奴隷を救う為には
・・・・・・
夜、俺は宿屋の部屋で寝ようとベッドに入っていたのだが
「・・・寝れない」
すっごくもやもやする感じがして眠れない
「俺ってそこまでお人好しになったのか?」
いい人になろうとは思ってはいるが・・・何でもかんでも助けたりなんて出来ない
そんなのわかっているのに・・・
「あぁ!くそっ!」
頭から昼間の光景が離れない
「悩んだってどうしようもないだろうに・・・」
結局一睡も出来ずに朝を迎えた
ーーーーーーーーー
「はぁ・・・」
俺は市場で品物を見る
チョコに美味いものを食わせる為に色々と見る
「まぁチョコは何でも食べるからな・・・久しぶりに肉を食わせるか?」
普段果物ばかりだからな
「んっ?」
「・・・・」
ズリッズリッ・・・
俺が肉屋を探していたら前から昨日の奴隷の子が1人で歩いていた・・・
「ハァ・・・ハァ・・・」
奴隷の子は自分よりも大きな籠に大量の林檎を乗せて運んでいた
「おいおい・・・いくら亜人が力が強いからって・・・」
近寄って運ぶのを手伝うか台車でも借りてこようか考えたが・・・何かしてもあの子が主人にいびられる未来しか浮かばない・・・
「ほっとくしかないのか・・・」
ズキズキ
俺の良心が物凄く痛む!
「ハァ・・・ハァ・・・ッ!!」
ガッ!ドサッ!
「あっ!?」
奴隷の子が躓き転けた
籠から林檎が転がる
ザワザワ
周りに居た人達は奴隷の子から離れたり転がってくる林檎を避ける
「・・・・」
コツン
俺の靴に1つの林檎が当たって止まる
「・・・・・」
ヒョイ
俺は林檎を拾うと
「大丈夫か?」
奴隷の子に声をかけて林檎を渡す
「ウッ・・・」
「立てるか?」
俺は奴隷の子の手を取ると奴隷の子は立ち上がる
「ゴメン・・・ナサイ・・・」
奴隷の子が謝る
「謝ることはない、拾うの手伝うよ。」
俺と奴隷の子は転がっていった林檎を拾って籠に入れる
「おいおい、奴隷に手を貸すのか?」
見ていたオッサンが俺に言う
「これぐらい良いだろう?」
落とし物拾ってるだけだ・・・まさかこれも犯罪とか言われないよな?・・・・・・・言われないよな!?
「・・・・」
ペコリ
林檎を集め終わると奴隷の子は俺に頭を下げてから籠を持ち上げて歩き出した
「・・・・・・」
こんな事しか出来ないんだよな・・・
コロリ・・・
この時俺は知らなかった
奴隷の子が数を数えられない事を・・・
そして屋台の隙間に林檎が1つだけ転がっていて籠の中の林檎が足りないことを
ーーーーーーー
俺は買い物を続ける
「この豚肉くれ。」
「あいよ!銅貨10枚だ!」
俺は支払いをする
「さて、これで買い物は終わりだな・・・」
俺は荷物を見る
「これだけ買ったら暫くはいいだろ」
にしても金貨すげえな・・・これだけ買ったのに金貨1枚分も使いきれてない・・・銀貨10枚で済んだぞ
ジャラジャラと金貨100枚が残ってる袋の感触を感じながら俺は歩く
宿に戻り荷物を置いた俺は肉を2枚ほど取り出しチョコの所に行く
「お~い、チョコ~?」
「クエ!!」
俺が呼ぶとチョコが返事をする
「ほら、今日は肉だぞ。」
「クエ~♪」
ガブッ!!
「うぉ!?すげえ食い付き!?」
俺の手ごと食われるかと思ったぞ!?
「クエ~♪」
チョコは美味しそうに肉を噛み締める
「美味いか?」
「クエ♪」
スリスリ
チョコが俺に頬擦りする
「よしよし・・・」
俺も飯にするかな・・・金に余裕があるしちょっと豪華に・・・
・・・・・・・・・
「お待たせいたしました!」
「・・・おぉ」
俺は目の前に並んだ料理を見る
クリームスープにこれは・・・マリネか?
パンに見たこともない料理もある
そして大きなステーキ!!
銀貨30枚もするメニューだ!
「いただきます!」
俺は料理を食べる
このスープ、甘い!!しかし食欲が増すような・・・マリネも魚と野菜の味が口の中で何倍にも美味しく感じる
パンも柔らかいしこの初めてみたやつもさっぱりしていて美味い!
何よりステーキ!!分厚いのに・・・柔らかくて・・・噛むと肉汁が!!肉汁がぁぁ!!
「俺も頑張れば作れるようになるのか?」
・・・・・・精進しよう・・・そしてリュードさんやリーフ達に食わせてやりたい
・・・・・・・
「ふぅ・・・」
食べ終わった俺は水を飲みながら食後の余韻を楽しむ
「美味かった・・・ヤバイ、こんな贅沢して良かったのか・・・」
銀貨30枚の値段も納得だな
「たくっ!あの役立たずが!」
「んっ?」
俺は後ろの席を見る
「林檎もマトモに運べんとはな!!」
「まったくですね!」
「・・・げっ」
後ろの席にはあの奴隷の子の主人が居た・・・側に立っているのは秘書的な人か?
「それで?あの役立たずは行ったのか?」
「はい!しっかりと確認しました!」
・・・行った?
「まったく、ウルフ種でも頑丈だと聞いたから買ってやったのに、何も出来ないな!」
「おっしゃる通りでございます!」
・・・・・
「まあ、そんな役立たずでも魔物を誘き寄せる囮にはなるか!」
「そうですね!あの役立たずが魔物に殺られている間に商品を安全に運送するアイデア!流石旦那様です!!」
「がははははは!!」
・・・・・囮・・・だと?
「おい!それはどういう事だ!!」
俺は思わず叫ぶ
「あん?なんだ小僧?盗み聞きか?」
「・・・たまたま聞こえたんだよ、それより餌ってどういう事だ!」
俺が近付くと
「礼儀知らずですね・・・」
秘書が目の前に立ちはだかる
「なんだよ・・・」
「旦那様は高貴なお方です、お前みたいな小僧が気軽に話しかけていい御仁ではないのですよ。」
「そう言うことだ!」
「・・・・じゃああんたでいいや、魔物を誘き寄せる餌ってどういう事だ?」
「私が話すと思いますか?」
「・・・まあそうだよな・・・」
無理矢理聞き出すか?・・・いや俺が普通に逮捕される
・・・・・・・・・
「じゃあ商談だ。」
「むっ?」
俺の発言に秘書が怪訝な顔をする
さっきの話を聞いた限りだとこの主人は商人かそれに近い仕事をしてると予想しての発言だ
「その魔物の事や囮についての話を買いたい。 」
「ふむ・・・・」
チラリと秘書が主人を見る
「面白い、相手してやれ。」
主人は食事しながら言う
「では・・・どの話を買いますかな?」
「魔物についてだ!」
「では、銀貨10枚で売りましょう」
!?・・・この野郎
俺は銀貨10枚を渡す
「ほう、渡しますか・・・いいでしょう、ナッツから北東に行った所に最近魔物が出没しています、その魔物には我らも被害にあっていましてね。商品を運送している馬車を襲われたのです。」
「・・・・・」
「以上です。」
「それだけかよ!?」
「魔物については話しましたよ?」
くそ!・・・なら
「囮ってどういう事だ!!」
「銀貨20枚です」
値上げしやがった!?
チャリン
「渡しますか・・・いいでしょう、旦那様はあることに気付きました、その魔物は1つの物しか相手にしないのです、馬車も3台居たのですが襲われたのは1台だけ・・・そこでこうしたのです、囮を使って囮が襲われている間に商品を運ぼうと。」
「・・・・」
「・・・・以上です」
「・・・・・・・その囮は・・・」
「銀貨30枚」
「っ!」
俺は銀貨を渡す
「・・・貴方も馬鹿ですね・・・こんな事にお金を使って。」
「うるさい!」
「まあ、どうやら貴方は思い当たる人物がいるようですが・・・その考えであっていますよ」
「なんでアイツなんだ!!戦える奴でも雇えばいいだろうが!!」
強いやつなら魔物を倒せるかもしれないし、倒せなくても逃げれたりするだろうが!!
「罰ですよ」
「なに?」
「あの奴隷には林檎を運ぶ仕事をさせました、しかし運ばれた林檎は1つ足りなかったのです・・・途中で食べたのでしょうね。」
「アイツはそんなことする様な奴じゃない!!」
あんなにボロボロなのにちゃんとしてたんだぞ!
「貴方があの奴隷の何を知ってそんな風に言ってるのですか?」
「・・・っ!」
「見た限り貴方は旅人ですね?しかもナッツに着いてそれほど経ってないと見ます・・・そんな貴方が奴隷の何を知っているのです?」
「・・・・・確かに俺はアイツの事をよく知らないさ、存在を知ったのも昨日だし、会ったのも今日が初めてだ!でもな!それでもアイツはそんな事しないってのはわかるぞ!」
身体中ボロボロなのに、アイツは文句も言わずに林檎を運んでいた
とても重かっただろうに、アイツは必死で動いていた!
そんな奴が盗み食いなんかするかよ!!
「・・・・・・・・」
「ふん」
主人が鼻で笑う
「・・・・・・・北東だったな」
「はい?」
秘書が怪訝な顔をする
「魔物の場所だ!」
「どうするつもりで?」
「俺が魔物をぶっ倒す!!そしてあの子を連れて戻る!」
「奴隷を手助けするのは犯罪ですよ?」
「・・・・盗む訳じゃないさ、連れて戻ったらお前たちに渡すさ。」
「・・・・・・・・旦那様」
「なんだ?」
「あの役立たずは必要ですか?」
秘書が主人に聞く
「あの役立たずは必要ないな、林檎もマトモに運べん奴だ・・・まさか手離せとは言わないよな?」
「いえ、手離せとは言いません、しかし、売るのはどうでしょう?このまま捨てるよりはマシかと。」
売る?
「・・・成る程な、構わんぞ。」
「・・・つまり俺がアイツを買うってことか?」
「えぇ、そうなりますね、前払いになりますがお金を払えば旦那様は貴方にあの奴隷を売りましょう。」
「・・・いくらだ?」
「金貨100枚だな。」
ーーーーーー
この時、奴隷の主人はこう考えてこの値段を言った
この小僧にはとても払えない金額だと
そしてこの小僧が絶望する顔でも見てやろうと・・・
しかし誤算があった・・・
1つはカケルが金貨100枚を持っている事
もう1つは
「買った!!」
カケルは躊躇いなくそのお金を払った事だ
ーーーーーーー
俺が金貨の入った袋を秘書に渡す
チャリン
「・・・確かにありますね、金貨100枚」
秘書が袋の中身を見て言う
「何!?」
主人が驚く
「じゃあな!」
俺は店員に銀貨30枚を渡して店を出ようとする
「奴隷を1度連れてきてください!契約の変更をしますので!」
秘書が俺に言う
「わかった!」
俺はそう言うと宿に戻ってチョコを呼ぶ
「チョコ!北東だ!わかるよな?」
「クエ!!」
チョコは全力で走る
あっという間に金が無くなった・・・だけど後悔していない
これからも同じことがあるかもしれない、その時はその時考えよう!
だって、今は!
「アイツを助けれると思うとスッゴクスッキリした気分だからな!!」
胸を締め付ける様な感覚もない!
晴れやかな気分だ!!
絶対に助けるからな!!間に合ってくれよ!!




