るぅるぅとおさんぽ4
リズねぇと別れて数秒。
「シン」
「ここに」
「琉伊はついて来るなといった」
シンからの返事はない。
シンは、すこし、いや、かなり過保護だ。
だから、連れてくるつもりはなかった。この世界に、レベルで。
ここにいる限り、できうる限りここの理に従わなくてはいけない。
我ら自身の本来の力を発するとすればそれを許される環境下、己が存在に抵触する障りのあった時だけであるべきである。
ならばその判断を必要とする素養は少ないほうが楽なのだ。
逸脱を許される場と状況の判断は見える範囲で判断できる方が易しいことだからだ。
見えない可能性のあるものがあることは難易度を上げる。そしてシンが逸脱するとすればその因は我にある。
「琉伊さまはお小さいです。お一人で行動なさることを認めるわけには参りません」
強く、強く命じればシンは引く。
あるべき力関係は難しい。威圧することはたやすい。それを選ぶことは実にたやすい。
「この町に琉伊に危険をもたらすものはないよ。あるとすれば、それは琉伊のこの世界への無理解、無知だ。それを学ぶのを邪魔するなら、そのシンの対応は間違っている。今の琉伊の望みにそぐわない」
「シンは琉伊さまが心配なのです」
ふるり緩む空気。
「泣き落とし禁止なのだ」
めッ! と注意する。
シンの外見は基本的に小柄な方。自分たちの世界なら成人前かと思うような外見だが、ここでなら十分に成人で通じる外見だ。でも親子、と言われるほどの外見年齢差はない。姉弟がせいぜい、かな?
「もうしわけございません」
シンが謝ったのだ。つまり!
本気で泣き落としだったのだ。
「琉伊は、琉伊は、河童に挨拶に行くのだ~~! シンは、『古本屋 夢幻』で琉伊好みの書簡を仕入れておくがいいのだぁあ」
頷くシン。
「あ。資金は?」
「ご心配なく、支度金は所持しております」
そう言うなら大丈夫だろう。
「うん。任せたのだ! ついてきちゃダメだぞ!」
「いってらっしゃいませ」
「行ってくるのだ!」
「一緒に帰りましょうね」
「わかったのだ! 後で、なのだぁ!」
ぶんっと手をふって商店街に踏み込む。
少し視界は違うが十分、位置はわかる。
ワガシヤさんでお土産を買って、河童のところに行くのだ!
「あとちょっとー!」
いっくのだー!!
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』
http://ncode.syosetu.com/n2532br/
河童連呼しております・・・(ちょっと申し訳なくなってきた
『悠久の欠片』
http://ncode.syosetu.com/n0784by/
より『古本屋 夢幻』お名前のみ
お借りいたしました




