核を破壊せよ!
俺は分かれ道まで戻り、最後の道を進む
「…………」
俺はさっきよりも慎重に進む
触手を警戒し
壁に抜け道が無いか確認し
何処かにルナが居た痕跡が無いか調べながら進む
うねうねと這う触手に不快感を感じながら進んでいると
「おっ、広いところに出たか」
開いた空間にたどり着いた
触手に塞がられて暗いが、本来なら外の景色が見えたであろう大きな窓……窓でいいのか?
「んっ?」
俺は床に這っている触手を見る
ビチビチと動く触手は先端部分だけで暴れていた
「これは斬られた触手か?」
周りを見渡すと先端の触手があった
「ルナが斬ったのか?」
床の触手が少しずつ大人しくなって、動かなくなった
「斬られてあんまり時間は経ってないか……近くにいるのか?」
俺は前の道を見る
……他にもうひとつ道があるが……こっちに行ってみるか、触手も落ちているし
・・・・・・
ーーールナ視点ーーー
「はぁ……はぁ……」
僕はサナ達を探すために遺跡を歩く
「皆……どこにいるの?」
襲ってくる触手を斬りながら進む
「あ……」
死体がある……男性の死体だ
「…………」
僕は手を合わせてから進む
「ここも違うか……」
また行き止まり……戻らないと……
シュルル
「うわっ!?」
振り返ったら触手が足下から襲ってきた
4本の触手……2本は咄嗟に斬れたけど……残りの2本が僕の右腕と左足に巻き付いた
「この!離せ!」
僕はもがくが、ふりほどけない
触手が増える
僕の両腕と両足が拘束された
「くっ!」
シュル……シュル……
ジュルジュル
触手が装備の上を這う……気色悪い
「えっ?うわ!」
触手が少しずつ壁に近付く……すると壁の一部が崩れた…中には大量の触手が見える……サナ達と一緒だ……あの中に入れられたら何処かに連れていかれる!
「くそ!離せ!離して!!」
僕は必死でもがく
僕まで捕まったら……誰がサナ達やフイル村の人達を助けるの?
「離せぇぇぇぇ!!」
「ルナ!」
聞き覚えのある声
ザシュ!
右足の触手が斬られる
「うおおおお!!」
ザシュ!
左足の触手が斬られる
スタッ
僕の両足が床に着く
「コイツは連れていかせねえ!!」
声の主が僕を抱き寄せて両腕の触手を斧で斬る
「剣は持てるか?」
「は、はい!」
僕は落とした剣を拾って構える
「なんで貴方がここに?」
構えながら僕は声の主を見る
「詳しい話は後だ!安全な場所まで退くぞ!」
そう言ってカケルさんは走り出した、僕も彼についていく
・・・・・・
ーーーカケル視点ーーー
危なかった……ルナが捕まって連れていかれる直前だった
ルナを拘束していた触手を斬りすてて俺とルナは走る
目指すのはさっきの広い場所!ここよりは触手は少ないし……
「ついた!」
「はぁ、はぁ……」
ルナを見る
疲労が色濃く出ている……
「ルナ、そこに座れ」
俺は触手が周りの無いのを確認してから台座にルナを座らせる
「す、すいません……」
ルナが座る
「…………」
くぅ……
小さな音がルナのお腹から聞こえた
「あっ……」
「ほら、食え」
俺はパンと水をルナに渡す
「えっ、でも……」
「お前に渡すために持ってきたんだ、食え」
「ありがとうございます……」
ルナはパンを食べて水を飲む
そして一息つく
「ふぅ……」
「落ち着いたか?」
「はい!」
ルナが立ち上がる
「あの、カケルさんは何故ここに?」
気になるだろうな
「フイル村の問題が解決してないって噂を聞いてな……寄ってみたらルナ達が戻ってこないってリーフが慌てていてな、お前を助けに行くって言ってたから止めて……俺が代わりに来た」
「そうだったんですか……すいません……僕が未熟なばかりに……」
「何でも上手くいく奴なんていねえよ。気にするな」
ルナはまだ子供なんだからな、これから頑張ればいい
「あ、サナ達を見かけませんでしたか!僕を庇って触手に連れていかれたんです!!」
ルナが慌てる
「あぁ、アイツらなら…………」
死んだことを伝えようとして俺は考える
今のルナは精神的にも肉体的にも限界が近い
そんなルナにサナ達の死を伝えてもいいのか?
耐えられるのか?
…………いや、これは言い訳だな……俺は伝えるのが怖いんだ
なんで殺したのか……なんで助けられなかったのか……
そう責められるかもしれないと思ってるから……
俺は…………
「今は村にいるぞ?何でも外に追い出されたらしくてな……遺跡に入りたくても触手に追い返されるらしいんだ!」
俺はそんな嘘をついた……最低な嘘を……
「……そうなんですね!皆無事だったんだ!良かった……」
ほっとするルナ……
俺はクソ野郎だな……
「それでメアから聞いたんだが……この『パラサイトビート』って魔物は核を破壊しないといけないらしいんだが……」
「それなら大丈夫です!核なら皆を探してるときに見つけました!」
「そうなのか?」
「はい!破壊した後に遺跡が崩壊するかもしれないから、皆と合流してから破壊しようと思って……」
「そうか……なら破壊しよう……そして終わらせよう」
この魔物の存在をな……
・・・・・・
「ここです!」
ルナに案内されてついた場所は広い空間だ……定期的にあるな
「あれです!」
ルナの指差す場所には大きなアーモンドみたいなのがあった
「確かに『核』って感じだな……脈うってるし」
「では……破壊しますね!」
そう言ってルナが剣を構える
「えい!」
ザシュ!
ルナの剣が核を斬る
斬ったのだが……
「おいおい、再生したぞ?」
「うぇ!?」
斬った所があっという間に治った
「この!この!」
ルナが剣で何回も斬る
しかし、すぐに再生する
「はぁ、はぁ……」
どんなに斬っても再生されて……ルナは息切れを起こす
「どうなってるんだ?」
俺は核の周りを見る
核はここにポツンと立っている……触手と繋がってる様子もない
もしかして床の下で繋がってるとか?
「…………」
「ど、どうしましょう……」
頭を抱えるルナ
「うーん……」
俺は考える
斬っても再生する……傷は瞬時に治る……なら傷つけ続ければ?
剣とかで斬るんじゃなくて……継続的にダメージを与えてみれば……
「なぁ、ルナ」
「はい?どうしました?」
呼吸を整えているルナに声をかける
「ルナは炎の魔法が使えるか?」
「すいません……まだ水と光しか出来ません……」
「そうか……ならそのどっちかに身を守る魔法はあるか?」
「オー・エキュームというのがありますね」
「どんな感じの魔法だ?」
俺はランプを見ながら言う
「発動者を中心に大きな泡が出て、攻撃を防いでくれるんです」
「バリアみたいな感じか?」
「バリア?結界の事ですか?そんな感じですね」
そういうとルナは俺に近寄り
「オー・エキューム!!」
魔法を唱える
すると成る程泡だ、大きな泡に包まれた
「涼しいな……」
「一定の温度に保つので……でも氷の魔法には弱いんですよ……」
氷には弱いと……
「火とか衝撃には強いのか?」
「はい!簡単には割れませんよ!」
そっか……
「それで何故そんな事を聞くんですか?」
「ん?今からここを燃やそうと思ってな……火の回りが早いだろうから俺達を火や煙から守ってもらおうとな」
「燃やす?どうやってです?」
「こうやって!」
俺はランプのガラスを砕き
「団長!お許しください!おらぁ!」
キャラバンの団長に謝りながら核にランプを投げた
パリンと他のガラスが割れる音
火が飛び、核に触れる
油にまみれた核は一気に燃える
「うおっ!?」
更に火が広がり、一気に周りの触手に火が移る
「す、凄い早さですね!?」
「急いで脱出するぞ!」
「ひゃあ!?」
俺はルナを持ち上げる、お姫様抱っこってやつだな!
野郎にすることではないがしょうがない!
「ルナ!捕まってろ!走るからな!」
「は、はい!」
ルナが恥ずかしいのか赤くなりながら俺にしがみつく
俺は全力で来た道を戻る
「…………」
この炎が……あの三人と他の犠牲者の死体を燃やして、弔ってくれることを願いながら
・・・・・・・
ーーーリーフ視点ーーー
シルバ君と話をしながらカケルを待っていた
二人がどう出会ってどう過ごしたのかを聞いて私は思った
カケルはやっぱりカケルだね
「ねえちゃん……」
私の前で空を眺めながらシルバ君が言う
「うん、そろそろだね」
太陽が沈み始める……空が赤くなって夕方……カケルは戻ってこない
そろそろ遺跡に入って皆を探すべきだ
「……あれ?」
遺跡の方を見て歩き出した時に違和感を感じた
「……花粉が止んでる?」
ゴーグルを外すとさっきまで飛んでいた花粉が無くなっていた
「ねえちゃんあれ!」
シルバ君が遺跡を指差す
「えっ?煙?」
遺跡から黒い煙が立ち上る
そして
ボワッ!
魔物と遺跡が燃え始めた
「えっ?えっ!?」
私は驚く……いきなり燃え出したんだから当たり前だよね?
「行こう!」
「うん!」
私とシルバ君は遺跡に駆け寄る
遺跡の入り口からも煙が出てくる
「にいちゃん……」
シルバ君が不安そうだ……私も不安になる
「行ってみよう!」
私は勇気を出して遺跡に入ろうと歩く
グイッ!
「?」
するとシルバ君が私の裾を引っ張る
「どうしたの?」
「来た!」
来た?
私が遺跡の入り口を見ると
「見えた!出口だ!!」
ルナを抱き上げて走ってくるカケルが出てきた
「カケル!」
「にいちゃん!」
「よっ!戻ってきたぞ!」
カケルとルナは無事みたいだった……あれ?サナさん達は?
私が首を傾げてると
「…………」
ルナを下ろしたカケルがルナの後ろで指を口に当てていた
何かあったんだね?
下手なことは言わないようしよう……
取り敢えず今は、二人の無事を喜ぼう
私はそう思ってカケルに抱きつくシルバ君を見た




