と闇のマドンナ』として学校の頂点に立っていた。そんな私たちがミスコンで競ったのよ。そこまではよかった・・・」
少し沈黙があった。僕はその先が気になって仕方がない。僕たちは話しの続きを待つが、内容を知っているプリンちゃんはうつむいている。
「もしかして、それでプリンちゃんに負けたの?」
怜先生は何の躊躇いもなく言う。よく聞けるなぁ。
「・・・そう、私はプリンに負けたわ」
ここまで話しが進めばもう僕にも分かった。ようするに、咲はミスコンで負けたことが悔しくて、プリンちゃんの後を追って転入して来た。僕は言った。
「じゃあ咲は、プリンちゃんに復讐するために・・・」
「ねぇあんた」
咲は、僕が話すのを止めるかのように強引に口を開く。そして鋭い目付きで僕を睨む。何か気に障る事でも言ってしまったのか・・・?
「私、アナタみたいのに呼び捨てされると不愉快になるんだけど」
「え・・・」
「てか何て名前なの?」
「ま、誠です。鈴木誠・・・」
「ふーん・・・じゃあ誠、これからは呼び捨てしないでね」
「ちょっと待って、君は呼び捨てにしてるじゃないか!それに、聖二君だって君を呼び捨てにしてるよ」
「聖二はいいのよ。私は誠みたいのに呼び捨てにされるのが嫌なの」
それを聞いて聖二君はクスクスと笑っている。
「何が可笑しいんだよ」
「別に。たいしたことじゃねぇけど、お前ってプリンちゃんと怜先生以外の人からは、ほとんど呼び捨てにされてるよな。まぁ誠はそういう雰囲気があるって事だな」
彼の言う事は確かだ。クラスメイトの大半は僕を呼び捨てにする。それに引き換え僕は呼び捨てで呼ぶ人は一人もいない。何故か咲さんだけは自然に呼び捨てにしてたけど。しかし、もうそれは出来ないだろう。僕は改めて自分がどんなものかを感じた。
ふと気付くと話しの内容が脱線している。僕はどんな話しをしてたのか思い出し、話しを元に戻した。
「あの、じゃあ話しを戻すけど、咲・・・さんはミスコンで負けて、復讐するために転校してきたの?」
「確かに復讐のためだけど、ただプリンに負けたという事が復讐の理由じゃないわ」
「え?どういうこと・・・?」
プリンちゃんはキョトンとした顔で言った。今の言葉からしてプリンちゃん本人も、ミスコンで勝ってしまった事が彼女の癇癪を起こしていたと感じていたのだろう。すると咲さんは言う。
「ミスコンは同票、あるいは接戦になると予想されてたわ。僅差で負ければまだ納得出来る。そしてプリンに追い付くために今まで以上努力をするわ。また逆に大差で負ければ、自分の無力さを知って諦めるわ。そして、闇のマドンナは消える・・・それで良かった」
「なるほどね。結局、咲ちゃんはどっちにもなれなかった・・・そういう事かしら?」
彼女は怜先生の問いに頷き、話しを続けた。
「勝負の結果は、僅差でもなければ大差でもない。負けた私はどう反応するべきか必死だったわ。更に親衛隊の中でも微妙な空気が流れた。そしてその後すぐにプリンは転校したわ。闇のマドンナとして消えることが出来ず、存在することも出来なかった・・・そんな私を置き去りにして、光のマドンナは姿を消したのよ」
これが二人の過去だった。皆はどうか分からないけど、僕には咲さんの気持ちがよく分からなかった。僕が男だからって事もあるだろうけど、彼女は「二人のマドンナ」をそれほど誇りに思っていたのだろう。でも、その事の復讐するために、わざわざ転校してくるなんてどうかしてる。僕からしてみれば気違いだよ。
「オレは女性が大好きだから気持ちが分からない事もないけど。オレだったら、そこまでしてまで復讐なんてしようとは思わないな」
そう言いはる聖二君に怜先生は言う。
「それはそうよ。あなたは咲ちゃんじゃないんだから。実際に彼女の立場にならないと分からない事だってあるわ。あなたにもあるでしょ、他人にはなかなか理解してもらえない悩み事」
「先生言うねぇ」
聖二君はそれ以上何も言えず頭を掻いている。彼も僕と同じような事を思っていたみたいだ。そして、更に怜先生は彼女に尋ねる。
「それで・・・咲ちゃんはどうやって復讐するつもり?」
「どうやってって・・・」
咲さんは言葉を詰まらせた。この学校に来たのはいいが、具体的にどう復讐するかは考えていないようだ。
「すぐに思いつかないようなら、あなたはプリンちゃんのこと、それほど憎んではいないわ」
「違うわ!私はプリンのことは憎いと思ってる・・・確かに前は友達だと思っていたけど今は違う。憎いわ・・・私は絶対復讐をする」
「・・・・」
僕は何と言って良いか分からなかった。話しを聞いてもどちらが悪いとは思えない。それに、怜先生が言うように咲さんが本当に彼女を憎んでいるとも思えなかった。
「復讐するなら、またミスコンで決着付ければいいんじゃない?」
怜先生のその一言に一斉に振り向いた。
「この学校って、毎年ミスコンなんてやるんですか?」
と聖二君が尋ねた。
「一度もやった事ないわよ。もし本当にやるなら、生徒会に申請しなきゃ」
「あの・・・申請してもミスコンが行われるかどうかは分かりませんよ」
「大丈夫よ誠君。生徒会には私から上手くお願いすれば問題ないわ」
なるほど、お色気で攻めるという事だろう、たぶん。
「で、どうする?ミスコンやるなら申請しちゃうわよ」
「やります。先生、よろしくお願いします」
咲さんはやる気満々だ。反対にプリンちゃんはおどおどとした感じだ。ミスコンへの参加を渋っているようだ。そんな彼女に咲さんは言う。
「プリン・・・あなたはこの勝負、逃げる気?」
「無理して参加する事はないよ。嫌だったらはっきり断ればいいんだよ」
「誠は黙ってなさい!これは私たちの問題よ」
僕は彼女の気迫に怖気ついて何も言い返せなかった。
「どうなのよ!?プリン!」
「・・・分かった、私も参加するよ」
突如現れたプリンちゃんをライバル視する女性。これからどんな生活が待っているか予想もつかない。僕は、ただプリンちゃんのことが心配で仕方なかった。
そして、ミスコンは行われるのか。