なんてかわいそうなんだ
昔々、あるところに緑色の丸い生き物がいました、緑色の生き物はこの自分の丸い姿がとてもお気に入りでした。
ある日、緑色の丸い生き物は旅に出ようと考えて、カバンを持ってきました。
お弁当にテントと水筒を持ってさぁ出発!
最初に向かった国では黄色の生き物たちが住んでいました、黄色い生き物たちは、緑色の丸い生き物を見ると言いました。
「あ!あいつは黄色じゃなくて緑色だぞ!」
「黄色じゃないなんて、なんてかわいそうなんだ!塗り直してやろう。」
黄色い生き物たちは緑色の丸い生き物を捕まえて黄色に塗り始めました。
「うわぁ!助けてくれぇ!」
たまらず緑色の丸い生き物は逃げ出しました。
逃げながら緑色の丸い生き物は呟きました。
「やれやれ、ひどい目にあった、次は緑色の生き物がいる所に行こう。」
二番目に緑色の生き物が行った国の生き物はみんな緑色でしたが、角が生えていました。
角の生えた緑色の生き物たちは緑色の丸い生き物を見ると言いました。
「やや!あいつには角がないぞ!」
「どこかに落としてきてしまったんだろう、なんてかわいそうなんだ!新しく付けて上げよう。」
角が生えた緑色の生き物たちは緑色の丸い生き物を捕まえて角を付けようとしました。
「いやだ、いやだ!角なんていらないよ!」
あわてて緑色の丸い生き物は逃げ出しました。
逃げながら緑色の丸い生き物は呟きました。
「まったく、ひどい目にあった、次は緑色で丸い生き物たちがいる所に行こう。」
三番目に緑色の丸い生き物が向かった国にはその生き物と全く同じ見た目の生き物たちがたくさんいました。
緑色の丸い生き物は言いました。
「良かった、ここならゆっくり過ごせそうだ。」
ところが…
「$.*=ヾ ̄・;[〈》£♀%χφπψゝ ̄、??(なんであいつは同じ言葉を喋らないんだ?)」
「]。,:$'#゛;.〇〆〃≦!÷±⊆∀⊥с┤┐(きっと言葉を知らないんだろう、なんてかわいそうなんだ!教えてあげよう)」
そう、実は喋る言葉が違っていたのです。
彼らは、緑色の丸い生き物を捕まえて言葉を教えてあげようとしました。
何もしらない丸い生き物は慌てるばかり
「うわぁ!一体今度は何なんだ!助けてぇ!」
緑色の丸い生き物は転がりながら逃げ出しました。
緑色の丸い生き物は呟きました。
「全く、どの国でも酷い目にあった、自分のものさしでしかかわいそうを測れないなんて…
なんてかわいそうなんだ!
『彼』の旅は続きます。