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背負う

「私達を……殺してくれ」


 …………なに言ってんだよ?


「なに言ってんだよ……なに言ってんだよ!なに言ってんだよ!!」


 俺は叫んだ、今、言われたことを理解しないように拒絶するように


「頼む……」


 サラが俺を見る……

 メリーやメアもだ……


「ふ、ふざけるなよ!まだ助かるかも知れないだろ!?」

 む、無理矢理引きずり出して……


「無理だっただろ?」

「なら触手を千切って!」

「お前も呑まれるぞ……」

「だったら……だったら!!」


 俺は頭を抱える


「…………俺はな!自慢じゃないが人を殺したことは無いんだよ!!そんな奴に頼むのかよ!!」


「すまない……」


 サラは申し訳なさそうに項垂れる


「もうすぐ……私達は死ぬ……どうせ死ぬなら……人間として意識があるうちに死にたい……」


「ルナが悲しむぞ!」


「だろうな……でも、どうしようもない……」


「っ!!」


「頼む……カケル……」


 サナ……メア……メリー……三人が俺を見る

 その目でわかる……彼女達の覚悟が……

 彼女達も本当は死にたくはない……でもどうしようもない……このまま魔物の栄養になって死ぬのならいっそ……


 ちくしょう……ちくしょう……ちくしょう!

 ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!


 ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉ!!


「もう……方法が……ないんだな?」


 俺は混乱している頭で言葉を捻り出す


「あぁ、ない……」


「…………」


 いつか……この旅を始めたら……人を殺すこともあるかもしれない……

 その覚悟はしたつもりだった

 賊に襲われたりとか……敵に襲われたりとか

 そんな正当防衛な殺しだったら……ここまで苦しまない


 俺が今からやることが……無抵抗の人間を……なんの罪もない人間を殺す事だ……


「……くっ!」


 身体が震える

 呼吸が乱れる

 殺したくない……でも殺らないといけない……でも殺したくない


 頭の中がグルグルと回る感覚


「すーはー……げほっ!」


 深呼吸して噎せる


「わかった……やってやる」


 俺は斧を持つ

 こうしてる今も手が震える

 嫌だ……嫌だ……殺したくない……嫌だ!!



「誰から……殺ればいい?」


 俺は震える声で聞く


「私から……お願いします」


 メアが言う


「もう……意識が無くなりそうなので……お願いします」

 

「わかった……」


 俺はメアに近寄る


「カケルさん……ルナにも言っておきましたが……この魔物は『パラサイトビート』と言います……遺跡の何処かに核があるのでそれを破壊してください……」


「わかった……」


「それと……ルナさんに言っておいて下さい……最後まで一緒にいれなくてすみませんと……」


 そういうとメアは「お願いします」と頭を下げて首を出す


「…………っ!!」


 俺は斧を振り上げて……


 ドシュ!!

 ボトッ!


 メアの首を切り落とした


「っっっがぁ!!」


 腕に伝わる感触

 今、俺は人を殺した


「~~~っ!!」


 血が吹き出し、空間に臭いが広がる


 吐きそうだ……だが耐える


「つ、次は……」


「私ね……」


 メリー……


「わかった……」


 俺はメリーに近寄る


「あ、カケル……ちょっと顔を近付けて」

「?」


 俺はメリーの顔を覗きこむ


「もっと寄って!」

「?」


 言われた通りに寄る


「えい」


 チュッ!


「うぉ!?」


 額にキスされた


「いきなりなにして……っ!?」


『"魔術師"獲得』


「なっ!?」

「君、魔法の素質が無かったから無理矢理獲得させちゃった♪」


 そういうとメリーの顔色がドンドン悪くなっていく


「私の……残りの魔力……つかっちゃったからね……あとは……君次第……だよ?」


 そう言って首を出す


「わかった……」


 俺は斧を振り上げる


「ルナルナの事……よろしくね?」


 ヒュ!

 ドシュ!

 ボトッ!


「っっう!!」

 込み上げる吐き気


 メリーの首が落ちる


 その表情は穏やかだった


「あとは……お前だけだな……」


 俺の吐き気は限界だ……


「頼む……」


 俺はサナに近寄る


「カケル……そこに落ちてる腕輪」

「?」


 俺の足下には銀色の腕輪が落ちている


「これがどうかしたのか?」

「それを持っていけ……そして王都にいる『ガルキネス』という人物を訪ねろ……お前に力を貸してくれる筈だ……」


「……わかった……」


 ガルキネスね……覚えておこう


「ルナには……『前だけを見ろ』と……伝えてくれ」

「あぁ、伝えておく……」


 サナが首を出す


「っ!」


 ヒュ!

 ドシュ!

 ボトッ!


 サナの頭が落ちる……


「ぐぅ!」


 俺は走って三人から離れる……そして


「うっ……げぇ……」


 吐く……胃の中の物をぶちまける

 

「ちく……しょう……」


 涙が止まらない……


 本人達の頼みとはいえ……俺は何の罪もない人を三人も殺したのだ

 過程なんてどうでもいい、その結果が全てだ


「げほっ!」


 そう思うと俺は更に吐き気に襲われて吐いた


 ・・・・・・


「っぺ!」


 吐くものも無くなり、落ち着いた俺は自分の分の水で口をゆすぎ

 頭から水をかぶって頭冷やし、顔も洗った


「…………」


 吐くのは止まったが気持ちは悪い……最悪だ


「…………」


 俺は三人を見る……身体はそのままだが……転がってる頭は……


「…………」

 

 俺は三人の頭を集めて、脱いだマントで包む

 余裕があれば持って行って埋めてやりたいが……


「その余裕はなさそうだな……」


 三人が捕食されていた……どれくらいの実力かは知らないが、俺よりは強い筈だ……

 そして今、ルナは一人だ……


「急がないとな……」


 俺は三人に手を合わせる


「必ず……ルナを助ける……」


 俺はそう言ってから来た道を戻った














 

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