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ユグドラシルの木の下で  作者: ウルフ
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一話 冒険の朝日

 町の冒険者組合の屋根には一人の少年が朝日の輝きを浴びていた。雪解け水の様な銀髪、同色の獣の耳とふさふさの尻尾、南国の海の様な水色の瞳、白に金色の縁取りのロングコートを羽織り、腰の鞘には刀が収まっている。

 彼、人狼族のベアトリクス=レンディアは今日から冒険者となるのだ。期待に胸を躍らせて、彼は屋根から飛び降りる。

 冒険者と言えば、自分よりも強い魔獣(モンスター)に足掻く命がけの仕事。しかし、冒険者になりたいと子供が言っているのは英雄にあこがれているのもあるが、一番の理由は世界樹(ユグドラシル)である。

 魔力や命の誕生した大木ともいわれ、ユグドラシルの種は一本の剣である。その名はエクスカリバー、世界剣とも呼ばれている。最強の剣であり、この剣があれば世界を制する事が出来るらしい。

 さらにもう一つ、ベアトリクスことベアは目標を持っていた。それは最強の冒険者、白薔薇になることだ。白薔薇とは冒険者のランクであり、冒険者の中でも最高峰と言われる。クラスは下から初心者の赤薔薇、そこそこの青薔薇、一人前の黄色い月薔薇、弟子持ちを許される紫の夜薔薇、プロの黒薔薇、最高峰の白薔薇がある。


 ベアは組合の受付で冒険者登録した。そして、もう一つ大事なことがあった。それはジョブである。一人ずつ決まったジョブがあり、それは十五歳になってやっとわかるのだ。

 ジョブには《剣士(フェンサー)》《魔法使い(メイジ)》《弓使い(アーチャー)》《魔剣士(マギ)》《竜騎士(ドラグナー)》《狩人(ハンター)》《狙撃手(スナイパー)》《道化師(クラウン)》《聖騎士(パラディン)》《魔弓士(レイアーチャー)》《癒術師(ヒーラー)》《呪術師(スペラー)》等がある。


「では、ジョブを調べるためにこの石の上に手を置いてください」


 出された水晶玉にそっと手を添えると、文字が浮かんでくる。


「これは――!ダブルジョブ!?」

「「「えぇぇぇぇぇえええ!?」」」


 組合にいる他の冒険者も声を上げた。ダブルジョブとはそのままの意味で二種類のジョブを持っていることを言う。

 ダブルジョブはとても希少で世界に数人しかおらず、白薔薇でもダブルジョブ持ちは八人中二人しかいないのだ。


「よっしゃぁぁぁぁあああ!」

「す、凄いですよ!ジョブは《魔剣士(マギ)》と《竜騎士(ドラグナー)》ですよ!」


 これまたいい物を引いてしまった。三大聖職の二つを引いたのだ。


「なぁなぁ!俺等のギルドに入らないか!?」

「いやいや何言ってんの?暑苦しい熱狂バカは黙ってなさい!私たちのギルドに入らない?」

「僕らのパーティーに入ってくれよ!」

「私たちのパーティーよ!全員女性だからハーレムできるわよ!」


 皆が迫ってくる。勿論ギルドに入る気は余りない。ハーレムだけは気になってしまったが。

 突如、ベアの袖を引っ張られる。掴んだのは赤い頭巾をかぶり、金箔の様な黄金の髪でルビーの様な深紅の瞳、胸が大きく、女性だと判断できた。

 人込みから引っ張られたまま抜ける。

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