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遺跡の中

 フイル村から歩いて三十分


 それくらいの距離に例の遺跡はあった


 風化が始まってるのか遠くから見てもわかるボロボロ感

 歴史を感じるなぁ……

 更に今ならうねうね動く触手が遺跡に緑色のオシャレポイントを作っている

 遺跡の上には大きな花が咲いている

 その花弁は真っ赤で……とても目立つ

 そして花弁の中心には大きな目玉がこちらを見つめている

 目と目が合う瞬間に好きだと気付く……わけねえだろ!?


「完全に魔物じゃねえか!?」


 花を見て俺は叫んだ


「帰ってきたらあんな風になってて……私もビックリしたよ……」

「これ外していい?」


 答えるリーフとゴーグルが邪魔そうなシルバ

 チョコは置いてきた……花粉が凄いからな


「シルバ、ゴーグルは付けとけ……それにしてもこれは……」


 あの花が魔物って事は、遺跡は魔物の腹の中って事だ……ふ、不安だ


「取り敢えず確認だ、俺は遺跡に入る、暫く経っても戻らなかったら二人が入る……それでいいな?」

「うん……暫くってどれくらい?」

「そうだな……」


 俺は空を見る……花粉で見にくいが太陽は真上だ……これならあと5時間くらいで夕方だな


「夕方になっても戻らなかったらって事で」

「わかった……カケル、気を付けてね?」

「あぁ」

「にいちゃん……」


 俺のズボンを握るシルバ


「シルバ、リーフを守るんだぞ?お前に任せたからな?」

 俺はシルバの頭を撫でながら言う


「僕が?…………うん!任せてよ!!」


 元気に答えるシルバ……いい子だ


「んじゃ行ってくる」


 俺は荷物を確認しながら歩く

 ルナ達に渡すための食料と水

 俺の分の水

 斧とナイフと……キャラバンの隊長から貰ったランプ

 よし、大丈夫だな


 ・・・・・・


「……中には花粉が無いのか」


 俺は遺跡に入った

 取り敢えず大量の目玉に見られる、なんて事はなかった

 そんな目にあったら確実にトラウマになる


「遺跡の中に花粉を出す意味は無いってことか?」

 俺はゴーグルを外して見渡す


 遺跡の壁には触手がちらほらと這っている


「……」


 俺はランプに火を点す


「なんだ?壁が濡れてる?」


 周りが明るくなって最初に気付いたのは遺跡の壁が濡れてる事だ


「……んん?」


 俺はマントの端を持って、壁に触れる


「溶けないから消化液じゃないな」


 マントに付いた液体に触れる


「ヌルヌルしてるな……」


 なんかジェルみたいな……いや……これは……


「油かこれ?」


 俺は指に水をかける

 水は指の上で弾かれる……小さな水の玉が出来る


「油だなこれ……」


 植物性油ってか?


「まあ床はあまり濡れていないし……滑らないように気を付けるか」


 俺はそう判断して歩く


 ・・・・・・


「んっ?分かれ道か……」


 暫く進むと四方向に道が分かれていた


「さて、どれが正解か……四人は分かれてそれぞれの道を進んだのか?」


 俺は足下や壁を調べる


「足跡はもう消えてるか……」


 油や這う触手で痕跡は無くなっていた


「1番左から調べるか!」


 順番に行くしかないな!


 ・・・・・


 1番左はハズレだった

 いや、ある意味当たりか?


「行き止まりと空になった宝箱か……」


 俺は宝箱を調べる


「中までボロボロだな……開けられてから何年も経ってるような……つまり……」


 完全にハズレか……ルナ達はここには来てないか


「いや、少しわかったこともあるか」


 少なくともルナ達は一人ずつに分かれてはいない

 二人ずつか四人で進んだと考えられるな……


「……空の宝箱を見て引き返した可能性もあるが」


 考えてても仕方ない、次だ次!



 ・・・・・・


 俺は戻って次の道を進んだ


「ここは……休憩室か?」


 進んだ先には扉が有った、俺は扉を開けて中に入った

 そこには崩れているがベッドが有った


「かなり古いな……何年……もしかしたら何十年も前の物か?」


 ここも触手が這ってるし……今はとてもじゃないが使えないな


「次!」


 俺は引き返す


 ・・・・・


 今度は1番右に行ってみた……もしかしたらここが正解かもしれない!


「んっ?行き止まりか?」


 進んだ先には行き止まり……くそ!変に動かずにおとなしく次の道にしとけばよかった!


 俺は引き返そうと振り返る


「…………んっ?」


 しかし振り返って違和感を感じた


「……なんかおかしい?」


 俺は行き止まりを見る……何もない……ただの壁だ


「…………あっ」


 俺は気付く

 この行き止まりの壁には触手が全然無いことを

 宝箱が有った行き止まりも休憩室にも触手は這っていた

 てか、周りの壁には普通に触手が這っている

 だがこの壁だけ触手が無い


「なんかあるのか?」


 俺は壁に触れる……石の硬い感触……


 ペタペタと触っていくと


 ゴトッ!


「うぉっ!?」


 何か押した!?

 壁の一部が凹んだ


 ゴゴゴゴ!!


「っと!」


 壁が動き出す


 そして目の前に道が出来た


「ここが正解だったのか?」


 俺は道を進む


 ・・・・・・


「ここにも触手があるか……なんか他のところより多くないか?」


 道は一本道だ、進んでいくと壁に大量の触手が這っている

 さっきまではなんと言うか……壁に何本か間隔的に這っている感じだった

 今は壁が見えないくらいの量だ


「……襲ってきたりしないよな……」


 触手が多いって事は、それだけ重要な部分って事だ

 魔物の心臓とかあるかもな!


「って植物型に心臓とか無いか」


 有るとしたら根っことかか?


『………っ!』

『……ぁ』


「…………」


 なんか声が聞こえた?


 俺は耳を済ませる


『……く……ぁ』

『……た……っ』

『ひ……』


 間違いなく聞こえる……奥からだ


「誰か居るな」


 ルナ達か……他の旅人か……


 ・・・・・・


「なんだこれ……」


 1番奥まで進んだ俺が見たのは触手だった

 壁の全てを触手が埋め尽くしている


「誰か……いる、のか?」

「!?」


 女の声


「あぁ!居るぞ!」


 俺は部屋に入る

 そして見つけた


「くっ!」

「はっ……ぐっ!」

「はぁ、はぁ」


 触手に呑まれている女を三人

 コイツらはルナの仲間の……


「お前ら大丈夫か!?」


 武道家のサナ

 神官のメア

 魔導師のメリー


 三人の女だった、裸で地面には服だった物落ちている……千切られたのか?

 ……大量の触手にまとわりつかれていて、両手と腰から下は壁を這う触手の中に有るみたいだ

 壁の中に埋められてるのか!?


「お……まえは……」


 サナが俺に気付く


「今助けるからな!」


 俺は1番近くに居たサナの両脇を掴んで引っ張る


「ぐっ!このぉ!」


 引っ張ると少し動くが……なんだ?向こうからも引っ張られてる様な……


「ぐぐぐ!!」


 くそ!抜けない!


「くそ!こうなったら触手を引きちぎって!」


 俺はサナの下半身を飲み込んでいる壁の触手を千切ろうと手を伸ばす


「やめておけ……呑まれるぞ……」

「えっ?うお!?」


 サナの言葉を聞きながら触手に触れた

 すると触手が腕に絡まって引っ張ろうとしてきた

 慌てて俺は腕を引き、ナイフでまとわりつく触手を斬る


「なんだよ今の!?」


 俺は腕を見る……油でヌメヌメする……


「こいつは……捕食用の触手だ……触れたら……私達みたいになる」


「捕食……」


 く、食われてるのか!?


「おい、ルナは!?お前達だけなのか!?」


 俺はサナを引っ張りながら聞く

 やっぱり抜けない


「ここに……いないのなら……無事な……筈だ……ぐっ!」


 サナは苦しそうだ


「そうか、ルナは無事なんだな!……くそ!どうすれば抜けるんだよ!」


「もういい……私達は助からない」

「諦めるな!助ける方法がある筈だ!」

「……もう無理だ……」


 チラリとサラが横を見る


「んー?」


 メリーが俺達を見ていた……


「メリー……お前はどうだ?」


 サラが聞く


「んー駄目かな……魔力は殆んど吸われたし……下半身なんか溶けちゃってるみたい?メアちゃんはどう?」


「私は身体の感覚がもうありませんね……もってあと5時間くらいでしょうか……」


「どういうことだ?おい!」


 嫌な考えが頭を駆け抜ける


「簡単に……言うと……私達は……既に消化が始まって……いる」


 サラが顔を上げて俺を見る


「捕食されて……3日経った……4日程でああなる」


 サラが視線をうつす

 俺はその視線の先を見る


「ぐっ!?」


 そこには骨や腐乱した死体があった


「こいつは……こうして獲物を消化して……栄養にしていたんだ……私達も……もうすぐ……ああなる」


「げほっ!ごほっ!」


 死体を見て俺は吐き気に襲われていた


「……お前……名前は?」

「サラさん、カケルさんですよ」

「そうか……そうだったな……カケル」


 サラが俺を呼ぶ


「なんだよ……」


 サラの目は悔しそうな目をしていた


「頼みがある……」

「頼み?なんだ?」


 ルナを守れとかそういうのだったら頼まれなくてもやるぞ?


「私達を……殺してくれ」


 それを言われて俺の頭は真っ白になった

















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