ですですですです
鳥取県出身者と会話すると、同調の返事の語尾が「ですです」という人が結構いる。
楽しかったので詩にしました。 (あえてわかりやすい関西弁×鳥取弁にしました)
大阪人×鳥取人
「ちょっと、このネジの入れ方はこれでええんか」
「ですです」
「それとも、もうちょっと入れ込んだ方がええか」
「ですね、ですです」
「えーと。どっちやねん?」
「どっちでも」
「じゃ、もうちょっと入れとくか」
「あ~それともう片方にも、ですね、ここあたりにもネジを入れた方がいいですよ」
「そうか、じゃそうしようか……これでええか」
「ですです。ですですですです」
作業を終えてから私はその人に聞いてみた。
「なあ、ですですってさっき何回言うた? ですですって言葉、鳥取県民は全員そない言いはるんか」
「あ~ですです。言う人と言わない人がいます。私は言う方ですかね」
「他の県でそない言う人、いてはるんかなあ。語尾だけそれも、ですだけ重ねはるのは、方言としてめずらしいんとちゃう?」
「そういわれてみればそうかな……ですです」
「それとなあ、そのですです言葉なあ、最初はそういう言葉遣いは言わなかったではないか」
「緊張すると言わない仕組みになっているようです。相手に慣れてきたら、出てくる。それとケンカとかしたらもう二度と出てこない」
「そっか」
「ですです、ですですですです」
「方言て楽しいな」
私はこれは推理小説のネタになると思った。
ですですを乱発する鳥取県出身の同時通訳家が殺されるストーリー。
犯人はdeath=デス、死と言う言葉に過剰に反応する英語圏出身の金髪碧眼の女優。
そう、犯人は「ですですですです」をdeathdeathdeathdeathと聞いて
日本語の方言を知らずに逆上して通訳家を殺す。
その死体をうまく隠してそのあとに臨んだ映画ロケの鳥取砂丘でも
deathdeathdeathdeath攻撃に出会ってさらに逆上して自爆する。
これを掌編にしてどこかに応募しようかなと。
でも方言を殺人事件の核ネタにすると受賞する気が全くしない。
なのでここで晒します…………。
鳥取県の方言は、尊敬語を「……しなる」「……ごしなる」というので
言われた方は、朴訥で雅かつ奇妙な感覚を受ける。
それは私が聞きなれていないからかもしれない。