刺激を求めたらこうなった
ブッブー
そんな音を出しながらバスは走る
時刻は既に21時を過ぎている
そのバスの中で少年『杉乃翔』は座席に座って居た
(・・・・・・退屈)
翔は高校生活を過ごしていた、しかし人生にはよくあるマンネリを彼は感じていた
「はぁ・・・なんか面白い事ないかな・・・」
彼はそう呟く・・・
ふと外を見る
暗い道、たまに街灯も少ない田舎道だ・・・
「卒業したら・・・上京してみるかな・・・」
彼は今住んでいる町の事を考える
遊ぶ場所も少なく、買い物は商店街、つい最近大型スーパーが出来たのが唯一の自慢できることか
「先輩達もこんな所だから都会に行ったんだろうな・・・」
翔の先輩達は殆どが地元を離れた
進学、就職、謎の失踪等
だから町には若者が少ない
「・・・はぁ・・・んっ?」
溜め息を吐いて彼は異常に気付いた
「今・・・信号赤じゃなかったか?」
たった今通った交差点・・・バスの走る車線は赤信号に見えた
「気のせいだよな?」
たまに信号無視をする人がいるが、まさか客を乗せるバスがそんな事をするはずが・・・
「・・・・おいおいおい!」
次の交差点が見えた・・・信号は赤・・・なのにバスは速度を上げる
ザワッ・・・
自分以外の乗客も異常に気付く
「おい!ちゃんと信号守れよ!!」
「危ないでしょ!」
仕事帰りのおじさんや買い物帰りのおばさんが言う
「止まれって!信号赤だぞ!」
翔は運転席に近付き言う
カラン・・・
「・・・・?」
運転席から何かが転がってきた・・・
「おいおいおい・・・嘘だろ?」
それは空き缶だった・・・ジュースかお茶ではなく・・・大人の飲み物の・・・
その時・・・
ぷぅぅぅぅぅ!!
ぶーーーー!!
二つのクラクションが聞こえ・・・
ドガシャン!
ガン!
ドゴン!
パリーン!
ガン!
翔は意識を失った
・・・・・・・・
ニュースです
本日の午後21時に○○付近にて交通バスと大型トラック、普通自動車による事故が発生しました
現在判明している被害はバスの運転主と乗客10名、トラックの運転手が死亡
自動車の運転手は軽傷です
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・少しずつ意識が戻ってくる
何があった?そうだ!バスが事故を起こして・・・俺は助かったのか?
俺は目を開く
「・・・・病院・・・には見えないな」
目を開くと何処かの民家の様な内装の部屋にいた・・・
「・・・・なんか映画のファンタジーみたいな部屋だな・・・」
ガチャ
ドアの開く音がした
「おっ!坊主気がついたか!!」
「・・・・・」
翔は部屋に入った人を見る・・・いや人ではないか
トカゲだった
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ガン!
翔は驚いて飛び退く・・・そして寝ていたベッドから落ちて頭を打ったのだった
「あ~大丈夫か?」
トカゲはそう言って翔を介抱するのだった