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TRUE.〜焼かれた僕と、喰われた少女と、怪奇探偵〜  作者: 夕招かるま
二、消えない歯跡
32/32

004

お久しぶりです!

試験やら就活やらが……落ち着いてはないですが、続きをそろそろ書きたくなって来たので、不定期ですが連載していきます!!

よろしくお願いします!

「さて、そろそろ出るか……」


 いつものワイドショーの、自己主張していそうでしていない、画面の隅に存在している時刻表示がいつもの時間を示したので、僕は食器を台所にいる薄氷(うすらい)さんの元へと持っていった。


「ご馳走様でした。とても美味しかったです」

 その言葉が彼女の耳に伝えきる前に、嬉々とした表情を浮かべたと思うと、ぐいっと顔を寄せてきて、にっこりと笑った。

「えへへぇ、そうでしょ?料理はすっごく自信あるんだよねぇ」

 水色の髪を揺らしながら楽しげにそういう彼女は服装はアレでも、とても生活力のある、魅力的な女性に見えると思う。

 ……片手に、缶ビールがなければ、という前提なら、だけど。

「……朝から、お酒ですか?」

「うん。なんかヘン?」

 はい、とても、と心の中で頷きながら、「いや、少し驚いただけです」となんとか口に出せた。

「いやぁ、私さ、お酒入らないとダメなんだよねぇ、やる気出ないっていうか、なんというか……」

 ……まぁ、これから一週間近くもお世話になる上、朝食までご馳走になってしまった為、突っかかるのも野暮というものだと思ったので、それについては深くは触れないことにした。


「……そう言えば、薄氷さんは普段何してるんですか?他二人は探偵だったり、学生だったりなようですけど」

「私?そーだねぇ……起きてゲームして家事やって、ゲームして……お酒飲んでゲームして、またゲームして寝てるかな」

 今の言葉の中で何回ゲームという単語を聞いたのだろうか。

「……お仕事とかは、してないんですか?」

「? なんで私がしなきゃいけないのよ」

 当然のように、それがまるで自然な事のように、物怖じも恥もせずそう僕に言うと、彼女はビールをぐっ、と喉に流し込んだ。

 ふぅ、と一息をついてから僕に向きなおり、ふふん、と笑った。


「だって、私────()()()()だし」


「……神……?」


 そのままの意味とは勿論思えなかったが、自分を表現するにしては、珍しい表現をする人だな、と思った。


 けど、もしかして、本当に──


「はい、少年」

 そんな事を考えていた僕の眼前に、風呂敷の包みが突き出された。

「……これは?」

「お弁当よ、お弁当。空ちゃんの余りで作ったのだけどね。いやぁ、使わなくなったお弁当箱とっておいて良かったなぁ……」

 ……弁当、箱……。

 …………重っ。

 なんか、やけに平らだし……。

 中を、結びを解いて、覗いてみる。


「…………タッパーですよね」

「そう、一リットルタッパー」

「一リットル」

「つまり、およそ千キロカロリー」

「…………千キロ」

「若い子は、たっくさん食べて、動いて、体作らないと、ね」

「………………」

 ちなみに言うと、普段の僕の昼食は、コンビニのあんぱんやら惣菜パンなどから1個である。部活もしていないため、それで事足りるからだ。

 ……自分の家に帰る頃には、太ってそうだなぁ。



 ☆ ☆ ☆

 天が持ち帰ってくれた教科書と、薄氷さんの弁当箱をなんとかバッグに詰め込み、肩にかけて玄関の前へと向かうと、リビングから薄氷さんが覗き込んでいた。

「……いやぁ、やっぱりいいなぁ学生。若々しくて、とてもいい」

 ニヤニヤと笑いながら空になったのだろうビールの缶を手で遊びながら、僕を見回す。なんとも言えない気分に苛まれながら、ドアに手をかけようとした所、昨晩のことを思い返した。

「……この扉って、どこに出るんですか?」

「ん、あー、そうだったね。説明頼まれてたんだった」

 いけないいけないと頭を掻きつつ呟くと、リビングから出てきて、近くにまで寄ってきた。

「そのドアはね、出たいところに出れるの。ま、その出たいと思ったところの近くのドアと空間を繋げて──とかはいいか、有り体に言うなら、どこでもドア、みたいなものよ」

「二十二世紀のひみつ道具はここにあったのか……」

「変な事に使っちゃダメだからね。勝手に使ったら追い出しちゃうぞ」

「つ、使いませんよ……」

「えー? 噂の葵ちゃんのお部屋とか行きたかっりするんじゃないのー?」

「そ、それは……っ」

 やばい、顔が熱い。顔に出てしまってるのが自分でも分かる。

「あっははは、可愛いなぁ、もう。

 ──さて、ほらほら、遅刻してしまうぞ少年。早く行きたまえよ」

 楽しげに笑いながら、急かすように僕の背を軽く押す。

「わっ、……は、はい、行ってきます」

 ……行ってきます、と、いつぶりに口にしただろうか。

 そうして、僕は桔梗家を出た。




「──で、結局出てきちゃうんだもんなぁ……」

 流石に、葵の部屋、ではなかったにしても、出てきたのは昨日と同じ古屋のドア、つまるところ神宮寺家の前だった。

「……何を、期待してるんだろ、僕は」



「──ちょっといいかな」


 背後から不意に声がした。男性のものだろう。

 その声は、優しそうであったのにも関わらず、どこか、影を感じるようなものであった。

 少し驚きながら振り返り、その主を見る。その男はとても背が高く、昨日の黒服三人組にも近い気配がした。


「道に迷ってしまって、困ってるんだ。少し、教えてくれないかな」


 僕の顔をのぞき込むようにして、その男はニヤリと笑った。

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