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夏の終わり

 琉伊、目が点になる。

 どーして奴がいてにこにこ笑ってるのだ?

「よ。ほーら、お土産だよー」

「なんでいるのだぁあああああああ!?」

 奴は琉伊の頭の上に箱をおく。

「観光してたからだよ。お土産どうぞ〜」

「あ、くーちゃん(仮)だ」

「ごきげんよー。チビっこがお世話になってます」

 奴は和やかに青空の人員に挨拶をする。

「だから、なんで、いーるーのーだー」

 ちっちっちっと指を揺らし、当たり前のことを告げるように続けた。

「か・ん・こ・う。なかなか楽しかったぞ?」

 そーいう問題じゃないのだ!

「むこーはどうしてるのだー」

 当然の突っ込みに奴は琉伊を外れたところに連れ出した。お店で騒ぐのはよくないから琉伊も異論はない。

「もー一匹いるんだから大丈夫。死んだわけじゃあるまいし」

「吐血して死んでたらどーするのだー」

 あいつならありうるのだ!

「ありがちだけど、数年は生きてるだろ。問題ナイナイ」

「問題大有りなのだー!」

「どっかがフォローするだろう。今、不在はそうないしね。喧嘩なんかはやるんならまとめてヤっちゃえという単純判決ですますだろうから、ほら大丈夫」

 喧嘩したやつ滅殺で終わらせてどーするのだ!

「どーこーが、大丈夫。なのだー」

「問題原因から綺麗綺麗に削除だよね。問題ナイ」

 ぽんぽんと琉伊の頭を叩いて抑えてくる。殴ろうにもリーチが足りない。むかつくのだ。

「うがー。それは良くないと思うのだー!」

「上等、上等。学校行くんだって? 楽しそうだねぇ」

 話題が変換される。

「琉伊、ちびっ子じゃないのだ!」

「ちびっこちびっこ」

「むかつくのだー!」

 軽やかに笑われる。空気の質が冷たく切り替わる。

「一番の問題になりうるのはお前だ。お前はのめり込む性質だからな。あと五十年はのめり込む恋愛などはしないことだ。孵化に千年から二千年。成体になるのにもう百年。そんな状況だけは作ってくれるなよ」

「種族差異、寿命差異は、理解しているのだ」

 家族を大事にしている渚を連れて行こうとする気もないし、その幸せは邪魔すべきでないと理解している。

「そのへんは些細な問題だと思うけどね、気楽な恋愛なら構わないと思うよ。命かけて存在自体賭けてっていっちゃうクチだからね。お前。そう。恋して愛して相手を壊すなら構わないが、自己の崩壊に向かうならそれはやめろと忠告するのは年長者の務めだからね。いやぁ~旅先のつかの間のアバンチュールは楽しいよね」

「お前は何やってたのだーーー!?」

 それに、渚を壊すよーな真似はしないのだー!!

「だからもちろんナンパしつつ観光。せっかくだから楽しまないとねー」

 攻撃しようにものらりくらりと逃げられる。

 こいつがあんまり所定の場所にいたがらず、楽しいことを追求して彷徨う性癖だったことを孵化五十年の付き合いでわかっていたはずだったのに。









「くーちゃんかっこかりってなんなのだ?」

「ん。とりあえずの呼び名」

「さっさと帰ればいいのだ」

「ん。もうちょっと観光してから帰る」



『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://ncode.syosetu.com/n7439br/

より『ARIKA』青空家(太陽さん? 渚ちゃん)

ちらりお借りいたしました。

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