実は困り事
るぅるぅは本来の世界では偉いイキモノである。
別にそういう種族なだけで偉ぶるつもりはないのである。
るぅるぅは。である。
まず、るぅるぅは単独でこちら側で生活するつもりだった。
この単独の意は過剰に過保護な存在のいない状況という意味だ。
そうでなければ、異世界において学ぶべきモノに目隠しされてしまうからな。
ゆえに、『シン』が付いてきたのは(しかも下準備までして)物凄く不本意であり、困り事なのである。
『えー。便利に使っちゃえばいいのにぃ』
パールが気楽に言うんだが、
「シンはモノじゃないのだ。ただ、ちょっと過保護なだけなのだ」
フッと息がもれるのだ。
シンはるぅるぅがしちゃいけないことで注意されているとお詫びに自分が死ぬべきかとか、相手を始末して(るぅるぅに対して不敬だとかっていうどーでもいい理由)しまいかねない短慮を発揮するのだ。
止めたり、フォローをるぅるぅがするのだが、それもそれで『ご迷惑をおかけするなんて』と羽を落とそうとしたりしそうになるから大変なのである。
その一部を見られようものなら立場的に責められるのはるぅるぅである気がしなくもない。
あれ?
るぅるぅ詰んでる?
確かに友人を作ると言ってももぐらのような友人はまず作りにくいだろうし、種としてはるぅるぅはまだ子供ではある。(五十年は生きているけど)
自らよりたとえ、若輩生物個体とはいえ、知らぬ世界の知識を蓄えた成体には適度な敬意を払うべきとは知っているのだ。
『えー。でもそれでるぅるぅのしたいことが阻害されるなら本末転覆〜』
「るぅるぅはまず、この世界の常識を学ぶのだ!」
そのためには!
「どうやってシンを引き離しておくか。そこが問題なのだ」
『るぅるぅ』
「るぅ?」
『もうじき朝ごはん時間』
「るぅ!?」
るぅるぅの睡眠時間は!?
時間ドロボウはどこに行けば退治できるのだ!?




