出会い〜鏡也編〜
進展というよりは別視点で同じ所までって感じです。
まだまだ序盤です。
◇鏡也
6年前。俺は鬼族の国、ヤマトへ修行の為渡った。
ヤマトは小さな島国だ。しかし、そこに住む鬼族は戦に強く、好戦的で有名だ。だから、どの国も不用意に攻め込むことが出来ず、小さいながらも大国と称されている。
そのヤマトを修行地へと選んだのには訳がある。
俺の父親がヤマトの者だったからだ。
とある理由で魔法大国・ウィスティリカに逃げてきたらしいが、その理由までは聞いていない。聞こうにも、両親共に幼い頃に亡くなった。
今は義勇軍が拠り所だ。
(にしても、6年たっても変わんねえモンだな。)
ヤマトからの船を降りてきょろきょろと辺りを見渡すと、ほとんど見慣れた景色だった。そこに見慣れた姿を見つける。
「マスター!」
金髪で背の高い男。前髪は右側だけ後ろに流した髪型は、整った顔立ちもあってかオシャレに見える。
「おお、鏡也!久しぶりだな!」
俺の姿を見つけると、義勇軍ギルドマスターであるロゥリィ・レオナルドはぱあっと顔を輝かせた。
レオナルドという姓は珍しいが、訳ありで名を変える輩も少なくない。特に、色んな国と交易を結ぶウィスティリカではそれが顕著だ。
「久しぶり、マスター。」
「修行はどうだった?」
マスターの言葉で、俺はヤマトでの修行の日々を思い出す。
俺のお師匠は実力は確かなのだが、酒が大好きだ。遊郭で酒を飲んでは泥酔して俺が召喚される。それが6年間ずっとだ。
お師匠は国軍大将という忙しい役職に就いており、あまり俺に時間をかけていられなかった。だが、何かと実戦の機会を与えてくれた。
酒関係を除けば、随分良い師匠だったと思う。
「強くなれたと思いますよ。」
「そうかぁ、じゃあ行って良かったな。お前が強くなって帰ってきてくれて嬉しいよ。」
そうこう俺の修行の話だとか、俺がいない間のギルドの様子とかを話しているうちに、義勇軍に着いてしまった。
懐かしい景色だ。帰ってきた、と実感が湧く。
「ただいま。」
マスターが先にギルドに入る。その大きな背中に被らないように横にズレると、金髪の少女と目があった。
左横に1つに纏められた金髪、大きな青い瞳。豊満な胸をぴったりのタイトな服。
その少女は、何かを伺うようにこちらをずっと見ていた。